気候変動枠組み条約GOP29と森林ーいよいよ動き出す気候資金と熱帯林の動向(2025/1/9) | ||
ご案内のように、昨年11月11日(日)から11月24日(日)、アゼルバイジャン共和国バクーにおいて、国連気候変動枠組条約第29回締約国会議(COP29)が開催されました。 国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP29結果概要:環境省 国連気候変動枠組条約第29回締約国会議(COP29)結果概要:外務省 「地球環境の視点から、日本の森林と木材を考える」としているこのサイトでの重要なテーマであり、各COPの中での森林に関する議論の概要を毎年出席者が報告するフォレストカーボンセミナー等を中心に追いかけてきました(2.気候変動枠組み条約) (フォレスト―カーボンセミナーCOP29等報告会)
今回もフォレストカーボンセミナーCOP29棟報告会(オンライン)が12月23日に開催され、出席しました。 その報告内容が右の表です。 このうち、森林分野の動向全体をまとめて報告した越前報告を中心に以下に報告します。 そして、最後に「COP29の結果から考えるー浮上した途上国の対応と森林の役割」というセッションがありますが、これは、林野庁のコメントでなく、藤原のコメントです ーーーー 越前報告は、左にあるように、主な交渉概要と成果、森林関連イベント、森林・林業にか関する我が国の発信、今後の課題というセッションからなっています (主な交渉議題と成果1 気候資金に関する新規合同数値目標(NCQG)) (パリ協定で)先進国から途上国に向けた集団的な資金動員目標は2025年までに、年間1000億ドルを下限とする2025年以降の新たな数値目標NEGGを決定することとなっていました。→今回の会合で、2035年までに少なくとも年間3,000億ドルの途上国支援目標を決定(多国間開発銀行や途上国による支援を含む)しました:パラ8そして、また、全てのアクターに対し、全ての公的及び民間の資金源からの途上国向けの気候行動に対する資金を2035年までに年間1.3兆ドル以上に拡大するため、共に行動することを求める旨を決定しました:パラ7 (主な交渉議題と成果2:パリ協定第6条関係(市場メカニズム)) 世界の温室効果ガス排出削減を効率的に進めるため、パリ協定第6条で、国際的に協力して削減及び吸収・除去対策を実施する仕組みが規定され、COP26での大枠合意後も運用細則の議論が継続し、rてきました。 パリ協定第6条に基づき締約国が協力して対策を実施し、削減量を分配するに当たって必要な細目が決定し、パリ協定第 6 条の完全運用化が実現しました。(環境省による決定事項の解説:COP29(CMA6)におけるパリ協定第6条の完全運用化の実現について) 右の図は、岩間報告から、A国(ホスト国)において、B国政府and/or企業が協力して対策を実施した場合のイメージ (主な交渉議題と成果3:緩和作業計画) 「緩和作業計画」は、2030年までの温室効果ガス排出削減の取組の加速を議論しています。 会合に先立ち「都市:建築と都市システム」をテーマにグローバル対話が2回開催され、運用時の排出削減(暖房、冷房、機器)、建築設計(改修、新築)、建築資材、インフラ、電化、グリーン・ブルーインフラ等について各国の知見を共有されました。グローバル対話の議論を踏まえ、建物及び都市の脱炭素化に資する解決策として、建築資材のエンボディードカーボン(新築・改修・解体時に発生するカーボン)削減等が例示された決定文書が採択さrました。 左の図は越前報告から、「グローバル対話の専門家によるプレゼンテーションで紹介されたエンボディードカーボンに関する資料」 (追って追加報告します)
GSTはパリ協定の実施状況を検討し、長期目標の達成に向けた世界全体としての進捗を評価することで、COP28において初めての評価が採択され、第2回GSTの評価は2028年に予定しています。第1回GSTの成果の実施や各国の次期排出削減目標への反映に係る議論及び第2回GSTに向けた運用上の改善に関する議論が行われましたが・・・見解が一致せず議論の継続されることとなりました。 (主な交渉議題と成果5:各国削減目標の達成状況報告に対する国際評価/協議) (背景)締約国は、各国温室効果ガス排出削減目標(NDC)の達成状況及び関連情報について、隔年で事務局に報告し、その報告の概要を補助機関会合において他の締約国に説明し、質疑を受けることとなっていて、今次補助機関会合で概要説明・質疑が行われた。(締約国による説明データ→先進国(日本を含む)14か国、途上国4か国) 締約国のうち、森林に関しては以下の取組紹介があった。 ーーーーーーーーーーー以上が、主な交渉概要と成果で次に森林関連イベント (森林関連イベント(1)森林リーダーズ行動サミット(FCLPハイレベルベント)) COP26「森林・土地利用に関するグラスゴー・リーダーズ宣言」のフォローアップ会合FCLPがありました (森林関連イベント(2)森林に係る議長国ハイレベルイベント) 議長国アゼルバイジャンおよび国連森林フォーラム(UNFF)の共催により、森林に係るハイレベルイベントが開催されました 我が国からは持続可能な森林経営と木材利用を通じ、気候変動への対策と循環経済実現に取り組んでいること等を紹介。 ーーーーーー (森林・林業に関する我が国の発信1:ジャパン・パビリオン「自然に基づく解決策(NbS)のための持続可能な森林管理」) 環境省は気候変動対策に関する日本の優れた技術や取組を世界に向けて発信するため、展示やセミナーを行う「ジャパン・パビリオン」を開設。 関連情報 (森林・林業に関する我が国の発信2:フォレスト・パビリオン) 国連森林フォーラム(UNFF)が、ブラジル開催の COP30 に向けて気候変動交渉における森林への関心を高めるため、多様な主体が気候変動対策とSDGsへの森林の貢献を議論する場としてUNFCCC COPで初のフォレスト・パビリオンを設置。期間中に複数のイベントが開催。 その中で行われたフォレスト・パビリオン「気候変動緩和及び適応のための持続的な森林によるバイオエコノミー」セミナーの中で、、建築物等における持続可能な木材利用の促進に関する国内の取組や国際協力等を紹介。 以上の報告のあと、 (今後の展望) 越前報告の最後に以下の5点を今後の展望として紹介されました
以上が越前報告を中心とした、COP29における森林分野の動向でした。 ーーーー (COP29の結果から考えるー浮上した途上国の対応と森林の役割) 勉強部屋として、いままで、気候変動枠組み条約を追いかけてきました。あらためて、報告を聞いて考えてみたのは・・・・ 京都議定書からパリ協定になったときに、いままで、条約上の義務は先進国だけだったのが途上国まで広げられた枠組み作りが出来ました。 その作成過程で、先進国の資金提供の約束と、それに対する途上国の不安と期待というものを処理する宿題を抱えていたのですね。 途上国の人づくりや指針作成なども含めた多様な資金支援方策(NCQAと市場メカニズム)がこのCOP29で一つの大きなステップを踏み出すことになったのだ、ということを再認識しました。 もちろん途上国にとっても発展の過程で、増えつつあるエネルギー起源の排出量の削減という課題はあるでしょうか、よりおもい熱帯林の劣化減少をどう止めていくのか、ということがより大きな課題でしょう。 その公的資金、民間資金(その中には持続可能な熱帯木材の買取価格の取り決めなども入ってくる可能性もあるかも)、森林関係者が積み上げてきた知恵とエネルギーが試される時期が来ているんではないかと、思います。 ブラジルのアマゾン地域で今年11月開催予定のCOP30.。しっかりフォローしてまいります。 kokusai2-91<fccccop29> |
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