ウッドマイルズに関する日本森林学会誌論文(2006/4/16)


日本森林学会誌の最新号(Vol.88 No.2)に「我が国製材業の製品出荷における木材輸送量・距離(ウッド・マイレージ)」(嶋瀬拓也・立花敏)という論文が掲載されました。

要旨は以下の通りです。

国内製材業の製品出荷を対象に、木材輸送量・距離(ウッド・マイレージ)を算出し、変化動向の分析と変化要因の検討を行ったところ、以下の点が明らかになった。

(1)平均輸送距離(直線距離)は、1962年から1980年にかけて109.1kmから84.2kmへと縮小し、その後2002年にかけて149.6kmへと拡大した。

(2)1980年以降、出荷量が多い県ほど平均輸送距離が大きいという傾向が急速に強まっている。

(3)県ごとの平均輸送距離のばらつきは、1962年から1980年にかけて縮小したが、それ以降は再び拡大している。

(4)平均輸送距離の変化には、素材・製品市場の構造変化と、それに伴う製材業の生産力配置の変化が強く影響していると考えられた。すなわち、1980年までの平均輸送距離の縮小は、外材を原料基盤とする木材団地が各地に建設され、製材生産力が全国に分散化したためとみられる。また、1980年以降の平均輸送距離の拡大は、製材品需要が縮小する中で、大規模製材業者が地域集中を伴いつつ規模拡大を図っているためとみられる。

(1)にあるように、国内製材の出荷輸送距離を時系列的にみていくことにより、1980年という時点が国内の製材所の立地上転機となったいることがわかるという大変興味深い指摘です。

地域の多様な文化に立脚した住宅部材の多様性という背景から消費地立地的な傾向を持っていた製材業が、次第に住宅部材が工業部材化して均一化を求められる中で、少数の供給拠点による効率的な供給への転換してきたという動きを表しているようにも、思います。

ウッドマイルズは輸送過程の環境負荷をわかりやすく示そうという意図で開発されてきましたが、マクロなウッドマイルズの分析は「産業立地論のツールとしての有効性」(嶋瀬さん)も示唆しているということだと思います。