セーフガードとは

セーフガードは、ガット第19条に基づき、輸入急増による国内産業への重大な損害の防止をはかるために認められている緊急措置であり、WTOの「セーフガードに関する協定」において、発動用件、手続き等の具体化・明確化が図られている。
これを受けて、関税の引き上げについては関税定率法及び緊急関税に関する政令が施行され、数量制限については外為法及び輸入貿易管理令に基づき、通産省告示が制定されている。

1 発動要件(ガットsg条約関税定率法
輸入の増加により、輸入品と同種の又は直接に競合する産品を生産する国内産業に重大な損害が与えられているか、又は与えられるおそれがある場合で、国民経済上の緊急の必要があるとき。

2 措置内容
(1)セーフガードとして取りうる措置は
@関税引き上げ(関税割当を含む)又は、A輸入数量制限。
ア 関税引き上げの場合、その引き上げ後の税率の上限は、原則として、「当該輸入品の価格」と「国内の適正と認められる卸売価格」との差額。(定率法
イ 数量制限の場合、その数量は、原則として、直近の適当と認めれれる3年間の平均輸入数量以上。
ただし、重大な損害を防止し又は救済し、かつ、調整(構造調整)を用意にするために必要な限度においてのみ上記@又はAの措置をとるものとされている。(SG協定

(2)発動時期は当初4年以内、延長しても8年以内。(定率法10 SG協定7))
ただし、重大な損害を防止し又は救済し、かつ、調整(構造調整)を容易にするために必要な期間に限られる。

3 発動手続き
(1)セーフガードを発動する際には、輸入増加の事実及びこれによる国内産業の重大な損害又はそのおそれがある事実につき調査を行い、調査は一年以内に終了させる。(定率法
なお、調査は、財務大臣、経済産業大臣及び農林水産大臣及び農林水産大臣(所管物資の場合)によって行われる。
(2)調査の完了前においても、暫定措置をとることができる。(ただし、関税引き上げのみ)(定率法
(3)調査の結果、セーフガードの発動の必要性があると認められた場合は、関税については関税率審議会、輸入数量制限については輸出入取引審議会への諮問を経て措置が決定される。(政令
(4)セーフガードの発動に際しては、利害関係国との協議等を行い、補償措置をとるよう努力しなければならない。(SG協定8ー1定率法3
なお、輸出国は、我が国からの輸出に関し、関税引き上げ等による対抗措置をとる権利を有する。(SG協定8−2
(ただし、セーフガード措置が輸入の絶対量の増加の結果としてとれれたものであり、かつ、当該措置がセーフガード協定に適合する場合には、当該措置がとられている最初の3年間については対抗措置をとることができない。)(SG協定8−3
(農林水産省資料より)