気候変動サミットの中の森林問題(2021/5/1)

4月22、23日にかけて、アメリカのバイデン大統領の主催による、「気候変動問題」をテーマとした首脳会合、すなわち「気候変動サミット」が、オンラインで開催されました。

気候サミット閉幕、パリ協定修復へ世界再始動

米国のバイデン新大統領が地球環境問題で新たなイニシアティブを示す場となった(バイデン氏、気候変動対策の「勝負の10年」 サミットでCO2削減の新目標を発表)、管首相がこの会議にむけて、会議直前に菅首相 2030年の温室効果ガス目標 2013年度比46%削減を表明と、注目されるイベントでした。

オンラインで開催されたこの会議のすべてが、米国国務省のLeaders Summit on Climateというサイトに掲載されています。

このページでは、森林問題がどのように取り扱われたのか報告します。

(プログラムの構成と森林問題)

二日間にわたるサミットはのプログラムはLeaders Summit on Climate: Scheduleに掲載されていますが、概要以下の通りです。

1日目  8:00 a.m.?Session 1   Our Climate Ambition  This session will underscore the urgent need for the world’s major economies to strengthen their climate ambition by the time of COP 26 to keep the goal of limiting warming to 1.5 degrees Celsius within reach. It will provide an opportunity for leaders to highlight the climate-related challenges their countries face and the efforts they are undertaking, and to announce new steps to strengthen climate ambition.
このセッションは、世界の主要経済国がCOP 26までに気候変動の野心を強化し、温暖化を1.5℃に制限するという目標を達成するという緊急の必要性を強調します。それは、指導者が自国が直面している気候関連の課題と彼らが取り組んでいる努力を強調し、気候の野心を強化するための新しいステップを発表する機会を提供します。
   10:30 a.m.?Session 2   Investing in Climate Solutions  This session will highlight the urgent need to scale up climate finance; efforts to increase public finance for mitigation and adaptation in developing countries; and efforts to shift trillions of dollars of private investment to finance the transition to net zero by 2050.
このセッションでは、気候ファイナンスを拡大する緊急の必要性に焦点を当てます。発展途上国における緩和と適応のための財政を増やす努力。 2050年までにネットゼロへの移行に資金を提供するために、数兆ドルの民間投資をシフトする取り組み。
   12:30 p.m.?Session 3
 (Breakout Sessions, Round 1)

Adaptation and Resilience
 This session will highlight the climate adaptation and resilience challenges faced by all countries, especially those most vulnerable to climate impacts, and cutting-edge approaches to?strengthening?resilience?in the face of climate change?and climate variability.
このセッションでは、すべての国、特に気候の影響に対して最も脆弱な国が直面する気候適応とレジリエンスの課題、および気候変動と気候変動に直面してレジリエンスを強化するための最先端のアプローチに焦点を当てます。
     Climate Action at All Levels  This session will highlight the critical efforts of subnational and non-state actors (cities, states/regions, and indigenous groups) that are contributing to green recovery and working closely with national governments to advance climate ambition and resilience on the ground.
このセッションでは、グリーン復旧に貢献し、各国政府と緊密に協力して気候変動の野心と現場の回復力を向上させる、サブナショナルおよび非ステートアクター(都市、州/地域、先住民グループ)の重要な取り組みに焦点を当てます。
   1:30 p.m.?Session 3
(Breakout Sessions, Round 2)
 Climate Security  This session will highlight the global security challenges?posed by?climate change, the impact on?the?military and readiness,?and efforts underway to address the?threat multipliers to energy, economic, and national security.
このセッションでは、気候変動によってもたらされる世界的な安全保障上の課題、軍事力と準備への影響、およびエネルギー、経済、国家安全保障への脅威の乗数に対処するために進行中の取り組みに焦点を当てます。
    Nature-based Solutions  This session will highlight the critical role of nature-based solutions in reducing emissions and strengthening climate resilience, including efforts to reduce deforestation and the loss of wetlands, restore marine and terrestrial ecosystems, and promote sustainable agricultural practices.
このセッションでは、森林破壊と湿地の喪失を減らし、海洋と陸域の生態系を回復し、持続可能な農業慣行を促進する取り組みを含む、排出量の削減と気候回復力の強化における自然ベースのソリューションの重要な役割に焦点を当てます。
 2日目  8:00 a.m.?Session 4   Unleashing Climate Innovation  This session highlighted the critical role of technological innovation in achieving a net-zero, climate-resilient economy; the importance of accelerating public and private investment in climate innovation; and the enormous economic opportunities in building the industries of the future.
このセッションでは、ネットゼロで気候変動に強い経済を実現する上での技術革新の重要な役割に焦点を当てました。気候革新への公的および私的投資を加速することの重要性。そして将来の産業を構築する上での莫大な経済的機会。
   9:15 a.m.?Session 5
 The Economic Opportunities of Climate Action  This session highlighted the broad economic benefits of climate action, with a strong focus on job creation. It explored the economic benefits of green recovery and long-term decarbonization and the importance of ensuring that all communities and workers benefit from the clean-energy transition.
このセッションでは、雇用創出に重点を置いて、気候変動対策の幅広い経済的メリットに焦点を当てました。それは、グリーン回復と長期的な脱炭素化の経済的利益と、すべてのコミュニティと労働者がクリーンエネルギー移行から利益を得るようにすることの重要性を調査しました。

(森林保全に言及したリーダー)

1日目冒頭のSession 1 Raising Our Climate AmbitionSession 2 Investing in Climate Solutionsという二つのセッションが、首脳クラスのプレゼンテーションでした(以降のセッションは担当大臣クラス)

これらのセッションで登場した首脳で、森林について言及したブラジルのPresident Jair Bolsonaro大統領「30年までにアマゾン違法伐採ゼロ」ブラジル大統領(朝日新聞)など日本のマスコミでも報道される大きなトピックスでした。

ブラジル大統領、森林「保護」へ急転換 支持低迷に焦り(日経新聞)

、40地域の首脳のプレゼンテーションをすべてをチェックしたわけではないですが、途上国を中心に多くの首脳が森林問題に触れました。
President Jair Bolsonaro, Brazil
President Ivan Duque Marquez, Colombia
President Joko Widodo, Indonesia
President Felix Tshisekedi, Democratic Republic of the Congo

(自然を基礎にした解決策)

1日目の午後から、各国大臣クラスが参画するテーマ別のセッションがあり、その中で、Nature-based Solutionsと名付けた、セッションがあります。

「森林破壊と湿地の喪失を減らし、海洋と陸域の生態系を回復し、持続可能な農業慣行を促進する取り組みを含む、排出量の削減と気候回復力の強化における自然ベースのソリューションの重要な役割に焦点を当てる」とあります。

登壇者は、以下の通り

U.S. Participants:Secretary of the Interior Deb Haalan
Speakers:
☆1 Andrea Meza, Minister of Environment and Energy, Costa Rica
☆2 Flavien P. Joubert, Minister for Agriculture, Climate Change and Environment, Seychelles
☆3 Tuntiak Katan, General Coordinator, Global Alliance of Territorial Communities
☆4 Jonathan Wilkinson, Minister of Environment and Climate Change, Canada
☆5 Archana Soreng, Member, Youth Advisory Group on Climate to the U.N. Secretary General; Kharia Tribe, Sundergarh, India
☆6 Luhut B. Pandjaitan, Coordinating Minister for Maritime Affairs and Investment, Indonesia
☆7 Lee White, Minister of Water, Forests, the Seas, and Environment, Gabon
☆8 Gabriel Quijandria, Minister of the Environment, Peru

上記からそれぞれのプレゼンテーションを録画で見ることができます。テキストがないので、正確にこのページで内容をつたえることは、できませんが、是非ご覧下さい。

関係ページに記載している説明分(英文を和訳)は以下の通りです。

ハーランド内務長官Secretary of the Interiorが主催し、森林破壊の停止や湿地の喪失、海洋および陸域の生態系の回復などの自然気候ソリューションなしでは、2050年までにネットゼロを達成することは不可能であると述べました。また、彼女は、南極の海洋生物資源保護条約(CCAMLR)に基づく3つの海洋保護区の提案を通じて、南極海を保護する提案に対する米国の支持を発表しました。

すべての参加者は、炭素を隔離し、気候の回復力を構築するために、陸域と海域を保護および保護するための支援を強調し、いくつかの発表を行いました。セイシェルは、強化されたNDCの章を海洋ベースのソリューションに捧げており、支援を受けて、2025年までに海草とマングローブの生態系の少なくとも50%、2030年までに100%を保護することを約束しています。カナダは、その一部として、は、陸と海の保護のための新しい連邦予算に40億ドルを投じています。さらに、コスタリカは、自然と人々のための高い野心連合の共同リーダーシップと、2022年までに海の30%を保護する意向を強調しました。ペルーは、NDC対策の5分の1以上が自然ベースのソリューションに関連していることを強調しました。インドネシアは、伐採と泥炭地の利用に関する新しいライセンスを恒久的に凍結するという大統領令と、マングローブのリハビリプログラムについて話し合った。ガボンは、無傷で伐採された森林は、すべてのセクターの総排出量の年間4倍のCO2を吸収すると述べました。


もちろん、自然を基礎にした解決策ですので、陸地と海洋の全てについて対象としているのですが、内務省が作成したであろう、上記の文章では、森林のことが少ししか記載していないですね。

内容をご覧になると、森林の保全について原住民の生活を守ることが保全の原動力になるといった、事例が多く述べられています。

先進国はカナダだけ。自国の森林についての言及はないみたいでした(途上国支援の話が中心。)、議長の内務長官の発言も米国内の取組でないですね。

先進国の木材利用の話は残念ながらないみたいです。

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