持続可能な森林経営の実現のための政策手段に関する勉強部屋
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ニュースレター 024
2001年9月11日
このレターは、表記HPの改訂にそっておおむね月に一回作成しています。情報提供していただいた方、配信の希望を寄せられた方、読んでいただきたいとこちらで勝手に考えている方に配信しています。表記HPも併せてご覧下さい。御意見をいただければ幸いです。 藤原
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目次
フロントページ:カナダ産針葉樹製材相殺関税の我が国との関係
英文サイトの公開
8月10米国商務省は、業界から提訴のあった、カナダ産針葉樹製材の相殺関税課税に関して、調査結果を発表し、19.31%の課税をかけることを決定しました。(商務省発表ファクトシート) カナダ産の針葉樹の立木価格が一般の価格より低価格に設定されておりそれが、ガット16条の相殺可能な補助金に相当すると認定したものです。北米の二国間の20年来に及ぶ紛争の一場面といえばそれまでですが、ちょっと考えてみると、いくつかの疑問が浮かびます。カナダ産の針葉樹の立木価格は米国向けの輸出も日本向けの輸出も同じ価格のはずです。なぜ、米国が相殺関税を発動するのに、我が国は発動しないのでしょうか。それ以上に、米国が障壁をもうければ、その分は日本向けの輸出ドライブになるのではないでしょうか。事実カナダの企業は日本市場にいっそう注力(日刊木材新聞8月27日付け報道)するようです。
商務省が発表した告示の原文は数十ページにわたるものですが、相殺関税の率を決めるための基準となる設定の課程で持続可能な森林経営に必要なコストの内部化など、様々な検討がされたようです。我が国の林業関係者としてもしっかり検討すべき材料だと思います。
関係資料
商務省告示の原文
米加針葉樹事案の年表(ランダムレングス誌ウェブサイト)
カナダブリティシュコロンビア州政府関連サイト
「米加針葉樹製材貿易紛争が提起しているもの」 (林業経済誌掲載)林業経済誌99年12月号no614号に表記小論が掲載されました。米国の業界が20年間にわたって執念を燃やして主張した、「補助金によって廉価に輸出されているカナダからの木材に相殺関税を課すべきだ」との議論に対する、国際的な論争を材料に、来るべき森林条約における国際貿易ルールと持続可能な森林経営の関係を考察しようとするものです。要約と関係資料集を掲載します。
要約はこちら 本文ダウンロード
WTO補助金及び相殺措置に関する協定本文和訳
このサイトも一昨年の9月に開設以来、丸二年となりました。おかげさまでニュースレターの読者は300人を超え、思いも寄らない広がりを実感しています。さて、2周年を区切りとして思い切って英語のサイトを立ち上げることしました。直接のきっかけは林業基本法の改訂というG8の主要国の林業基本法制にかかるビッグイベントが海外にほとんど知られていないということを実感したことです。あらゆる意味で国際化が進行している現在、上記の米国とカナダの紛争をみてもわかるように、我が国の政策動向が他国に与える影響、他国の政策が我が国に与える影響は大きいものがあります。
そこで、微力ながらこのサイトの中にJapanese Forest Information View ー Global aspect of Japanese forest, Japanese view of golobal forest というサイトを開設しました。我が国の森林認証、森林貿易、林業政策などについて4半期に一度ほどの情報発信をしてゆくつもりです。今回の目玉は、基本法のバックグラウンドを解説した林業白書の要旨の英語版のリリース(林野庁のサイトに掲載)です。英語版白書については各国からリクエストがきました。どうぞお立ち寄りください。海外のお知り合いに紹介していただければ幸いです。
藤原敬
〒356-8687 独立行政法人 森林総合研究所
電話 0298-73-4751 FAX 0298-73-3795
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