気候変動枠組み条約COP22と森林(2017/1/29)
 

昨年11 月7 日(月曜日)から11 月18 日(金曜日)まで、北アフリカモロッコのマラケシュで「国連気候変動枠組条約第22回締約国会議(COP22)」、「京都議定書第12回締約国会合(CMP12)」、「パリ協定第1回締約国会合(CMA1)が開催されました。

パリ協定が成立してから1年11月4日に発効、その具体化をどのようにしていくのかの筋道が議論されました。

「パリ協定が法律だとすればそれを施行するための政省令のような」(林野庁担当課長補佐)詳細ルールをCOP24(2018年)で決めることに合意した、ということが重要なポイントだったようです。

国連気候変動枠組条約第22回締約国会議(COP22),京都議定書第12回締約国会合(CMP12),パリ協定第1回締約国会合(CMA1)等(外務省)

国連気候変動枠組条約第22回締約国会議(COP22)京都議定書第12回締約国会合(CMP12)
パリ協定第1回締約国会合(CMA1)(概要と評価)日本政府代表団
(環境省)

国連気候変動枠組条約事務局 COP22公式サイト(英語)
議長国モロッコ COP22公式サイト(英語)

1月13日フォレストカーボンセミナーCOP22等報告会(森林分野)(国際緑化推進センター)が開催されたので出席してきました。

飯田 俊平氏(林野庁 森林整備部森林利用課 国際研究連絡調整官)
「 COP22での吸収源(LULUCF)の論点と今後の展開
大仲 幸作氏(林野庁 森林整備部計画課 海外林業協力室 課長補佐)
「基礎からわかるREDD+~COP22や緑の気候基金GCFにおける最新動向を中心に~」pdfファイル1)、同2、同3(国土緑化推進センターサイト)
二つの報告に基づき、今後の議論の枠組みやポイントを整理してみます。

(パリ協定実施詳細ルールまでの道筋)

パリ協定に関する国連の交渉は締約国会合COPのほかに、補助機関会合SBSTAパリ協定締約国会合CMAパリ協定特別作業部会APAという3つの会合があります。(気候変動に関する国連交渉の構造(外務省

この枠組みの中で、森林分野に関してどんなことが議論されていくのかについて
飯田 俊平氏(林野庁 森林整備部森林利用課 国際研究連絡調整官)の報告がありました
「 COP22での吸収源(LULUCF)の論点と今後の展開」

森林に関する議論は、①各国の削減目標(NDCs)の(中の森林管理の位置づけなどに関する)あり方、情報提供、積算方法に関する3つのガイダンスに関するものをAPAでおこない、②(途上国の森林保全などへの先進国の民間支援資金などに関連した)市場メカニズムに関しては補助機関会合SBSTAで、2018年まで議論をしていくこととなりました。(飯田報告図1)

飯田報告図1

飯田報告図2

森林問題はLULUCF(「土地利用、土地利用変化及び林業部門(Land Use, Land Use Change and Forestry))というキーワードの中で議論されまが、当面5月に開催されるSBSTA46で伐採木材製品の取り扱いなどに関する議論が再開されるのだそうです。

(REDD+と市場メカニズムにおける主要課題)

気候変動枠組み条約におけある森林に関する議論の中で重要なのは、途上国の森林の管理に資金を提供する国際的な枠組みがREDD+ですが、それがパリ会合後にどうなっていくのか、
大仲 幸作氏(林野庁 森林整備部計画課 海外林業協力室 課長補佐)の報告でした。
「基礎からわかるREDD+~COP22や緑の気候基金GCFにおける最新動向を中心に~」


途上国の森林管理の向上に向けて支援について民間資金が投入される道筋は、ある森林管理のプロジェクトの成果がクレジットとして登録され、その資金を肩代わりした企業が吸収量・削減量をしたとする権利をえる(クレジットを獲得する)。その権利を自社事業により排出した温暖化ガスを埋め合わせ(オフセット)につかったり、自社に課せられた削減目標の達成のために利用する)というものでしょう。

その権利が売買でき資金調達に役立つようになうことを市場メカニズムといって、パリ協定6条などに規定されています

国別削減目標NDCを使ったパリ協定の枠組みの中で、企業にどのような削減目標が課せられるのか、森林への投資が取引される信頼のある吸収量を明確にできるのか(REDD+の議論の中で蓄積されてきた)などの議論がCOP24にむけて積み上げられていくことになります。

kokukusai2-58(unfccccop22nado)

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