ニュースレター No.160 2012年11月25日発行 (発行部数:1350部) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||
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このレターは、「持続可能な森林経営のための勉強部屋」というHPの改訂にそっておおむね月に一回作成しています。 情報提供して いただいた方、配信の希望を寄せられた方、読んでいただきたいとこちら考えて いる方に配信しています。御意見をいただければ幸いです。藤原 |
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フロントページ:総選挙のマニュフェストと森林林業(2012/12/25)
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12月16日に行われた総選挙は自民党の地滑り的大勝、民主党の歴史的大敗北という結果となりました。 もっとも結果は「民主党の失敗への懲罰投票」であり、比例区の票を前回の総選挙と比べると、民主党が減らした約2000万票が第三極に回り、投票率が下がったこともあって自民党も得票数を減らしています。「決して自民が「勝者」ではない」(日経社説12/17)といわれるゆえんです。 民主敗北の原因の一つは「2009年の前回衆院選のマニフェスト(政権公約)を達成できなかった」というものです。「総予算を組み替えて9.1兆円(埋蔵金、租税特別措置の見直しも入れ平成25年度までに16.8兆円)の財源確保」(政権政策の実行手順)といったポイントとなる施策が、事業仕分けのような大がかりなパフォーマンスの中で、数千億円しか捻出できなかったのは典型的な例です。 (森林政策に関するマニフェスト) それでは民主党の森林政策がどうだったかをみてみましょう。 このサイトでも2009年の選挙戦でのマニフェストの森林政策部分の紹介をしています。 民主党の森林・林業に関連する政策(2009/9/20)
また、今回の選挙戦の各党の森林政策を以下に掲載しました。(滋賀県立大学高橋さんの情報(facebook日本の森林)にたよっています) 3年前と今回の二つの文書を読むと民主党の政策の前回選挙の充実ぶりにくらべて、今回のものが貧弱なのがわかります。 2009年のマニフェストでは
などとなっていて、「森林林業再生プラン」の中で全体として実施に移されているものです。公共建築物等の木材利用促進法(10年5月)、森林法改正(11年5月)、再生可能エネルギー電力固定価格買取法(11年8月)、国有林野の管理経営に関する法律等の一部を改正する等の法律(12年6月)、マニフェストにそった重要な法律がこの3年間で全会一致で成立しました。 政権に座る自民党の、今回の選挙における森林政策は以下の通りです
今までの法案が自民党と民主党の間で協議にもとづいて作られてきたので、大きな転換はないと考えられますが、木材価格安定化対策など注目すべき点です。 自民党の農林水産業関係の産業政策は昔からの族議員の流れと蓄積で、深みがあって興味深いです。 民主党は、あえてその道(族議員)を選ばなかったということかもしれませんが、十分なアンチテーゼを提案し切れたかったように思います。 参議院選挙に向けた政局がらみの動きが注目されるところですが、今後も含めて政権の交代や、選挙のたびに、政策論が進化するような形になるよう 願います。 kokunai6-29(sosenkyo2012) |
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気候変動枠組条約COP18関連会合と森林(2012/12/25) 11 月26 日から12 月8 日まで、ドーハ(カタール国)において、「気候変動枠組条約第18 回 締約国会議(COP18)と関連する会合が開催され、@COP17ダーバン会合で決定された2020年に発効を目指す新しい国際枠組みに向けての交渉手順、A途上国支援のための資金計画、B京都議定書第2約束期間(13年から8年間)の排出削減の報告の仕組みなどが決定しました。 COP18公式サイト(英語) 解説記事(日経12/9)、朝日12/10、読売社説12/12、AFP、WWF @の交渉手順については、「強化された行動のためのダーバン・プラットフォーム特別作業部会(ADP」を年に2回ほど開催し、14年のCOP20に向けて議論をしていくことが決まりました。 (先進国における森林等吸収源の取扱い) @京都議定書第二約束期間における温室効果ガスの計上、報告に関する細則を定めた文書が改訂されました。Addressing the Implications of decisions -2/CMP.7 to -5/CMP.7 on the previous decisions on methodological issues related to the Kyoto Protocol including those relating to Articles 5, 7 and 8 of the Kyoto Protocol Aまた、先進国の隔年報告に使用する報告表の様式が決定されました。Common tabular format for the "UNFCCC biennial reporting guidelines for developed country Parties" (CTF) 我が国は、京都議定書の締約国のまま京都議定書第二約束期間には参加しない(第2約束期間の数値目標が空欄、他にニュージーランド、ロシア)ことになりますが、森林経営参照レベル、伐採木材製品や自然攪乱の取り扱いなど昨年のCMPで合意された森林等吸収源のルールに則して吸収量を報告することが規定されました。 ( 途上国における森林減少・劣化に由来する排出の削減等(REDD+)の取扱い) SBSTAでREDD+の技術指針について、AWG-LCAでREDD+が本格実施される場合の資金のあり方について議論が行われた結果、技術指針については引き続きCOP19に向けて検討されることとなったほか、REDD+が本格実施される場合の資金のあり方については、追加的資金の有効性等に関するワークプログラムの実施と、今後、SBSTA及びSBI合同で支援や組織に関する検討を行うことが盛り込まれました。Agreed outcome pursuant to the Bali Action Plan(7−8ページ) kokusai2-44<unfccccop18> |
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都市の低炭素化の促進に関する法律と木造住宅(2012/12/25) 「都市の低炭素化の促進を図り、もって都市の健全な発展に寄与すること」を目的とした「都市の低炭素化の促進に関する法律」が12月4日に施行されました。 都市・交通の低炭素化・エネルギー利用の合理化などの成功事例を蓄積し、その普及を図ると ともに、住宅市場・地域経済の活性化を図ることが重要のことから、基本計画の策定、民間等の低炭素建築物の認定、市町村による低炭素街作り計画の策定など実施するものです。 この中で低炭素建築物の認定は、認定された建物の所得税、登録免許税の特例措置で、サポートするものです。 その基準は、@省エネ法の省エネ基準に比べ、一次エネル ギー消費量(家電等のエネルギー消費量を除 く)が△10%以上となること。(※)という、定量基準の他に、以下の8つの基準の二つをくりあしていることです。 @節水に資する機器を設置している。 これらの基準は、●経済産業省の総合資源エネルギー調査会省エネルギー基準部会住宅・建築物判断基準小委員会 、●国土交通省社会資本整備審議会建築分科会建築環境部会省エネルギー判断基準等小委員会 、●環境省中央環境審議会地球環境部会低炭素建築物に関する専門委員会 合同会議での検討を経たものですが、(林野庁かかかわらない枠組みで)木造住宅もしくは木造建築物であることにメリットを与えらら得ていることは重要なことです。 この会合に提出された、資料4 低炭素建築物の認定基準の素案(PDF形式:1,184KB) には、以下の記述があります。
ウッドマイルズ研究ノート(その18)「建設時における木造住宅の二酸化炭素排出量−木材製造時のCO2 排出量と住宅の構法別CO2 排出量−ウッドマイルズ研究会 2008/3/1」が引用されています. 特に、多様な産業の関係者があつまる経産省の関係委員会などの場で、木造住宅に加点するといのは少し難しい議論だったはずですが、ウッドマイルズ研究会の10年間の蓄積の一部が、行政の最前線の議論を引っ張っていっているというのは、うれしいことです。 energy4-1(teitansocity) |
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今年10月1日から温暖化対策税が導入され、石油石炭税に石油ではキロリットルあたり250円、石炭ではトンあたり220円、瓦斯ではトンあたり260円が上乗せされ課税されています。 26年度と28年度の二回にわたり税額が引き上げられ最終的にはそれぞれ、760円、670円、780円となる予定です。二酸化炭素排出量1トンあたり289円分を課税しようという考えです。 環境省解説ページ、税制のグリーンかー4地球温暖化対策のための税の導入 この税収は初年度391億円、28年度以降2623億円と見込まれていますが、使途は「「省エネルギー対策、再生可能エネルギー普及、化石燃料のクリーン化・効率化などのエネルギー起源CO2排出抑制の諸施策を着実に実施していく。」(環境基本計画)としており、肝心の吸収減対策には配分されたいこととなっています。 これには、いままで環境税導入を主張していた関係者から意見が出されています。 「森林関係の地球温暖化対策を考える会」、決議文「日本の森林非常事態宣言」(7月20日) また、重点政策 2012 自民党政策の森林吸収源対策のための安定財源確保も、この税制の財源を念頭に置いたものだと思います。 25年度の税制は年明けに決着がのびましたが、新政権のマニフェストにそってどのような対応するのか注目されます。 kokunai4-34(ondannkazei2013) |
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「眠れる日本の宝の山 〜林業再生への挑戦〜」クローズアップ現代(2012/12/25) NHKの看板番組(?)クローズアップ現代で11月13日標記の番組が放映され、あちこちに反響がありました。(取材を受けたのに全然取り上げられなかった、というのも含めて)、 ドイツで林業木材産業が主要産業分野になっているように、日本の林業と木材産業がメジャーになるにはどうしたらよいか、という至って前向きな内容でした。 NHKの関連サイトも、動画はダイジェストですが、テキストでの丁寧な再生ができています。 放映された完全版は、ユーチューブに掲載されています(NPO国産材提供)。 イントロに使われていた、ドイツの木材産業は80数万人の雇用があり、自動車産業並みという部分について、確認してみましたが、製紙、家具、印刷業なども含めた数字のようです。森林総研の堀さんなどにドイツの資料を紹介してもらって比較をしたのが以下の通りです。
kokunai6-29(kurogen2012) |
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