ニュースレター No.2302018年10月21日発行 (発行部数:1436部) | |||||||||||||||||||||||
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このレターは、「持続可能な森林経営のための勉強部屋」というHPの改訂にそっておおむね月に一回作成しています。 情報提供して いただいた方、配信の希望を寄せられた方、読んでいただきたいとこちら考えて いる方に配信しています。御意見をいただければ幸いです。一般社団法人 持続可能森林なフォーラム 藤原 |
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フロントページ:Soiciety5.0の中の森林・林業(2018/10/21) |
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9月13日に開催された森林計画学会秋季セミナーに顔を出してみました。直接聞くことができなかったのですが、プログラムにすこし気になった報告があったので、報告者(京都府立大学田中和博教授)にお願いして資料をいただきました。 タイトルは「Society5.0 時代における森林計画学の再構築 ~ タイルポリゴンとKPIの導入 ~」紹介します。 (Society5.0とは) Society5.0というページが内閣府の政策サイトトの科学技術政策というページジに掲載されています。 Society5.0とはサイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)で、狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続く、新たな社会を指すもので、第5期科学技術基本計画において我が国が目指すべき未来社会の姿として初めて提唱された、のだそうです。 ネット上にたくさんの情報があふれていて正確なところが分からない面もあるのですが、AI(人工知能)、ロボット、IoT(モノがインターネットでつながる)など技術が進むことにより、大量生産・消費でない製品とサービスの提供システムができ、社会問題の解決や付加価値の拡大がはかられる社会ができるということのようです。 このような、社会を前提にして、森林の管理システムや林業、それをサポートする、森林計画のデータ処理体制がどんな方向に進むのか、というのが、報告のテーマです。 頂いた報告の論文形式のデータをこちらに置きます。 わたしの、理解する限りで、解説を試みます。 (タイルポリゴンを利用した森林情報の管理) 森林の情報は、一般的には同じような森林の状態(林相)にある森林をベースに囲みをした「林小班」を最小単位としてとして管理していますが、上空からの多量のデータが処理できるようになり、地上のデータも測定位置が細かく認識されるようになると、林相と関係なく、地表を四角形のタイル状のもの(タイルポリゴン)を敷き詰めたと仮定して、25メートルを一辺とするタイルポリゴンごとに、森林の情報を管理することができるようになります。
ポリゴンごとに、森林の樹高と樹幹の距離がわりと簡単に計測することができて、それが評価できるようになると、成熟した森林が、林道や作業道からの距離に応じてどのように配置されているか、などが比較的容易にわかるようになります。 (森づくりのための評価指標KPI、具体的な証拠にもとづく管理EBM)
このようの森林の情報が処理しやすくなると、森林を森林の自立度に応じて経済林・環境林・修復林の三つに分類したらどうか、という提案です。 そして、それぞれに社会的に分かり易い、評価指標KPI=Key Performance Indicator)を明確にすることができるというわけです。 そして、各森林を管理する主体が、具体的達成度合いを具体的な証拠基づいて管理(EBM=Evidence Based Management)し、結果をみなで評価することができるようになる、というのです。 (森林評価の専門家の思い) 森林の関係者向けの報告内容なので、一般市民向けに専門用語が説明されていないので、読みづらいかもしれません。話のスケールが大きいので具体的な道筋が今ひとつ見えてこないところもあるかと思います。 しかし、長い間森林管理を議論してきた専門家が、いままで、森林管理の関する情報がなかなか他の分野の専門家や、市民と共有しづらかった、そして、ITやIoTの進展で、長年の課題であった、からを打ち破ることができるのでないか、という森林の専門家の熱い思いが伝わる報告でした。 森林経営管理法によって市町村が意欲と能力のある事業者に委託した結果を、監査する仕組みを創ることも可能なのでないか、と田中教授は言われてました。 森林管理がはば広い市民の中で議論される新たなSoceity実現の一歩になることを心から期待します。 junkan1-17(Socio5.0) ■いいねボタン
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気候変動の保全の緊急性からバイオマスエネルギーの推進を再考する(2018/9/24) 勉強部屋では、主要な学術誌の中に掲載されている、森林の管理に関係のありそうな論文を紹介していますが(森林を畑にしてバイオマスを地中化するBECCSの功罪ーNature Communication掲載論文(2018/8/18):)、Nature、 Science にならぶPNAS(Proceedings of National Academy of Science of the USA 米国科学アカデミー紀要)9月25日号に木質バイオエネルギー推進に警鐘をならす論文Opinion: Reconsidering bioenergy given the urgency of climate protection(が掲載されています。 ) 森林政策、研究の方向性に関する問題提起です。 最初と最後の部分を訳出しておきます
当面の政策への意見でもありますが、長期的視野に立った学術研究の優先順位に関する議論です。 世界で2番目に引用数が多いという権威のあるPNASに、森林生態系研究の方向性に関する重要な問題提起があったという、ご紹介をしておきます。 今回も日本大学生物資源科学部水谷広教授に紹介をいただきました。ありがとうございました。 energy1-30i<bioenere> ■いいねボタン
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気候変動緩和策進捗計測指標(C=PPI)を利用したG20メンバー国の対策評価(2018/10/21)
9月に開催された環境経済・政策学会2018大会コレクションで紹介した、「気候変動緩和策進捗計測指標(C=PPI)を利用したG20メンバー国の対策評価」について、報告者の国立環境研究所亀山康子氏から、関連情報をいただいたので、分かる範囲で内容を紹介します。 この報告は、国立環境研究所が中心となって実施している、環境研究総合推進費 2-1501 「気候変動対策の進捗評価を目的とした指標開発に関する研究」 Climate change mitigation Policy Progression Indicator (C-PPI) というプロジェクトの最新情報に基づく報告です。 パリ協定では、2020年以降の目標(NDC)設定が国の判断に任されることとなったので、各国が作成した目標を評価する手法を創ろうという趣旨で、気候変動緩和策の進捗を評価する 指標(C-PPI)を策定中。 (C=PPIの中の森林に関する指標) C-PPIは、下表の通り排出量にもとづく4つのアウトカム指標、排出削減に関する導入された政策をあらわす37のアクション指標からなっています。
森林に関する指標は、アウトカム指標は森林面積の対前年度変化率 (評価結果の現時点での内容) 今回の報告は、これらの指標に基づいてG20メンバー国が現在公表しているデータで(特にアクション指標について)試運転をしてみた結果というものです。 20カ国のデータをもとに、計測した結果は国立環境研究所が5月に発表した「「気候変動対策の進捗評価を目的とした指標開発に関する研究」Climate change mitigation Policy Progression
Indicator (C-PPI) なお、昨年まで米国、 ドイツ、英国、中国、日本の5カ国に関する計測の結果が環境研究総合推進費 2-1501「気候変動対策の進捗評価を目的とした指標開発に関する研究」 ver.3に掲載されてますので、森林の指標がどんな状況になっているのか、概要紹介。 まず、アウトカム指標 森林被覆率は国ごとに大きく異なるが、変化率なら努力が評価できるのでないか、というアイディアです。 ただ、日本でも森林の面積データは5年に一回林野庁が公表している(森林資源の現況)という状態なので、中国のデータでもわかるようになかなか、難しい面があります。 Soiciety5.0の中の森林・林業(2018/10/21)に示されるように衛星からの大量のデータが処理できるようにると、森林面積の国ごとの変化率などが、比較的簡単に分かるようになるので、その辺の技術開発と温暖化進展のスピード競争のようになっています。
気候変動の政策全体の評価をするチームが、ウェブ上で公開されている森林行政のデータを集めて、気候変動の側面から、適切な対処ができているのか、という評価をおこなった結果です。 「何で、日本の違法伐採対策がNなのか」といったことを、少し議論をしてみましたが、他の分野も含めてそれぞれの分野の専門家の関与が十分でないので、少し不正確かも、という面もあるようです。 ただ、この手の評価システムができることは、パリ条約を進めていく上でも不可欠なことなので、来年6月に大阪で行われるG20サミットにむけて、日本が始めたこのプロジェクトが世界中の注目を集める可能性もあります。 森林政策や実態の掌握技術が外部から評価をされるケースの一つとしてフォローしていく必要があるように思います。 kokusai2-62(C-PPI) ■いいねボタン
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日本の森林のガバナンスとクリーンウッド法(国民と森林誌への寄稿)(2018/9/23)
森林政策に提言をしてきた国民森林会議が「国民と森林」という季刊誌を出版していますが、その巻頭言に、「日本の 森林のガバナンスと クリーンウッド法ー森林行政の課題を 開かれた議論 にしていく 機会」と題する小論を掲載していただきました。了承をいただき、掲載します。
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急がれるSociety5.0ー勉強部屋ニュース229編集話(2018/9/23)
都市から離れたところに点在する森林資源。それを適切に管理するには正確な現状把握が必要。さまざまな衛星データやドローンなど上空からのデータ処理が進んできて、転機が訪れるのでないか、というのが京都府立大学の田中教授のSociety5,0と森林の話。 この話がどんな可能性をもっているのかの、格好の例例が、気候変動緩和策進捗計測指標(C=PPI)を利用したG20メンバー国の対策評価(2018/10/21)でした。各国の森林政策が気候変動対策に寄与しているかよく分かるには、毎年の森林被覆率の変化率がどうなっているのかみればいい・・・、のだけれど、Society4.0の現在の森林面積を毎年正確に把握する国はいない(でしょう)。が、Society5.0ではだれでも、どこの国、県、町の森林の変化が分かるようになるはずです。 10月18日全国木材産業振興大会があり、広島にいってきました。大会宣言のサブタイトルは、木をつなぐー神々の時代から今、そして未来へー。広島県県産木材利用促進条例など話題満載。次号で報告します。 次号以降の予告、森林環境譲与税の施策事例集、第53回全国木材産業振興大会、新しい全国森林計画、環境経済・政策学会SEEPS2018報告紹介(続き)、IPCC1.5度特別報告書の中に森林、REDD+の最近事情 konosaito<hensyukouki> ■いいねボタン
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