ニュースレター No.258 2021年2月15日発行 (発行部数:1560部) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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このレターは、「持続可能な森林経営のための勉強部屋」というHPの改訂にそっておおむね月に一回作成しています。 情報提供して いただいた方、配信の希望を寄せられた方、読んでいただきたいとこちら考えて いる方に配信しています。御意見をいただければ幸いです。一般社団法人 持続可能森林なフォーラム 藤原敬 |
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フロントページ:EUの炭素国境調整措置ー欧州の取り組む施策から学ぶ炭素価格が日本の森林や木材に及ぼす影響(2021/2/12)
総理大臣の。温室効果総ガス排出量を2050年までにゼロにるというのだけど、どうやって達成することができるのでしょうか? 「グリーン成長戦略」はだされたけれど、カーボンニュートラル(CN)という社会の大転換をしようというのに、主役である市民向けのメッセージがないことが、モノ足らないところです。(2050カーボンニュートラルにむけたグリーン成長戦略と森林・木材政策(CNにむけて「成長戦略」だけでよいの?)) (カーボンプライシング炭素税がいよいよ動き出す) どうしても必要になってくるのが、炭素に価格をつけて(カーボンプライシング)それににみあった炭素税をとったり、排出量の条件を設けて市場で売買する排出量取引などです。 年明けからいよいよ動き出したようです。 いままで、政府の中で炭素税実現にむけて、様々な検討会を仕掛けてきた環境省だけでなく、反対する経済界をバックにした、経産省まで検討会を立ち上げるのだそうです。 炭素税、政府内で綱引き 経産・環境両省が個別に検討へ(日経新聞1/27) そういう動きが、森林行政や木材ビジネスにどんな影響をもたらすのか関心を持ってきました。汚染者負担の原則によるカーボンプライジグ(炭素価格付け)が(木材)市場に与える影響-(2020/12/14) 今後二つの検討会を、この勉強部屋でも確りフォローして参ります。 (欧州で検討される炭素の国境調整措置) その第一弾として、欧州で検討されている炭素国境調整措置を紹介します。 右の図は、上記の日経新聞の記事に掲載されていたものです。カーボンプライシング関係する施策が三つある 炭素税、排出枠組み取引に、国境調整(調整)措置。 その三つ目が欧州で導入予定と書いてありますが、その情報がネット上に掲載されていました。 THE EU’S CARBON BORDER ADJUSTMENT MECHANISM よんでみました 炭素国境調整措置とは、「特定の持続可能性基準を満たさない輸入品に関税を課税し排除すること」なのだそうです。 炭素税導入で日本の経済界からの反対のロジックは、「日本が高い炭素税をかけると製品の価格が高くなり、そんなことをしていない国に、生産の拠点が移転し、日本の産業が被害をうける(カーボンリーケージ)」
それに対処する措置が、炭素の国境調整措置なんだそうですね。 上記の欧州の事例では、商品毎に設定されるようで、一番具体的に検討されているのが、「鉄鋼とセメント」なんだそうです。欧州国内の鉄鋼セメントの関連産業が炭素税を課税されていて、他国からの輸入品との競争にさらされている。 どうも、中国の製品が念頭にあるようです。 まだ、どんな仕組みで課税されるのかなど、検討中で詳しいことは書いてありませんが、第2四半期には施行されるんだそうです。 (日本の森林や木材ビジネスとの関係) EUの上記の資料に森林や木材といった言葉はひと言もでてきていませんが、この問題が森林や木材と関係しそうだと思ったのは以下の2点です。 第一点目は、炭素税という手法を先行して導入しているEUで、「鉄やセメント」いった建築資材の価格に炭素税が大きな影響をあたえるということです。このことは、炭素税という施策が製造過程で炭素排出量が少ない木材製品によい影響をあたえる(可能性が大きい)のだ、ということを示しています。汚染者負担の原則によるカーボンプライジグ(炭素価格付け)が(木材)市場に与える影響-(2020/12/14) 第2点目は、EUの国境調整措置という遠方のマーケットにおける措置なんですが、それが中国やアジア地域の大きな資材供給産業影響を与える可能性があるということです。 つまり、EUに高関税がかけられて売れなくなった中国製品が、日本市場に大量にながれてきて、安売りされるという、リスクがあるんですね。特に建築材料に影響が。 欧州の政策を確りウオッチしながら日本の政策も考えなくてはないんですね。 そんなことで、このテーマ大切になりそうなので、勉強部屋でフォローして参ります。 kokusai2-76<EUCBA&forest> ■いいねボタン |
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ウェブセミナー「ポストコロナの社会と森林」(2021/2/12) 昨年の11月27日開催された標記イベントの情報が、森林総研のサイトに掲載されいます。 少し時間がたってしまいましたが、「後日、森林総研チャンネルにて当日収録された動画を公開します」とされていたのが、ユーチューブ上に画像が公開されたようなので、ご紹介します。 ①COVID-19など人獣共通感染症の伝播の速度と森林減少・陸域の生物多様性の減少の関係、②ポストコロナの安定的な生活基盤形成のための一極集中社会の対極にある社会の必要な市民生活と森林多様な機能との関係・・・ 研究分野の細分化、縦割りで業績を競う、プロの研究者集団が、自分たちの仕事と市民生活とどのような関係にあるのか、認知する機会でもあったようです。 市民の前に突然現れた新型コロナ禍に立ち向かうために、分野をこえて連携が始まり、こちらの方にも新たな世界がはじまっていることが、よく分かります。 それぞれのセッション毎に画像が配信されています。以下の表タイトル部分からリンク
2人の社会政策の専門家と、森林関係の専門家の対話。全部見ても2時間ほどですのでどうぞ。ユーチューブ上に画像が公開 junkan-9-5<postCOV19ffpri> ■いいねボタン |
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地球温暖化対策としての建築分野での木材利用 の促進-日本学術会議の提言(2021/2/12)
日本学術会議が昨年6月19日に「地球温暖化対策としての建築分野での建築木材利用の促進」という提言を公表しました。(紹介が遅くなってごめんなさい) 日本の科学者の代表機関である(学術会議法第2条)日本学術会議(以下「会議」といいます)の提言とは、会議法(第3条)で定める「職務」として「科学に関する重要事項を審議し、その実現を図る」ため、会議の部会など(今回の場合は農学委員会林学分科会(メンバー))が「実現を望む意見等を発表すること」(会議規則第2条)なのだそうです。 日本の科学者の代表機関が木材利用の促進を提案! 左が目次。まだお読みになっていない方は一読下さい。 私は、気になった2つの点に焦点をあてて、紹介します。 (経済林の適地分析と森林のゾーンニングなど) この提言の「はじめに」に「建築分野での木材利用の促進を加速度的に進めるべく以下の提言を行った」とか書いてあり、目次の3と4が主題なのですが、その前に2 「持続的に利用可能な木材資源量の把握に関する研究の必要性と課題」という章があます。 単に、利用量が増えればいいのでなく、「川上の林業と川下の木材業との持続的な連携、景気の短期的な動向に左右されない環境保全型の持続的な経営が可能」を求める必要がある」(2(2)の最後。)ので、「森林のゾーンニングと、その優先度にしたがった、森林基盤データ整備技術」が必要、という6ページにわたる、力のこもった文章です。 さすがに、学術会議。 希少性から公共性の当たりは制度的iにある程度整って、関連研究が必要だ、という提言がのっています。最後の経済性。現在の人工林のどれを経済林として、していくのか? 「「経済林の適地分析は、一般に、次の4つの観点から判定される。①[地位]土地の肥沃度(土地生産性)、②[地利]地の利(主に伐採・搬出の利便性)、③[森林の集約度]林業適地に森林がまとまって存在していること、④[森林資源の成熟度]森林資源が成熟しており、持続可能な林業経営ができること、である。」 地利は改善できるし、後は確り評価して、将来に向けたビジョンをもって国家事業としていかなけれならない、としています。 次に (利用促進に関わる環境負荷評価の必要性と現状) 木材利用を推進する場合、消費者との連携の課題が大切だと思っていますが、そのへんが、政府の成長戦略にかけているところだと思っていました(2050カーボンニュートラルにむけたグリーン成長戦略と森林・木材政策ー市民と共に木材利用の推進)。 そんなところに、今回の学術会議の提言で、「利用促進に関わる環境負荷評価の必要性と現状」は大変重要な提言だと思います。 「木材サプライチェーンを俯瞰的に捉え効率的な環境負荷削減策を検討すること、また、定量的な分析に基づいて削減策を検討することが必要不可欠と考える。そこで活用が期待される評価手法の一つに、Life Cycle Assessment (LCA)15)も挙げられる。LCA を活用すれば、育林・伐採・加工・利用・廃棄などのプロセスごとに、温室効果ガス排出量や大気・水質の汚染物質排出量などの環境負荷を定量的に明らかにすることができる。」としています。 数少ない関連研究として以下が紹介されています。小林謙介、若林國久、藤津浩輝、谷口沙也佳:森林資源の利活用に関わる建築分野での環境負荷削減策に関する研究、日本建築学会環境系論文集、第84 号、pp.1019-1027、2019.1 木材の由来とその場所の再造林されているかどうかが、その木材のLCA評価に反映するといった、ことが書かれていますが、どんな仕組みなんでしょうか?おもしろそう いずれにしても、ウッドマイルズフォーラムのやってきた仕事も、結構重要な蓄積となりそうですね。 junkan3-20<SCJmokuzai> ■いいねボタン |
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森林保全と都市木造化で持続可能な未来へー日経新聞主催ウェブシンポジウム(2021/2/12)
昨年12月18日、日経新聞社の主催で「森林保全と都市木造化で持続可能な未来へー木が実現するレジ離縁とな社会づくり」というイベントが開催さた(そうです)。(ごめんなさい) 午前中は森林保全の取組、午後は都市木造化と、丁寧な講演とディスカッション。 ビジネスの担当責任者が登壇して講演をするのですが、自社のPRだけでなく取組の詳しく背景説明もふくめた紹介で、参考になります。 ほぼ全体のプログラムの映像が、ネット上に公開されていました。 午前と午後二つの映像、あわせて5時間です。ご興味のあるかたは是非ごらん下さい。 NIKKEI CHANNEL 森林保全と都市木造化で持続可能な未来へ(1午前) プログラム
junkan1-23<tosimoku-nikkei> ■いいねボタン |
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日経新聞と都市木造化ー勉強部屋ニュース258編集ばなし(2021/2/12)
日経ESGという雑誌の最新号3月号に8ページにわたる「森林保全と都市木造化で持続可能な未来へ」とう記事が載っていました。日経新聞が主催したシンポジウムの詳しい紹介記事だ、と思って読んでみたら、「広告」だとありました。だれが広告したの? 日経のメディアに日経が広告?その辺のメカニズムはよく分からないのでおいておいて、中々充実した記事なので、ネット上に情報をめたら、5時間にわたる丁寧な映像がNIKKEI CHANNELというサイトに掲載されていました。 都知事が20分にわたって政策紹介。多摩産材ばかりでなくもっと高い視野から話をしてもらいたいなーと思っていたら、全国知事会の話や、地方と大消費地をネットワークでつなぐ拠点が新宿に。今度紹介しますね。その他に、住友林業、三井ホーム、三菱地所・・・環境に関連する色んな政策を「主流化」するという課題がいわれていますが、もうひとがんばりですかね。 次号以降の予告、バイデン大統領の森林問題、地域の未来自伐型林業で定住化、森林ビジネスイノベーション研究会、クライメートスマート林業とは、FITと森林認証システムSGEC/PEFCの場合、御殿場の木質バイオマス発電ーローカルな林業の可能性、欧州の炭素国境調整措置の内容 、konosaito<hensyukouki> ■いいねボタン
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