国際認証(サステイナブル・ラベル)の視点から見た木材のサステイナブル管理と調達ー勉強部屋Zoomセミナー第2回報告(2025/8/1)

7月14日勉強部屋Zoomセミナー本年度第2回を開催しました。

ゲストに山口真奈美さん(一般社団法人 日本サステナブル・ラベル協会(JSL)代表理事)を迎え「国際認証(サステイナブル・ラベル)の視点から見た木材のサステイナブル管理と調達」というテーマに沿って、お話を伺い意見交換をさせていただきした。

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世界中で減り続ける森林、再生が不安な国産材など、森林のガバナンスをしっかりやっていく必要がありますが、その一つのカギが森と消費者の連携を担うがサステナブル・ラベルですね

有機(オーガニック)農産物、オーガニックコットン(繊維)、ダウン&フェザー(動物福祉)、森(木材・紙製品)、海(水産物)など、さまざまな幅ひろい活動をされている、山口さんです、森林のガバナンスの次の段階を議論する場でした

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それではプレゼン内容を紹介します。いただいた公開可能なプレゼン資料にそって、つまみ食いです。(すこし藤原が加筆かも)

目次は以下の通り

1.自己紹介
2.地球環境・サステナビリティと私たちとの関係
3.木材のトレーサビリティとサステナブル管理と調達
4.国際認証(サステナブル・ラベル)について
5.様々な分野の国際認証の視点からみたヒント
6.環境・社会的課題解決に向けて
7.最後に

(自己紹介)

2017年日本サステナブル・ラベル協会を設立して、、環境や社会に配慮した持続可能な国際基準を軸に、多岐にわたる認証を支援のをするほか、他、持続可能な調達方針策定やサステナブル調達など、企業のサステナビリティと消費者・学生・政府他エシカル消費の推進をなどを支援してきました。

そして、、環境社会課題解決と同時にサステナブル・ライフスタイルが浸透する、持続可能な社会の実現に向けて活動しています。

本を出版したり、雑誌に執筆したりしています(右の図)

(地球環境・サステナビリティと私たちとの関係)

私たちは朝起きてから、寝るまで衣食住さまざまな製品を選んで使っています。(左)

私たちが消費する製品は、私たちに供給される過程で、原材料の採取・流通・製造・加工・流通小売という過程で、どのような取扱いになっているか?「製品・サービスのストーリーと環境・社会的課題の関係をしっかり踏まえておく必要があります。(右)

(木材のトレーサビリティとサステナブル管理と調達ーFSCを例に)

FSCの認証システムは、森林管理FM認証と加工流通過程CoC認証の二つで出来上がっています。

FM認証はFSCの10の基準と原則(右図)
にそった、管理が行われているか?を第三者がチェック

CoC認証は製品が完成するまでのすべての工程で、FSC認証製品と、そうでない製品が分別管理されて加工流通されているか?を第三者がチェックチェック

左図のように、✓文書審査✓生産現場などの訪問✓インタビュー✓サンプリング✓情報の照合確認 などでチェック

第3者認証に関する説明資料もありました
第1者認証:組織の経営者の依頼により行う審査・監査による認証
第2者認証:利害関係者(取引先やグループ会社など)の依頼により行う審査・監査による認証
第3者認証:利害関係のない認証機関などによる、審査・監査による認定・認証

(.国際認証(サステナブル・ラベル)について)

まず一般社団法人 日本サステナブル・ラベル協会 の紹介です

サステナブル・ラベル(すなわち持続可能な原材料調達や環境・社会的配慮につながる国際認証ラベル)を普及させることで、倫理的な生産・流通・消費を促進し、持続可能な社会の実現に貢献することを目的としています。

当協会では、「買い物は未来への投票」と捉え買い物をする人も、販売する人も、環境に負荷をかけず、社会的配慮された商品を見つけやすく、買いやすく、売りやすくするために、さまざまなサステナブル・ラベルを普及啓発しています。

なにが、サステイナブルラベルで何が違うのかな?

その議論の前に、どんなラベが普及されているのか、サンプルを見てみましょう

左から順番に、漁業: MSC(Marine Stewardship Council)海洋管理協議会、養殖: ASC(Aquaculture Stewardship Council) 水産養殖管理協議会、有機JAS、パーム油:持続可能なパーム油のための円卓会議、農業:レインフォレスト・アライアンス、フェアトレード:国際フェアトレード認証ラベル

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この節の最後に、国際認証制度の特徴と強みというページがあり、以下のようなことが記載されています。

〇世界共通の基準の採用
〇多様な利害関係者の意見を反映
〇審査過程の高い透明性
〇科学的根拠・客観的証拠に基づいた審査
〇FAO等、国際ガイドラインに準拠
〇自然環境と生物多様性の保護に貢献
〇人権・地域社会に配慮
〇認証製品のトレーサビリティを確保
〇第3者が審査・確認しているという信頼性・透明性

この団体が取り扱う一般的な基準が記載されているで、幅広く応援しますよーというメッセージですね。

(様々な分野の国際認証の視点からみたヒント)

他の分野からのレッスン。インパクトのある図が紹介されました

「暮らしを支える繊維製品と生産地での課題」です。確かに木材製品い比べると繊維製品のほうが普段選択するケースが多く、その選択がどんなインパクトがあるのか、左図の下の写真の例です。

2013年バングラディシュのラナ・プラザという8階建ての商業ビルが、崩壊し1000名以上の死者がでましたが、その多くがそのビルの縫製工場で働いていた労働者で、何を縫製していたかというと・・・MangoMatalanBenettonなど27のファッションブランドの製品

ラナ・プラザ崩落事故とは?を是非見てください。安全管理を怠った劣悪な労働環境で働く人に支えられた、世界のファッションブランド製品!!

これを契機にファッションレボリューション(ファッションが人や環境に与える影響を知った上で、調達・生産・消費、すべての段階における透明性を高める運動)などがおこり、Global Organic Textile Standard(GOTS)国際認証も大切なツールになっています。

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このセッションの最後に、各国の取組を紹介されました。

2010年代から欧米では、デュー・ディリジェンス(DD)プロセスの情報開示・実施・
サステナビリティ関連の法制化する動きが広がる

経済産業省:責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン(2022年9月)
責任あるサプライチェーン等における人権尊重のための実務参照資料(2023年4月公表)
環境省:環境ディリジェンスに関するハンドブック(2023年5月公表)

日本では、例によって、任意のハンドブックから始まって、法的規制へという順番ですね

この表の最後に記載していますが、繊維産業の監査要求事項・評価基準「Japanese Audit Standard for Textile Industry」(JASTI)が始動しました。山口さん曰く「繊維産業がGOTS)といった国際的なサステイナブルラベルの厳しい基準をとるのは大変だ、という声をうけて、日本政府が少し緩い基準をクリアした製品を識別するマークを作成しました。

推進事務局は日本繊維産業連盟内に設置、ですから、木材業界であれば、全木連の中に、クリーンウッド法登録推進事務局が設置された、ですかね

FSC・PEFCのクリーンウッド法の関係の次のステップに向けたヒントでしょうか?

環境・社会的課題解決に向けて)

エシカルやサステイナブル経営が求められる中で、エビデンス(裏付け情報)が求められる時代になってきました。

その中で国際認証は大切な役割を果たしています。

大手小売業者のサンプルが提示されました。

イオン持続可能な調達方針
セブン&アイグループ持続可能な調達原則・方針
日本生活協同組合連合会「コープ商品の2030年目標」
Amazon、Climate Pledge Friendly(クライメイト・プレッジ・フレンドリー)プログラム
日本マクドナルド株式会社責任ある調達を

方針の中に、FSCとかいったラベル名が記載されるケースもあり、国際認証はサポートしています

(これからの取組への提案1)

企業の取組の場合、三つの側面があります

① 自社製品における、主な原材料に関わる調達(製品化された、自社の商品・サービス)
② 自社製品の梱包・副資材・販促などに関わる調達(商品のパッケージ、梱包資材、ノベルティ等)
③ 自社で消費する物品などの調達(販売目的ではなく、自社内で使用するもの) 

①が大切なのは当然ですが②③も忘れずに。

(これからの取組への提案2)

持続可能な観光の中での持続可能な森林の重要性、レストラン内装木材のトレーサビリティなど、様々な分野のビジネス関係者が森林の持続可能性に関心を広げています。

森林・木材ビジネス分野だけでなく、他の業界との連携を考えてください。いろんな業界のひとと横ぐしの連携を

(これからの取組への提案3)

消費者の視点からエシカル消費という言葉を大切に。

山口さんが副会長をしている一般般社団法人日本エシカル推進協議会(JEI)エシカル基準など大切な情報が掲載していで、覗いてくださいね。

(グリーンウォッシュの課題)

故意に実態以上に見せかけること
・環境意識の高い顧客へアプローチするための誇大広告、虚偽のラベリング
・“自然”と関係なく“グリーン”という用語を使用
・根拠を欠いた環境配慮型の取り組みや広報

気を付けましょう(左の図)

(最後に)

買い物は未来への投資です(右図)

エシカル&サステナブルな企業活動を通じて→サステナブルな未来へづくりに参加して下さい―(左図)

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以上でプレゼンの紹介を終わります。

ご関心の有る方は、こちらにプレゼン配布資料が掲載されている(←少々お待ち下さい)ので、どうぞ

((質疑の時間))

持続可能な資源の確保とか環境問題が問題視される森林認証問題ですが、持続可能な人間社会づくりといったサステイナブルラベの話ですね。

たくさんの質問が皆様からあると思いますが。まず、わたしから代表して5問質問します。といって以下の質問をしました。

Q1_from藤原:どのように普及されているのかに関して質問があります。JSLのサイトを見ると9のSLが掲載されています。これらが普及対象のラベルだというのはわかるんですが、そのほかにSLはないんですか?普及対象になる手続きとか、国際的な基準とかあるのかないのか?最後にグリーンウォッシュという説明もありました。自分ではグリーンだと言っているけど、そうでないというシステムががあることですね。ということも背景いにあり、国際認証の基準のようなものがあれば、伺いたいです。
Q1-2関係しますが、山口さんはFSCのイベントの中心になっていますが、FSCとSGEC/PEFCとの関係はどのように見ていますか?

A1_from山口さん:内部で一応の基準は持っています。とりあえずのしくみを評価する時に、第三者認証を取り入れているか、これは大切です。グローバルな基準が色々普及しています。例えば、ISO1401、第3者認証している団体の集まりであるisealなどにはいっているか?また、分野別に国際認証の評価をしている団体(農業では、水産物では___)これも大切な仕組みです。これに関係あるしくみはよいですが、これにでなければJSLは普及しませんという基準はありません。普及する場合一つの分野にいろいろ普及すると混乱するので、木材の場合SFCのを取り上げることが多いですが。FSCは私が理事をしているからで、特にPEFCが問題があるという認識ではありません

藤原からコメント:「SGECも応援してくださいね」

Q2_from藤原:有機JASだとか、経産省の動きだとか、サステイナブルラベルの普及について他の分野では国の役割が結構重要ですね。木材に関連してクリーンウッド法があります。まだ、合法確認木材だけの枠内でやっていますが、エシカルとかサステイナビリティなどに幅を 広げてステップアップしてほしいと思っています。その辺も含めて国の役割どう思いますが?

A2_from山口さん; グリーン購入は大切です。企業はサステイナブルにしようとしても金はかかるしあまりいいことはない。国のできることはいろいろあると思います。、企業が報われるサポートもあるのでないでしょうか。SLを使わない企業を取り締まるというのが一番効果があるとは思いますが。有機jasの有機農地は今2%ほどの広がりだが、2050年までに25%にするというという国の方針が決まっています。省庁が連携して横展開してほしいです。

Q3_from藤原: 日本のFSCの普及状況が少ない、と皆いいます。他国とくべれべ英国などでは80%がFSCだとか言われますが。普及をすすめる上で、日本で進めるべき課題など教えてください。

A3_from山口さん:外国にいくと、スーパーの展示にサステイナブルラベルコーナーなどがあって、店舗側が努力しています。また、店舗側で良い情報だけでなく、これにはこんな問題がありますなど、総合的な情報提供をしている例もあります。NGOの力が強いという背景もあるかもしれませんね。あと外国人は疑い深い、販売側がいろいろいいこと言っているけど、これ本当?と直ぐ思う(性悪説)。それで第三者が調べる位置づけが高まるということもあるかもしれません、日本人は性善説で欧州人は性悪説?

Q4_from藤原: 他の分野の国際認証にの取組をされている山本さんの情報大変勉強になります。関連してうかがいますが、森林認証制度をご覧になっていて森林分野の特質はどのような点ですか?私は木材は他の分野と比較すると、サプライチェーンが細かくて第三者認定するのが大変なので業界団体認定などが大切なのでないかと思ったりします。。それも含めて、気を付けなければならない点、他の分野の参考になる進んでいる点など。

A4_from山口さん:食品などはリスクが違います。食中毒のリスクはなのは良いことですね、サプライチェーン側で選択肢が多くなるから、いろいろ工夫ができるんだと思います。日本がやっている業界団体認定に関連しますがGOTSも、小規模の関係者が多いので、皆第三者認証を取るのは難し。というので、日本でグループ認証のようなシステム提案をして国際的に認められ日本発の改革となりました。そういう場所で業界団体というのは役割を果たす可能性がありますね。

(参加者からの質問)

全部は答えられなかったのですが参加者から質問をいただきました。ありがとうございました

Q+コメント A
繊維産業ですがガイドラインがたくあんあって大変です。実施する過程で行動変容というのがありますか? 日本の場合、規制をするより自主的にやってそれから規制という形いなるので、ガイドラインが多いですね。認証に取組む過程での行動変容ですが、取得したら高く売れたというより、体制が整った。皆同じ方向に動くようになったといった、ことをよく聞きますね。
認証の有無がどんな違いを生みますか? 南三陸で森林認証を取った団体が、漁業もやっていて、よいカキができるようになった。みんなで考えシステムを作っていくなど関係あるのでないでしょうか
認定基準はだんだん変化してきますか?どんな方向ですか?認定されたけどだめですといったあとで、取り消されることもあるんですか? 認証システンは定期的に基準を改定しています、皆さんの意見を伺いながら。どちらかというと厳しくなる方向です。取り消しもあります
価格プレミアムはありますか? 森林分野は認証されT製品とそうでない製品であまり値段が違わないといわれていますね(価格プレミアムがない)。他の分野は価格プレミアムがついているという方がおおいですね。売る場合しっかり、認証に基づくストーリーを伝えて、納得してもらて買ってもらうのですね
認証のハードルはなんですか? 内部でどんなことをしたらいいかということをしっかり周知するのが大変ですね。忙しいのにこんなめんどうなことはできないーなど。
一度、マネジメントシステムをつってしまえば、そう大変なことでもなくなります
教育のプロセス色々ありますか。 学生などが一緒に学ぶ会などやっています。
でも普通の教育課程で認証制度をおしえるのは、難しそうですね。教育者である先生がよく知らない。
先生が教えるシステムが出来ていないなら、AIDEテキスト作りができあせんか JSLでもそんな取り組みをしてみます
以上です

((サステイナブルだけでなくエシカルなど幅を広げる方向性))

1980年代あたりりから意識された熱帯林の破壊のはどめといったコンセプトに基づいて1990年年代に始まった森林認証制度は、本日紹介があったさまざまな分野の原料とサプライチェーンの第三者認証で管理するシステムとしては先頭を走っていたんだと思います。その中で、他の分野ではサステイナブルに加えてエシカルな消費といった視点で、サプライチェーン上の劣悪な社会、労働環境など関心事項を広げています。

また、第三者認証のサプライチェーン構築の難しさをクリアするために、グループ(団体)による手続きとか、国のサポートなどが大切になっていることが解りました。

そんなことも含めて、クリーンウッド法といった場合、何がクリーンなのか?次のステップで幅を広げて可能性などがあるんだと思いました。

((皆さんへ)

以上がZOOMセミナーの内容紹介でした

はこちらに、山口さんのプレゼン資料データがあります(←少々お待ち下さい)ので是非ご覧ください→国際認証(サステイナブル・ラベル)の視点から見た木材のサステイナブル管理と調達プレゼン資料PDF

また、

プロジェクト参加者や持続可能な森林フォーラムの個人会員、団体賛助会員にはアーカイブ動画が見られるようになっています。

フォーラムの個人会員や団体賛助会員の参加手続きはこちらからどうぞ

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(森未来と連携)

昨年から素晴らしい内容を多くの方の共有できるように、持続可能な森づくり向けたビジネスネットワーク構築を進めている株式会社森未来さんと、共催企画としました。

zoomの設定とか、皆さんへの案内、アンケートの回収など、大変お世話になりました。今後ともよろしくお願いします

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