発電用木質バイオマスの証明のためのガイドライン(2012/8/18)

電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法(平成二十三年法律第百八が7月から施行されるに当たり、認定された事業者が発電した電力を電力会社が買い取る価格が決められましたが(経産省告示第139号)、バイオマスについては未利用木材、一般木材、リサイクル木材と三種類に価格設定がされました。

@未利用バイオマス(間伐材等由来の木質バイオマス)、A一般木材等バイオマス、Bリサイクル木材バイオマスの三通りで、価格が33.6円/kWh、25.2円同、13.65円同となってるため、バイオマス発電事業者は自分の発電原料となるバイオマスが、ここに定義されたどのバイオマスかということを証明しないと、すくなくとも、@Aの料金では販売できなくなります。

水力 バイオ
マス
メタン発酵
ガス化発電
未利用木材
燃焼発電
(※1)
一般木材等
燃焼発電
(※2)
廃棄物
(木質以外)
燃焼発電
(※3)
リサイクル
木材燃焼発電
(※4)
調達価格 40.95円 33.6円 25.2円 17.85円 13.65円
調達期間 20年間 20年間 20年間 20年間 20年間
(※1)間伐材や主伐材であって、後述する設備認定において未利用であることが確認できたものに由来するバイオマス(間伐材等由来の木質バイオマ)を燃焼させる発電
(※2)未利用木材及びリサイクル木材以外の木材(製材端材や輸入木材)並びにパーム椰子殻、稲わら・もみ殻に由来するバイオマス(一般木質バイオマス)を燃焼させる発電
(※3)一般廃棄物、下水汚泥、食品廃棄物、RDF、RPF、黒液等の廃棄物由来のバイオマスを燃焼させる発電
(※4)建設廃材に由来するバイオマスを燃焼させる発電

資源エネルギー庁「なっとく再生可能エネルギーより」
http://www.enecho.meti.go.jp/saiene/kaitori/kakaku.html
そのために林野庁では、発電利用に供する木質バイオマスの証明のためのガイドラインを公表しました。

概要は以下の通りです。

(三種類にバイオマスの定義)
上記の三つの分類のバイオマスを以下のように定義しています
間伐材等由来の木質バイオマ @間伐材、
A@以外の方法により次のいずれかの森林(伐採後の土地が引き続き森林であるものに限る。)から、森林に関する法令に基づき適切に設定された施業規範等に従い、伐採、生産される木材をいう。
ア森林経営計画対象森林、イ保安林、ウ国有林
一般木質バイオマス @ 製材等残材
木材の加工時等に発生する、端材、おがくず、樹皮等の残材
A その他由来の証明が可能な木材
製材等残材以外の木材であって、由来の証明が可能なもの
建設資材廃棄物 上記以外のもの

(証明方法)

「間伐材等由来の木質バイオマス及び一般木質バイオマスの証明は、当該バイオマスの「取扱者」が、次の流通工程の関係事業者に対して、その納入する木質バイオマスが間伐材等由来の木質バイオマス又は一般木質バイオマスであることが証明されたものであり、かつ、分別管理されていることを証明する書類(証明書)を交付することとし、それぞれの納入ごとに証明書の交付を繰り返すことにより行うこととする。」とされ、合法木材の業界団体認定事業者の連鎖と同様の方法を想定しています。

伐採時点の証明に当たっては、上記が確認できる許可書などのコピーや許可の過程がわかる情報が記載された証明書が必要となり、その後の流通加工過程では、分別管理がされたものであるむねの証明書が必要となります。

証明書には「当該取扱者が団体等の評価・認定を受けていることを特定できる情報(認定番号等)を記載することとする。」としています。

未だ、バイオマス発電として認定された事業者はなく、証明書の連鎖が必要なのはこれからですが、都道府県木連などの認定システムの導入が図られと思います。

(環境性能の表示のためのシステムとしての業界団体認定方式)

業界団体認定事業者による証明書の連鎖により需要者に川上の環境情報を提供する仕組みは2006年の木材・木材製品の合法性、持続可能性の証明のためのガイドライン に端を発していますが、その後間伐材チップの確認のためのガイドライン、今回の発電利用に供する木質バイオマスの証明のためのガイドラインに受け継がれ、一定の環境性能を対外的に証明するためのシステムとして定着してきています。

木材の生産から消費者へのビジネスチェーンは、原料生産の現場が国内国外の各地にわたること(鉄やアルミニウムその他金属エネルギーで国内に原料供給の現場があるものはきわめてまれ)、加工プロセスが比較的簡素でも対応ができ各地に分散する可能性があることなどを背景に、きわめて複雑なネットワークになるため、それを全てカバーするには業界団体のような緩やかなネットワークの利用が不可欠であり、グローバルなシステムとしても先進的なシステムであると考えます。

これらのシステムの信頼性を担保する透明性や、自己検証性などのシステムの内在化について、議論が進むことを願います。


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