飛騨市広葉樹のまちづくりー山と街をつなぐシステムづくり(2023/10/12) |
林政ジャーナリストの会取材旅行で、岐阜県飛騨市を訪問しました。目的は飛騨市の広葉樹街づくりの取り組みを聞くこと 広葉樹資源に目を向けるのは少し特殊な状況かもしれませんが、「地元の資源を街の人に繋いでいく行政と新規ビジネスの開拓者との連携」、「出来た家具を構成する木材の伐採跡地の情報が見えるシステムの可能性」など、インパクトのある情報でした いただいた、すばらしいプレゼン資料に基づいて紹介します。 (事業の背景) 岐阜県の最北端の飛騨市。 飛騨高山というけど、飛騨市と高山市が並立。「飛騨の匠」といわれる大工さん集団の根拠地だった。 92パーセントが森林で、そのうち68%が広葉樹林だそうです。 「飛騨家具」といわれる家具の産地ですが(左の図左)、原料の広葉樹はほとんど輸入材! 地元の広葉樹のほとんどはチップ原料として安く域外に流出。 なんとからなないだろうかか?!(左の課題整理図) 地元の広葉樹の価値を創造する取り組み3つを紹介します。 ーーーー ーーーー (事業をけん引する主体「ヒダクマ」をつくるーこれまでの取組①) これまで難しかった広葉樹の活用に必要な新しいアイデアやノウハウ、ネットワークを有する民間会社2社(株式会社トビムシと株式会社ロフトワーク)ととともに株式会社飛騨の森でクマは踊る(通称「ヒダクマ」)を設立。 国内外を問わず、様々なクリエイターとのコラボレーションする(ロフトワーク)ことにより、これまでにない価値の高い木製品を企画・製作・販売する(トビムシ)ことが可能に。 アイディアの共有と活用を可能にする拠点FabCafeHidaをつくりました。 国内外のクリエイターがFabCafeに滞在し、 いろんな、小径木活用事例がうまれてます。(右の図) ヒダクマの楽しい活動紹介ネット上にたくさんあります (広葉樹流通の仕組みを変えるーこれまでの取組②) 地元の広葉樹市場は、川上川中川下の情報が共有が不十分で、一般的な規格材のみが製材所に回り(6%程度)、のこりは、規格外として市外の製紙工場などにチップ材としてながれていました。 そこで、取り組みの趣旨に賛同する市内及び飛騨地域の関係プレイヤー(素材生産者、製材事業者、木製品企画・開発、製造、販売等事業者、建築事業者等のステークホルダー)17社(者)行政(国・県・市)にをあつめて、飛騨市広葉樹活用推進コンソーシアムを設立しました 原木を街までおろしで、皆で検討する原木流通拠点を設置し(右の図左下)、そこに、原木を丁寧に繋ぐ、広葉樹活王コンシェルジュを配置し(右の図左上)、作り手と原木を新たに繋いでいます 昔94パーセントだった規格外のチップが、減った!! サプライチェーンからバリューチェーンに!!かっこいいですね (持続可能な支援管理の仕組みを作るーこれまでの具体的取り組み③) いままでの二つは川下のビジネスのはなしですが、最後は山の持続可能性。飛騨市の出番です 飛騨市は昨年広葉樹天然性林の施業に関する基本方針を作成しました。(本文はこちら) その基本方針の内容の紹介ですが 市が補助金を交付する事業(施業)の実施にあたっては、基本方針に定める「天然更新事前評価基準」及び「災害リスク事前評価基準」により、確実な天然更新や災害リスク低減のための評価を施業前に実施し、それぞれの基準を満たすかを確認する。のだそうです ーーーー 伐採後後5年以内に更新状況を市がチェックしてネット上に公表します(右の図)(基本方針p9,更新の確実な担保と情報公開) すごいですねー。 (飛騨市で可能になったこと) 以上をまとめて、二点が指摘されています。 1 飛騨地域産広葉樹の生産・供給体制の確立 飛騨地域内の林業事業体、製材事業者、木材加工・製造・販売事業者17社により組織する『飛騨市広葉樹活用推進コンソーシアム』は、伐採地まで特定できる高いトレーサビリティと、各事業者の顔が見える独自のサプライチェーンを構築しています。(左図) 2 広葉樹の特徴を最大限活かす企画提案力の実装 コンソーシアムには、国内外に様々なクリエイターネットワークを有する「㈱飛騨の森でクマは踊る」、日本を代表する家具メーカーの一つである「飛騨産業㈱」などが参画し、その確かな目と技術力で飛騨市産広葉樹の価値を最大限高める商品・空間等の提案及び製作・施工が可能です。(右図) 以上がプレゼンテーションの中身でしたーーーーーー (家具の木材が伐採された現場のいま) このような、システムをつくってきて、山と消費者の関係性ですが、ある家具を消費者が手に入れて、その原料の木材が伐採されたあとの山が今どうなっています、という情報提供できす可能性があると言われました。 ーーー以下市の担当者のコメントです 「コンソーシアム構成員が伐採した原木は、全てご覧いただいた流通拠点に集積され、仕分けされるため、そのようなことが可能です。 あらかじめ指示がなければ、伐採地ごとに分けて椪積みすることはありませんが、例えばある家具メーカーが市内の伐採予定地を見て、そこの材が欲しいということになれば、その分は土場での仕分け時に分けておくことが可能です。 素材生産者→土場(仕分け)→製材の各事業者と、それらをつなぐコンシェルジュが、物理的にも関係的にもとても近い距離にあるため、川下側のオーダーに細かく丁寧に応えていくことができ、それが飛騨市の取り組みの強みであると考えております。」 ーーーー 素材生産者→土場(仕分け)→製材の各事業者と、それらをつなぐコンシェルジュが、物理的にも関係的にもとても近い距離にあるため、川下側のオーダーに細かく丁寧に応えていくことができ、それが飛騨市の取り組みの強みであると考えております。」 ーーーー 小さな林業の究極と強みですね 期待しましょう sinrin5-21<hidaL> |
■いいねボタン
|