自然由来の排出物市場の拡大ー世界の市場に与える企業のESGとREDDプラスの力(2020/3/15)

日経ESG3月号の「カーボンネガティブの衝撃」と題する記事に掲載してあったのが、標題の自然由来の排出物市場の拡大と題する左の図。

「自然由来排出枠とその他排出枠の2016年と2018年の比較。植林と土地利用によって発行される自然由来の排出枠自主取引が2年間で3.6倍(5060万トン)になった。その他の排出枠の取引量を上回る。」との説明書き。

(私の注:5060万トンは日本の森林の成長量と同じぐらい:日本の森林の成長量は7000万立方メートル(2016年森林林業基本計画)なので4900万二酸化炭素トン(木材1立方メートル0.7二酸化炭素トン(森林吸収源対策に関連する単位量))

出処は米フォレストトレンドの「自主的な炭素市場の状況2019」というので、そのサイトを訪問してみました。

Financing Emissions Reductions for the Future-State of the Voluntary Carbon Markets 2019

米フォレストトレンドのウェブサイトに掲載されていた、Demand for Nature-based Solutions for Climate Drives Voluntary Carbon Markets to a Seven-Year Highという記事にもとづいてフォローします。

ページの要旨は以下の通り

本日発表された新しい報告書「未来のための排出削減の資金調達:自発的な炭素市場の状況2019」によると、自発的な炭素市場の取引量は2018年に7年ぶりの高値を記録した。
このレポートでは、9840万メートルトンの二酸化炭素(MtCO2e)に相当する取引を特定し、市場価値は2億9,570万ドル。これは、2016年と比較して、量では52.6%増加し、金額が48.5%増加したことを表している。
この増加は、気候回復力の「自然に基づく解決策」に対する認識の高まりに起因しており、森林および土地利用活動を通じて発生するオフセットの量が264%増加し、REDD +が2015年以来初めて最も志向されるオフセットタイプになった。 。
市場の専門家によると、この量の急増は2019年も加速し続けている。

「現在、多くの企業が自主的な炭素市場を使用して、新しい技術に移行するまで排除できない排出量を相殺しています。」とフォレストトレンド代表マイケルジェンキンス氏のこばとです

(急増の要因ドライバーは?)

林業および土地利用セクターでは、REDD +に関連するオフセット(森林破壊と劣化からの排出量の削減、および炭素貯蔵の強化)の量は、2016年の10.6 MtCO2eから2018年の30.5 MtO2eに187%増加

また、植林/再植林(A / R)は、2016年の2 MtCO2e未満から2018年の8.4 MtCO2eに342%増加しました。

地理的には、ペルーに新しいREDD +量が集中し、増加の19.7 MtCO2eを占め、新しいA / Rの量は、世界中でより均等に配布されているそうです。

(買い手は)

排出枠の買い手はだれなのでしょう。

先月紹介した「REDDプラスの制度とクレジットの今後の展望」環境省宇賀氏が紹介した、国際 民間航空のためカーボン ・ オフセット 及び削減 スキームなどの働きによるものか?この文書でも、解説していますが、それより最も大きなドライバーは。

シェルなど、2019年半ばから2022年半ばまでの自然ベースの排出枠に関連するオフセットに3億ドルを投資することを約束したなど、全く自発的な購入者の出現が大切な要因なのだそうです。

Shell launches $300m forest plan to offset carbon emissions

そして、「ブリティッシュエアウェイズとエアフランスは、来年から始まるすべての国内便からの排出量を相殺することを発表しましたが、EasyJetは11月にジェット燃料の使用によるすべての排出量を直ちに相殺すると発表した」し、「EasyJetはEcosystem Marketplaceに、2020年9月までに7.5 MtCO2eを購入する予定である」そうです。

こうしてESGを念頭にした、企業が自社の排出削減目標達成のために、森林由来の排出量を購入する動きが急増しているようなのですが、・・・大気中のCO2回収技術などがまだ市場に登場するまで時間かがかかる、という中で、しばらく市場の主役になりそうです。

kokusai2-73<VCM2018>

 
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