基本計画の策定過程から(海外・他分野の計画と比較も)ー第1回勉強部屋Zoom会議やりました(2021/8/1)

7月24日第1回持続可能な森林経営のための勉強部屋Zoomセミナー実施しました

4連休のさなか、57年ぶりのビックイベントの開催中。

東京2020より勉強部屋Zoom会議が大切、という方が30人集まっていただきました!

「新なた森林・林業基本計画と国内森林政策の課題ー基本計画の作成過程からみえてきたもの}というタイトルですが、今回の計画を、欧州の計画、農業の分野の計画などと比較して、どんなことが見えてくるのか?林政審の土屋会長のプレゼンを中心に、ご説明します。

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((基調報告))

(前計画からの流れ)

左の図です。2016年6月日本再興戦略2016などで「成長産業化」がとりあれられ、林業の成長産業化があらわれる・・・。

など、「閣議決定」である「基本計画」のキャッチフレーズは、その時の政権の描くピクチャーにうまくのるように、ということが一つの原動力になります。

それはそれでわかるけ(よくわかります)ど、森林政策は政権のピクチャーが思ってもいない、長期展望を見据えたモノ!成長産業化の議論は少し反省が必要かも。(「林業の産業としての成長」が問題なのでなく「成長産業化」とは何を望んでいたのか?)。森林政策はあまりそれに流されないように−(という,というこの部分は林政審会長でなく勉強部屋の独り言)。

それから右の図。

前計画の策定されてからおこった、大きな政策の流れは、@森林経営管理法(2018年)、A森林環境税・森林環境譲与税(2019年)、B国有林の樹木採取権(2019年)。

林政審という場で、それぞれがどのように議論されたか、大変面白いです。

これらの、政策上の大きなイベントが前計画の中にどのように位置づけられていたのか?(殆ど位置づけられていなかった)もふくめて、丁寧な解説がありました。

このような部分はいままでも、勉強部屋でもフォローしてきましたが・・・徹底討論:林政の新展開を問う」林業経済学会が問うたもの(2019/12/15)

勉強部屋でも、もう少し頑張らなければと反省。

(National Forestry Programm)

さて、森林・林業基本計画をグローバルな視野から視ると?

1992年の地球サミットのあとで、森林の持続可能な管理を国連の場で議論していく枠組みIPF(1995-1997)、IFF(1997-2000)ができて、各国である水準の「国家森林計画National Forestry Programm」を作成すべしと提言され、欧州では紆余曲折で進行しその考え方が定着しました。

日本も森林・林業基本計画がNFPであると、FAOに報告している(形跡がある?)んだそうです。

そこで、NFPの仕様(作成プロセス(市民の参加プロセス)、政策内容(環境的視点の統合)など・・・そんなプロセス)から、基本計画を視ていく必要もある。

それを踏まえて林政審の検討過程は?

(林政審の検討過程)

右の図。いつもと(いままでと)違って形成プロセスが大きな変更あり。はじめて、大がかりな意見聴取をしました。

勉強部屋でもパブコメのまえに国民の意見公募に応じました

その他に、議論の充実のための方策がたくさん。

(すこし辛口の)会長としてもこの辺は満足で、NFPのプロセス(スウェーデンが自らのプロセスは×だったと認めた)から行っても(満点?といわれたかどうかはわすれましたが)「合格点」でした。

(林政審会長の意見は反映されたか)

左の図。

そのそも、基本計画を作成するなら、メリハリとバランスが大切

「森林は長期的な視点で政策を考えるべきだと言うが、2001年(基本法)、2011年(森林・林業再生プラン)、成長産業化政策(2018/2019)とコロコロ変わり過ぎではないか。}」

・期初の政策の達成目標→期末の達成度の明示とその評価・改善策の提示
・重点化のためには、広範な国民の参加による合意の形成が必要。

とか結構難しいハードルを林政審会長は審議過程で、皆さんに?事務局に求めた、んだそうです。

全体的なプレゼンの雰囲気では、満点でないけど、合格点だったといったようです。

さて、内容に入ります。

(グリーン成長とは)

左が、今回の計画のメインコンセプトとなるグリーン成長に関する基本計画の記載事項。

「林業・木材産業か゛内包する持続性を高めなか゛ら成長発展させ、人々か゛森林の発揮する多面的機能の恩恵を享受て゛きるようにすることを通し゛て、社会経済生活の向上とカーホ゛ンニュートラルに寄与する「ク゛リーン成長」を実現し ていく。」

赤字は多分土屋会長が、こう言っているよというコメント部分なのでしょうが、「納得できる内容」といった雰囲気でのポジティブな説明でした。

これ以下は藤原のコメントです

社会経済生活の向上という部分が成長産業化が指向していた、成長部分だとして、それにカーボンニュートラルを併せて追求するのが、グリーン成長なんでしょうか。いずれにしても成長ということばが計画本文の中にはいってくると、「成長産業化」という言葉との関係がどうなているのか、気になります。

「林業を成長させること」と、「林業を成長産業化させること」との間にはギャップがあるような気がします。

ーーーここまで

右は、グリーン成長をグローバルの最近の動きで検討した、2枚です。

欧州の政策と、日本の他の分野の政策を比較しながら、森林林業政策のなかで、グリーン成長をどのように規定すべきかということを考える、材料を頂いた感じです。

グリーン成長ということばが、成長産業化みたいに5年でなくなってしまわないように、厳密にはっきりと言葉の定義をした上で、フォローして参りましょう。

という宿題だと思います。

(計画の内容)

基本計画の5つの重点項目については、こことでは省略します。(本文をしっかり見て下さい)

(策定に関わってーまとめ)

右はまとめの1枚。

どう評価するかといわれれば、「色んな制約があるなかで、これは合格点」とはいわずに、「精一杯」とされました。合格点ということでしょう。

最後の2つのパラを再録しておきます。

「問題は、制度として基本計画を今後どうしていくべきなのかの議論がないことだろう。個人的には、NFP的、あるいは欧州森林戦略の向こうを張る真のプログラムを目指すべきと思う。

ひとまず、林政審としてやるべきは、進行管理、あるいは実行過程の監視をしっかりやっていくことだろう」
とのことでした

もちろん、森林審議会で取り組んでゆくべき自らの宿題を会長が表明されたんでしょうが、勉強部屋への宿題ともしたいと思います。

素晴らしい、プレゼン資料、
←こちらに置いておきます。

なお、
会員ページに映像を置いています。(ご希望の方はこちらから個人会員に

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