ウッドマイルズ研究会の次の展望と木材の環境指標の連携(2008/7/13)

ウッドマイルズ研究会の2008年度総会がはじめて東京で開催されました。

発足以来5年たった研究会は、木材の輸送過程で排出される二酸化炭素の量を基にした指数(ウッドマイレージCO2)を開発するなど、福田ビジョンでいう「環境負荷の『見える化』」という点で大きな足跡を残してきました。

今後その上にたって、新たに「木材の環境指標の普及及び統合」を今後3年間の目標に掲げることになりました。

また、同趣旨のフォーラム、「ウッドマイルズフォーラム2008in 東京〜木材の環境指標の連携・統合を目指して」が開催されました。

また会長も熊崎会長から、藤本昌也会長へバトンタッチしました。

<会長挨拶> 藤本 昌也/(社)日本建築士会連合会会長・建築家

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(2008年度総会挨拶より) 
  私は私はこれまで、当研究会に顧問の立場で参加してきた会員のひとりです。ところが、今年の初め頃、はからずも、熊崎会長をはじめ役員の方々から次期会長にとの御要請を受けました。私としては微力で、とてもその任に値する者ではないと一旦はお断りするつもりでいました。しかし、後述するような理由から、当会の活動に少しでもお役に立つのであればと、その重責を顧みずお引き受けする決心を致しました。当然、本日の総会には出席し、皆様方とお目にかかり、御挨拶をせねばと考えていましたが、その後想定外のよんどころ無い事情が発生したために、大変不本意ながら、こうした紙上での御挨拶ということになってしまいました。
 先ずは、この失礼の段深くお詫び申し上げるとともに、冒頭で述べた理由を3点に要約し、申し上げることで、紙上での私の御挨拶に代えさせていただきたいと思います。

 私にとっての第1の理由は、当研究会が低炭素社会の実現に向けて、“ウッドマイルズ”を基本テーマに、様々な研究そして、実践を展開していこうとするその“志”に、私自身が深く共感していたからに他なりません。
 第2の理由として、私の建築家としての“木”へのこだわりを挙げることができます。
 今から20数年前の1982年、私は雑誌『新建築』に“民家型構法の家”と名付けた最初の住宅を発表し、「今日の混迷した木造住宅業界、木材業界の抜本的改善を図る切り札として、新木造住宅構法<民家型構法>を構想し、提案したい。そして、この“民家型構法の家”をこれからのわが国の木造住宅の一般解として広く普及させたい。」と当時の“木”に対する私の熱い思いを書き記しました。その後、その思いを実現すべく、“民家型構法の家”の継続的な実作を通して、様々な木造技術開発に挑戦する一方、川上,川下の合理的連携を可能とする望ましい住宅生産、供給体制のあり方を探り続けてきました。
 そして、2002年にはそれまでの私たちの活動の成果を総括する意味で、下記のようなこれからのわが国の木造住宅づくりのための“木造住宅建築憲章”を発表しました。

1)木造住宅建築は、森林保全と資源の循環利用に資するように、外材への依存は最小限に留められ、“地域材”、“国産材”は最大限に活用される (資源管理)

2)木造住宅建築は、シックハウスを克服すべく、新建材は極力抑制され、木,土,石,紙等の“自然素材”によって構成される (健康住宅)

3)木造建築住宅は、丈夫で長持ちする骨太な“木組み”によって架構され、次世代を越えて使い続けられる価値ある社会資産として維持される (長寿命)

4)木造住宅建築は、地域に根ざした合理的な生産技術と体制のもとで建設され、適正な価格の住まいとして安定的に供給される (適正価格)

5)木造住宅建築は、地域の風土、歴史を尊重しつつ、新しい文化として創造され、良好な地域環境として次世代に受け継がれる (地域環境)

 現在、私はこの憲章を当研究会の視点で見直し、再提案したいと考えています。
 最後の第3の理由として、先に指摘したわが国にとっての望ましい木造住宅生産・供給体制づくりを実現する上で、“ウッドマイルズ”がひとつの重要なキーワードになると私自身が確信している点を挙げたいと思います。
 詳述する余裕はありませんが、ご承知のように、国は現在、今後の住宅政策の柱に“200年住宅”を据えようとしています。この政策を国を挙げて実現しようとするならば、木造住宅関連3団体である全国木材組合連合会、全国中小建設工事業団体連合会、そして私の関係する日本建築士会連合会は、今後緊密な連携を図る必要があり、“ウッドマイルズ”はそのための有効な接着剤の役割を果たすと私は考えているのです。

 最後に私の現在の心境を申し上げ、御挨拶の締めにしたいと思います。正直、私は今でも、当研究会の会長の任に相応しいのか、熊崎会長の後を引き継ぐ資格があるのか確たる自信がある訳ではありませんが、ともかくも、これまでの当研究会の貴重な活動を後退させることのないよう、誠実に役割を果たす以外にないと思い極めていますので、当研究会に関係するすべての方々の御支援、御協力の程をお願いする次第です。



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