シドニーAPEC首脳宣言と森林問題(2007/9/16)

アジア太平洋経済協力(APEC)の首脳会議が9月8−9日シドニーで開催され、「気候変動、エネルギー安全保障及びクリーン開発に関するシドニーAPEC首脳宣言」を採択しました。

原文(APEC公式サイト)
和文仮訳(外務省HP)
林野庁プレスリリース

京都議定書の削減義務を負わない米国・中国という二大温室効果ガス排出国が顔をそろえ、また、同じく議定書に参画していないオーストラリアがホストするという今回の会合で、ポスト京都議定書の議論は重要な意味を持つものでしたが、その議論を集約した宣言をみると、あらためて、その枠組みの中での森林の取扱の重要性が再認識されるものでした。

この宣言は、京都議定書第一約束期間が切れる2013年以降の将来の国際行動に関し、@包括性、A差異のある国内事情及び能力の尊重、B柔軟性、C低排出・ゼロ排出エネルギー源及び技術の重要な役割、D森林と土地利用の重要性、F開かれた貿易と投資の促進、G実効性のある適応戦略への支援、の8つの原則が「取り決めの基礎とならなければならない」としています。

そして、宣言の中の「APECの行動アジェンダ」の森林に関する部分は以下の通りです。

森林

森林は、炭素循環において極めて重要な役割を果たす。持続可能な森林経営を促進し、違法伐採と闘い、基本的な経済的・社会的原動力に取り組むことを含め、造林及び植林を奨励し、森林減少、森林劣化及び森林火災を減少させるためには、進行中の行動が必要とされる。我々は、従って、

  • APEC地域における全ての種類の森林の面積を2020年までに少なくとも2,000万ヘクタール増加させるという地域の願望としての目標を達成するために作業することに合意する。
  • 2007年7月にシドニーで立ち上げられた「森林及び気候に関するグローバル・イニシアティブ」を歓迎する。
  • その選択肢の追求に関心のあるエコノミーを対象とする持続可能な森林経営に関する法的拘束力のある枠組みに関する継続中の作業を含む、その他の枠組みの形成を歓迎する。
  • キャパシティ・ビルディングの促進及び森林部門における情報共有の強化のための「持続可能な森林経営及び再生のためのアジア太平洋ネットワーク」の設立に合意する。「アジア森林パートナーシップ」を含む全ての森林に関する地域的イニシアティブ間の協力は重要となろう。
  • 世界銀行により提案されている森林・炭素パートナーシップ・ファシリティを含む、森林プログラムのパートナーシップの発展のため、関係国際機関と調整をおこなう。

最も重要な事項は森林面積の増加を目標とする、第一の部分です。80年代の初頭に熱帯林の急激な減少というデータが提示され、地球の森林面積が減り続けているという問題意識を世界中の人が持ち始めてから四半世紀が過ぎたわけですが、途上国も含めた一定の地域の森林面積を増加させるということを含んだ国際的な合意が発表されたのははじめてのことだと思います。

その背景には近年当該地域の森林面積の推移があります。
FAOの行った2005年世界資源調査(GFRA2005)によると、域内の森林面積は2000年から2005年にかけて年間1.5百万ヘクタールほど増加に転じているとされています。(こちらにエクセルファイル
中国で4百万ヘクタールの増加が、インドネシアの2百万ヘクタール弱の減少を相殺しています。

いずれにしても、この傾向を今後維持して行くには、各国の森林転用についての規制と、可能な地域での造林の推進という懸命な努力が必要でしょう。

「目標を達成するために作業することに」合意したそうですが、大変注目されることです。