EUの炭素国境調整措置ー欧州の取り組む施策から学ぶ炭素価格が日本の森林や木材に及ぼす影響(2021/2/15)

総理大臣の。温室効果総ガス排出量を2050年までにゼロにるというのだけど、どうやって達成することができるのでしょうか?

「グリーン成長戦略」はだされたけれど、カーボンニュートラル(CN)という社会の大転換をしようというのに、主役である市民向けのメッセージがないことが、モノ足らないところです。(2050カーボンニュートラルにむけたグリーン成長戦略と森林・木材政策(CNにむけて「成長戦略」だけでよいの?))

(カーボンプライシング炭素税がいよいよ動き出す)

どうしても必要になってくるのが、炭素に価格をつけて(カーボンプライシング)それににみあった炭素税をとったり、排出量の条件を設けて市場で売買する排出量取引などです。

年明けからいよいよ動き出したようです。

いままで、政府の中で炭素税実現にむけて、様々な検討会を仕掛けてきた環境省だけでなく、反対する経済界をバックにした、経産省まで検討会を立ち上げるのだそうです。

炭素税、政府内で綱引き 経産・環境両省が個別に検討へ(日経新聞1/27)

そういう動きが、森林行政や木材ビジネスにどんな影響をもたらすのか関心を持ってきました。汚染者負担の原則によるカーボンプライジグ(炭素価格付け)が(木材)市場に与える影響−(2020/12/14)

今後二つの検討会を、この勉強部屋でも確りフォローして参ります。

(欧州で検討される炭素の国境調整措置)

その第一弾として、欧州で検討されている炭素国境調整措置を紹介します。

右の図は、上記の日経新聞の記事に掲載されていたものです。カーボンプライシング関係する施策が三つある

炭素税、排出枠組み取引に、(炭素)国境調整調整措置。

その三つ目が欧州で導入予定と書いてありますが、その情報がネット上に掲載されていました。

THE EU’S CARBON BORDER ADJUSTMENT MECHANISM

よんでみました

炭素国境調整措置とは、「特定の持続可能性基準を満たさない輸入品に関税を課税し排除すること」なのだそうです。

炭素税導入で経済界からの反対のロジックは、「日本が高い関税をかけると製品の価格が高くなり、そんなことをしていない国に、生産の拠点が移転し、日本の産業が被害をうける(カーボンリーケージ)」

カーボンりーケージとは(カーボンプライシングの効果・影響(環境省)より

 国・地域間で炭素価格が異なる場合、国際競争の観点から、炭素価格がより高い地域から企業が転出し、炭素価格がより低い地域の排出が増加することを、カーボンリーケージという。

カーボンリーケージは、@炭素価格を課された企業が市場シェアを失う場合、A新規の投資が炭素価格が低い地域の方が有利な場合、B炭素価格によって化石燃料価格が低下する場合、の3つのケースで起こる。

それに対処する措置が、炭素の国境調整措置なんだそうですね。

商品毎に設定されるようで、一番具体的に検討されているのが、「鉄鋼とセメント」なんだそうです。欧州国内の鉄鋼セメントの関連産業が炭素税を課税されていて、他国からの輸入品との競争にさらさえれている。

どうも、中国の製品が念頭にあるようです。

まだ、どんな仕組みで課税されるのかなど、検討中で詳しいことは書いてありませんが、第2四半期には施行されるんだそうです。

(日本の森林や木材ビジネスとの関係)

EUの上記の資料に森林や木材といった言葉はひと言もでてきていませんが、この問題が森林や木材と関係しそうだと思ったのは以下の2点です。

第一点目は、炭素税という手法を先行して導入しているEUで、「鉄やセメント」いった建築資材の価格に炭素税が大きな影響をあたえるということです。このことは、炭素税という施策が製造過程で炭素排出量が少ない木材製品によい影響をあたえるのだ、ということを示しています。汚染者負担の原則によるカーボンプライジグ(炭素価格付け)が(木材)市場に与える影響−(2020/12/14)

第2点目は、EUの国境調整措置という遠方のマーケットにおける措置なんですが、それが中国やアジア地域の大きな資材供給産業影響を与える可能性があるということです。

つまり、EUに高関税がかけられて売れなくなった中国製品が、日本市場に大量にながれてきて、安売りされるという、リスクがあるんですね。特に建築材料に影響が。

欧州の政策を確りウオッチしながら日本の政策も考えなくてはないんですね。

そんなことで、このテーマ大切になりそうなので、勉強部屋でフォローして参ります。

kokusai2-76<EUCBA&forest>

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