3月29日政府の京都議定書目標達成計画(案)が公表され、パブリックコメントの募集が始まっています。(計画案、意見募集の要領などは
地球温暖化対策推進本部のサイト内の
こちらから。)
同計画は今までの「地球温暖化対策推進大綱」を京都議定書の発効を受けてバージョンアップしたものです。
冒頭から「21世紀が『環境の世紀』とされ、地球温暖化問題への対処が人類共通の重要課題となる中、我が国は、他国のモデルとなる世界に冠たる環境先進国家として、地球温暖化問題において世界をリードする役割を果たしていく」(第一章第一節我が国の地球温暖化対策の目指す方向)と、格調高い立場が表明されています。
持続可能な森林管理の実現をとおして循環社会を目指す小サイトとしてもパブリックコメントに応じることとしました。
京都議定書目標達成計画(案)に対する意見
HP持続可能な森林経営のための勉強部屋管理者 藤原敬
表記について、以下の通り意見を提出します。
1 有効な環境税を導入すべき
案では環境税については「真摯に総合的に検討してゆくべき課題」としていますが、我が国が「他国のモデルになる世界に冠たる環境先進国として、世界をリードする役割を果たす」のであれば、国の姿勢が最も明確になる環境税の導入を、はっきりと示すことが不可欠だと思います。特に家庭部門、自家用乗用車など組織的な取組が難しい分野で大幅に排出量が増加しており、これらの部門に「増大要因に対応した効果的な取組」(24ページ)を行うためには、化石資源に多く依存する商品と、比較的少ない商品を明確になる程度の税率の環境税を課し、消費者の選択を誘導することが最も効率的な手法だと思います。また、森林の管理や環境対策など財源が回りにくい施策に財源を確保する意味でも環境税は有効な手段であると思います。
2 地産地消によるものの流れのシフト
案では運輸部門に関して、省CO2型交通システムのデザインなど多くのページを費やしています。二酸化炭素の排出量の約2割の輸送過程のエネルギーを削減するには、記述の対策の他に、地産地消を推進し社会生活の中での物資の輸送量自体をへらしてゆくという観点が是非とも必要だと思います。地産地消については地域バイオマス資源の利用という点で30ページでふれていますが、さらに、地域材など地域で生産される資源を地元で消費し、輸送過程のエネルギーを削減するという点を、20ページの「地方公共団体の基本的な役割」、26ページの「省CO2型の地域都市構造や社会経済システムの形成」の内容として記述すべきものと考えます。
3 木材の利用拡大
木材の利用推進が代替物である化石資源の利用を抑制し非エネルギー起源の二酸化炭素排出の削減になることは明白です。そのことは49ページの森林吸収源対策の項目に記述されており、吸収源としての森林の持続可能な管理を実現する上での木材利用の重要性が指摘されているのは適切なこととで敬意を表します。さらに、43ページの第2節1(1)温室効果ガスの排出削減対策・施策A非エネルギー起源二酸化炭素の中にも、「再生可能で環境負荷の少ない木材の利用拡大」という項目を設けて記述すべきものと考えます。
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