合法伐採木材流通利用促進法成立、その意義と課題(その1目的規定・事業者登録)(2016/5/28)

G7サミットに向けて我が国の違法伐採問題への取り組みをアピールすると準備されてきた、合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律案が13日参議院で全会一致で採択され、成立しました。

合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律案(本文要綱

(目的規定の意義)

 第一条 この法律は、我が国又は外国における違法な森林の伐採(以下「違法伐採」という。)及び違法伐採に係る木材の流通が地球温暖化の防止、自然環境の保全、林産物の供給等の森林の有する多面にわたる機能に影響を及ぼすおそれがあり、また、木材市場における公正な取引を害するおそれがあるものであることに鑑み、合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関し基本的な事項を定めるとともに、木材関連事業者による合法伐採木材等の利用の確保のための措置等を講ずることにより、自然環境の保全に配慮した木材産業の持続的かつ健全な発展を図り、もって地域及び地球の環境の保全に資することを目的とする

どの法律も最初の、その法律も目的が書いてあるものです。

これを図にすると下図のようになります。

 

あらためて、条文を読んでみて、二つの点に気が付きます。

(我が国の違法伐採リスク)

冒頭に「我が国又は外国における違法な森林の伐採」とあるように、国内の違法伐採のリスクをにも向けていることです。

これは、欧州木材規則や、レーシー法にかけている点です。

違法伐採問題がグローバルな課題となったのは、途上国の熱帯林問題から始まったものですが、どこの国でも森林の管理はなかなか難しい課題。森林のガバナンスを確保するために、合法伐採木材の流通と利用が重要な役割を果たすという重要な視点です。消費者を森林のガバナンス問題に巻き込んで課題に迫る。

(自然環境の保全に配慮した木材産業の発展のツールとしての登録制度)

木材産業は消費者が必要とする建築材、消費財を効率的に提供し、それの見返りに対価を得るビジネスですが、リスクを認識し、自然環境の保全に配慮した木材産業を発展される、法律の目的っが宣言しています。そのために「木材関連事業者による合法伐採木材等の利用の確保のための措置」がどられるのですが、その内容が第6条の「木材関連事業者の判断の基準となるべき事項」と、第8条「木材関連事業者の登録」です。

 第六条 主務大臣は、合法伐採木材等の流通及び利用を促進するため、主務省令で、木材関連事業者が合法伐採木材等の利用を確保するために取り組むべき措置に関し、木材関連事業者の判断の基準となるべき次に掲げる事項を定めるものとする。
 一 木材関連事業者が取り扱う木材等が我が国又は原産国の法令に適合して伐採されていることの確認に関する事項
 二 前号の確認ができない場合において合法伐採木材等の利用を確保するために木材関連事業者が追加的に実施することが必要な措置に関する事項
 三 木材関連事業者が木材等を譲り渡すときに必要な措置に関する事項
 四 第一号の確認及び第二号の措置に係る記録の管理に関する事項その他主務省令で定める事項

今後、政省令によって上記の「木材関連事業者が合法伐採木材等の利用を確保するために取り組むべき措置」がきめられ、その措置をとっている事業者が、登録されるという仕組みになっていいます。

この登録が、木材業者事業者が一枚の証明書を求めるだけでなく違法伐採のリスクを減らすために一定の努力を要求する(DDSへの対応)、川下の建築業者などが合法性が証明された木材を基本的な調達方針とする、など、大きな役割を果たす可能性があります。

上記の「木材関連事業者が合法伐採木材等の利用を確保するために取り組むべき措置」がどのように政省令によって規定されるのか?注目されます。

また、合法性証明のサプライチェーン管理にどのように関係づけられるのかなど、よく分かりにくい点が残されてります.。林野庁のガイドラインが提起した、業界団体の社会的責任を基盤とした体制をどう発展させるのかがポイントかと思います。

ガイドラインにもどつくサプライチェーン管理の弱点は、各方面から指摘されているところです。(違法行為の黙認 日本の自主的制度は違法木材取引 を見逃している グローバル・ウィットネス報告書

この法律が業界団体認定のサプライチェーンをステップアップするために、うまく使われ、日本発のスタンダードとしてグローバルな意義を発揮できることを、期待します。

(つづく)

boueki4-59(sinhou1)