プレゼントツリー:森林再生と地域振興の同時実現を目指して20年~の今までとこれからー勉強部屋Zoomセミナー第1回報告(2025/6/10)

5月20日勉強部屋Zoomセミナー本年度第1回を開催しました。

ゲストに鈴木敦子さん(NPO環境リレーションズ研究所理事長)を迎え「プレゼントツリー:森林再生と地域振興の同時実現を目指して20年~の今までとこれから」というテーマに沿って、お話を伺い意見交換をさせていただきした。

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プレゼントツリーという、都市の市民と森林をつなぐプロジェクトが20周年を迎える!!というのでお声をかけました。

国土の2/3を占める森林のガバナンスに都市住民(市民)はあまり関心を示していない。このままでは大変!と課題を感じているのは、勉強部屋の読者の含めた(世界中の)森林ガバナンスの関係者です。

その課題に真正面から取り組んでおられる鈴木さん。「環境への取組は今動いていない層を引っ張り込むビジネスです」。という大きな視点に立ったビジネス構築の由来とか、どんな人たちがどのように引っ張り込まれているの?具体的な事例紹介、たのしみなイベントでした。

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それではプレゼン内容を紹介します。いただいた公開可能なプレゼン資料にそって、つまみ食いです。(すこし藤原が加筆かも)

目次は以下の通り

自己紹介「なぜ、この仕事をしているの?
この仕事は?二つの企業がやているいこと
森林循環事業{プレゼントツリーとは}
プレゼントツリー20年の歩み
評価されている理由
100年後の日本ー今後に向けて

(自己紹介「なぜ、この仕事をしているの?)

最初のプレゼンは、右の座右の銘「人生はあっという間」

一生懸命やって・・・環境への目覚め・・・

いくかつかの就職先で業務がうまく問題意識とかみ会わず・・・二つの企業

株式会社ビジネスエージェンシーと、認定NPO法人環境リレーションズ研究所

起業にこぎつきました。

(二つの企業がやっていることー「この仕事」の全体像)

研究所は:企業や行政が環境事業に取り組むにおいて必要となる前例や実績を作るため、実証試験、社会実験をやるための装置。

エイジェンシ―は:NPOの成果を基に企業の環境ビジネス推進をサポートする。(以上右の図)

そして、左の図がミッション。右の図が行動基準です

以上自己紹介終わり

いよい本題です。

((森林循環事業「プレゼントツリーとは」))

森を守ろう!と言えば日本人の9割が賛同するのに実際には動かない。だから・・・

「人生の記念日に樹を植えよう!」とよびかけ、国内外の森づくりが必要とされる土地に、記念樹を植えることで、 森林再生と地域振興に繋げていくプロジェクト。(左の図)

(プレゼントツリーの仕組み)

左の図参照

①おく送り主(図左の〇、が事務局に申込み送金する

②ー1事務局が苗木の里親(図右上の〇)に送り主からのメッセージカード・植樹証証明書などのリーフレット一式を送付

②ー2山の所有者や森林組合などの現地協力者に10年分の管理費を送付し、管理協定を結んで、森の管理をする

(プレゼントツリー20年の歩み)

左の図にいままでの実績が紹介されています

このスライドでは2024年12月現在、協定林の数は55か所(このセミナーの前の日5月19日に能登半島で協定書にサインしてきましたが60箇所目だったそうですー半年で新たに5箇所!!どんどん増えています)、植樹本数は408千本、企業里親数、415社、個人里親数168名となっています。

今回の資料にも、ネット上にも事例紹介がたくさんされています。

(プレゼントツリーが評価される理由)

1.自治体との協働事業
2.地域の雇用創出に貢献
3.北海道大学との連携による専門性
4.それぞれの地域の課題を確実に拾い上げていること
5.生物多様性保全、 二酸化炭素吸収、土砂災害防止、水源涵養など、 さまざまな役割を担うフィールドが揃っており、SDGs6つの目標にリンクしていること
6.20年間継続している確かな仕組みへの信頼性

という6点を挙げています

(100年後の日本ー今後に向けて)

2枚のプレゼンを最後に紹介します

まず上の図、100年後の日本

100年後、森を護る人間も激減していることでしょう。その時に、美しい日本の森が維持存続されているために必要なこと、

それで、プレゼントツリーは

「人が居なくて森などに構っていられない地域の森林が、崩れたりしないように・砂防ダムで塗り固められないように、人口が偏在する地域の人々が定期的に足を運び、森林保全を担える仕組みを整えること」
「都市部の人たちが、森の保全活動に興味を持って頂くよう、参加の緒を創ること」(以上黄色い部分)

それで、

PresentTreeの方針
1.野生エリアである奥山は立ち入らない。(但し、伐期を迎えた針葉樹は片付け、天然生林に。)
2.人里に近い森=里山は積極的に手を入れる。
3.経済林が成り立たない森は、地元植生の混交林(天然林)に戻す。
4.斜面崩壊し易い場所は、地元植生の混交林(天然林)に戻す。
5.各地域毎に1~4までのグランドデザインを作るべきで、積極的にそのサポートをする。

最後のプレゼンー今後にむけて

今後にむけて

 1 森林管理体制の進化
経済林を断念する森林が増加。にも拘らず、管理を担える体制が弱体化~不在。∴新たな森林経営管理体制の構築
2 返還後の森の活用法
「プレゼントツリー10年協定」満期を迎えた森が続々と。立派な森に育っている一方で、その後の活用方法が定まらない。∴次の10年の森の活用方法の確立
3 林政絶滅エリアの梃子入れ
林業が衰退した自治体では、林業家絶滅、林政窓口も絶滅。行政からも見放された里山が拡がる。荒れ果てた真っ暗な森は、シカやイノシシにとっての楽園。表層の土壌が崩れて危ないので、砂防工事のオンパレード!景観も美しくないものになってしまい、尚更「支援者を募りにくい森」に。∴新たな森林再生手法の考案
4 里親42万人の有効活用
里親=関係人口が全国のべ42万人。にも拘わらず、活かし切れていない。例えば、人口1.3万人の山都町に1.8万人の関係人口が創出されたが、プレゼントツリーツアーでしか活用されていない。∴地方創生セクターとの協働連携
5 47都道府県での展開
現状13都道県(北海道、岩手、宮城、福島、新潟、千葉、東京、神奈川、山梨、静岡、岐阜、熊本、宮崎)。制覇することで、1~4に繋げたい。

プレゼンは以上です

ご関心の有る方は、こちらにプレゼン配布資料が掲載されているので、どうぞ

((質疑の時間))

100年後社会と地球をよくする!都会から森へ、人の流れを創る!大きなビジョンに中で、生活者と中小企業と動かすのだ、というデザインでプレゼントツリーというプロジェクトを立ちげて、20年。分かりやすい説明ありがとうございました。具体的な取組なので、出席の皆さんも伺いたいことがたくさんあると思います。まず、わたしから代表して5問質問します。といって以下の質問をしました。

Q1_from藤原:プレゼントして、どんな森をつくる?についての質問です。お話の中に「各地域の植生にあった樹種を選んで混植し、 10年かけて天然林に近い森林を再生していきます。」とか、「皆伐跡地の植栽されていない地域をターゲット」、という説明があます。戦後針葉樹を植えたところでも次の世代では天然林なの?という方もいると思いうので、「針葉樹でなく、天然林」の説明をお願いします。

A1_from鈴木さん::プレゼントの対象がどんな場所なのかですが、「戦後植え山を今後管理していくことができないので、何とかしたい」というとがほとんどです。そうすると、植える前の山に戻していくにはどうしたらよいか、という検討にはいり、色々聞き取りをしていきます。そういう中で針葉樹でなくということになっていきます。広葉樹を植えることの大変さは、やり始めてから初めてわかりました。近くの森づくり組織の関係者と協定をむすんで、具体的な山づくりを始めましたが、はじめのうちは、「そんな森つくるの?」と皆びっくりしてました。広葉樹の山づくりがいかにたいへんかというのは、先日林政ジャーナリストの会で林野庁の幹部も話をされていました。私たちのプロジェクトで、北大の方々にもサポートをうけて、蓄積ができているので、是非貢献したいです

Q2_from藤原:このプロジェクトを進めていくうえでの、とりあえずのネックは?①候補地の選定?②送り主の確保?それぞれどんな具合ですか?今回のセミナーお聞きの方に参画を訴える意味でも、具体的な説明をお願いします

A2_from鈴木さん:過去の蓄積もあり、参加している地元の関係者から、「いまこの山でやっているけど終わったらここでやってほしい」という意見があります。また、東日本大震災がらみで災害対応の山(もり)づくりという実績があるので、今回(昨日)能登で協定を結びましたが、紹介されたのは林野庁でした。そのように対象地が制約になっているとうことはありません。送り主を集めています。

Q3_from藤原:ビジネス関係者との連携事例が具体的事例にたくさん出ています。今後の展開に企業との連携が大きな力になりそうですがどうですか?それと市民参加を組み合わせていけば大きな力?プレゼン資料P6に「これ以上期待しても「余地」は殆ど無い!絞り上げるのはNG」とありますが、大企業の動向についての感想を伺いたいです。

A3_from鈴木さん:始まったばかりのころは、企業の里親はいませんでした。第一号の企業の里親は3年後。はじめのうちは、「そんなめんどうなことできるの?」といわれて敬遠されていました。ただ、少しづつ実績ができるなかで、企業にもひろがってきました。企業の視点は出資者に対する環境的側面に関するESGのアピールというよりは、自社が製造している製品のエンドユーザー向けのメッセージですね。「この自動車を買うと「どこどこの山の木が何本育ちます」とか。そういう意味で、最初あまり想定していなかったビジネスの関係者向けの広がりが出ています。

Q4_from藤原:行政支援の在り方は?行政の関係者に向けてのメッセージありますか?行政支援の在り方は?行政の関係者に向けてのメッセージありますか?

A4_from鈴木さん:このプロジェクトが行政の支援をうけて進んでいることは間違えありません。が、この事業に関わってい森林関係行政のすごい問題点が気になります。それは、「絶滅しつつある市町村森林行政機構」があちこちにあることです。勿論全部ではありませんよ。いま行政のネットワークづくりで災害連携協定というのがありますね。突然降ってわいた災害にどこの自治体の対応できないので、日ごろから連携をしておく。そのように森林も、ある山で、急にあらたな山づくりをしようとなった場合に連携をとり、となりの町からアドバイスするといった、連携が必要なのではないでしょうか

Q5_from藤原:今後に向けて、P51の解決課題の中で、参加者の皆さんのこれをお願いしたい、といったメッセージありますか?

A5_from鈴木さん:42万人のすごくたくさんの方々が興味があり、関心を示していることが分かりました。でも、そのような方がもう一歩山にふみいれて、自立自走の手助けをしてくれる、にはどうしたらよいかと考えております。私も土日全国をまわって、いままでプレゼントされた山を回っていますが、・・たくさん問題があります。プレゼンtツリーで里親になって具体的なプロジェクトお参加いただくとか、そうでなくても、ツアーなどもあるので現地を見てていただいて、どのように自立自走できるのか、一緒に考えていただきたいと思います

(参加者からの質問)

全部は答えられなかったのですが参加者から質問をいただきました。ありがとうございました

Q+コメント A
ビジネスモデルの確認ですが、自分が里親になりたい、お金を出そうと思ったとき、山はあるのですか? ネット上に公開されていますが、常時5-6箇所の対象地が公表されています。「私の関心のあるあの場所に」というのは無理ですが、選択肢から選べます
プレゼントした森の管理はどうするのですか? 森林の管理のために、森林所有者、行政機関、森林組合などの地元の森林管理主体、それに環境リレーションズ研究所の4社で、10年間の管理の仕方についての協定を結びます。つまりその間の管理は協定に参加した森林組合にお願いします。
立木の所有権は? 11年目にお返しするので所有権はもとの山の所有者です。
昔林野庁がやってきたことで、市民がお金を出して、山づくりを手伝だおうとしたら全然もうからなくて大損したということがありました。そんなリスクはありませんか? 緑のオーナー制度といって、国有林の一部に市民に育林費を分担してもらて、その伐採するときの収益を分収する(山主とお金を出した人で半分づつ)というプレジェクトで、市民が損したという事例ですね。プレゼントツリーは、収益をもとめようとう市民なく、記念の山づくりなのでそのようなリスクはありません
カーボンクレジットなどを利用することはでませんか? よっぽど、欲しい人がいれば別ですが、面倒だしコストがかかるので、Jクレジットは利用が難しいです。企業にとっては広告宣伝費なので、サステイナビリティ報告書に載せるのに、林業経済研究所が作成にかかわった、林野庁がが公開している二酸化炭素の吸収・固定量「見える化」計算シートが便利です。最初に藤原さんと面識をえたのも、このシステムの利用方法の相談でした
山にいくことできますか? 「勝手にいかないでください」ということにしています。過去に「行ったけれどまよってしまって、遭難したひとがいて大変でした。山に行くイベントはいろいろやっていますし、山の。
以上です

((皆さんへ)

たくさんの参加ありがとうございました。
プロジェクト参加者や持続可能な森林フォーラムの個人会員、団体賛助会員にはアーカイブ動画が見られるようになっています。

フォーラムの個人会員や団体賛助会員の参加手続きはこちらからどうぞ

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(森未来と連携)

昨年から素晴らしい内容を多くの方の共有できるように、持続可能な森づくり向けたビジネスネットワーク構築を進めている株式会社森未来さんと、共催企画としました。

zoomの設定とか、皆さんへの案内、アンケートの回収など、大変お世話になりました。今後ともよろしくお願いします

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