10月18日に広島で開催された全国木材産業振興大会に出席してきました。
今年のサブテーマは「木をつなぐー神々の時代から現在そして未来」。
将来の循環社会の主役であることが間違えない木材産業が現時点でどんな対外的な情報発信をしているのか、興味深い大会です。
また、広島は世界中の誰もが知っている日本の地名Hiroshima、そして、広島県は全国で一番原料加工量が多い製材工場群をもっている加工拠点、そこからの情報発信は?
(今年の大会決議-10年前と比較すると)
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第43回熊本大会2008年 |
第53回広島大会2018年10月18日 |
副題 |
"新たな木材利用への挑戦で木材産業の再興 ―「木づかい」でCO2の削減・豊かな生活―" |
木をつなぐ~神々の時代から、現在(いま)、そして未来へ~’ |
決議文 |
木材は、現在の国民の住生活を支え、未来の低炭素社会の実現に不可欠な資材である。このため、木材業界は「木づかいで二酸化炭素の削減・豊かな生活」を消費者・需要者とともに実現する使命をもっている。
しかしながら、我が木材業界を巡る経営環境は、需要の低迷、原油の高騰、金融不安の中で、かつてない厳しさがある。この危機を乗り越えるためには、我々の不断の努力に加えて、木材産業の再興のための万全な政策的な支援が必要となっており、これを実現しなければならない。
この状況の下、我々は今こそ、下記の優先課題に対して、多様な連携の下に英知を結集して行動し、木材産業の未来を切り拓いていかなければならない。
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木材利用の拡大は、森林・林業の活性化のみならず地球温暖化の防止、地域経済の活性化などを通じ、豊かな暮らしや低炭素社会の実現に大きく貢献するものであり、森林資源が充実しつつある中、「伐って、使って、植えて、育てる」という資源の循環利用の確立が重要である。
全国各地で木造の公共施設等が数多く建設されるようになり、都市部の建築物の木造化・木質化が大きく進み始めようとしている。これは木材を優先して活用する‘ウッドファースト社会'の実現に向けて、政府、与党、経済界に訴えてきた我々の活動の成果と認識している。
今後とも、戦後続いてきた木材から非木材への流れを変え、木材の復権を確実なものにするため、安全• 安心な木材の安定供給体制の構築とともに、これまであまり木材の活用がなされて来なかった分野での木材利用拡大や山元に利益を還元するための仕組み作りに木材産業界自らが率先して取り組み、消費者・ユーザーの協力を得ていくことが重要である。
そのため、次の事項について、経済界など多様な関係者の連携の下に英知を結集して行動する。 |
1 |
木材産業の危機突破のため、総合的な緊急対策を早期に実現しよう |
都市部などでの木材利用の大幅な拡大のため、法律・制度の見直し等抜本的対策の実現に取り組む。 |
2 |
住・生活空間への木材利用の拡大、木質バイオマスの活用・普及を推進しよう |
森林資源の循環利用を実現するため、森林環境譲与税等も活用し、山元に利益を還元できる体制の構築に森林・林業団体と一体となって取り組む。 |
3 |
違法伐採対策を前進させ、合法木材の普及・利用推進に取り組もう |
木材産業振興のため、予算の確保、税制措置の継続に取り組む。 |
4 |
安全・安心への期待に応え、JAS製品など、信頼性の高い木材の普及・定着に全力を挙げよう |
新たな木材需要を創出するため、技術開発・普及等に取り組む |
5 |
炭素を固定する木材利用推進減税、住宅ローン減税、森林吸収源対策の税制を実現しよう |
合法木材、JAS製品等、品質・性能の確かな木材供給や人材の育成確保に取り組む。 |
今回のスローガンを10年前の大会と比較してみたのが、上記の表です。青いセルが制度要求、黄色のセルが自分たちで取り組む決意表明。
10年前の最後の欄の税制が森林環境税という形でい実現し、自らの努力部分になってきたこと。都市部に向けた木材制度の改定が重要なターゲットになってきたようです。
(神々の世代から未来へ)
大会テーマとなった標記「神々の世代から」は、特別講演をされた千家 和比古氏(出雲大社権宮司)の「高大な木造の神殿ー出雲大社を巡るなるほ探訪」に関連しています。
お話は深く広く、日本は古来、数字の「二つ」を重んじてきた。そこは、欧州のように一つをトップとするピラミッド構造とはちがうのであって・・・伊勢神宮と出雲大社があって・・・、とつづくのですが、それは出雲大社: 日本の神祭りの源流 [書籍]などで。
神々と未来の関係は、出雲神殿の構造が木造高層建築の原型で、これが未来の都市ににつながる。そういうタイミングで広島で大会は大変良い機会です!!
(木材利用拡大条例)
今回のトピックスの一つは、最近できたばかりの広島県県産木材利用促進条例。
類似の条例が色々できています
少し前ですけど、2016年年12月に林野庁のHPに林野庁が行った木材利用促進に関する条例等の施行・検討状況調査が、掲載されています。
都道府県レベルでは、木材利用促進を主たる目的とした条例が4,森づくりを目的とする条例に木材利用が位置づけられているのが10道県、地球温暖化防止条例に木材利用が位置づけられている県が、4府県となっていいます。広島県は木材利用を主たる目的とする第一のカテゴリーでしょうか。2年前の調査で4だったのが、ネット上を調べていると、第一カテゴリーだけで、以下の9県が木材利用促進条例をもっているようです。
茨城県県産木材利用促進条例
秋田県木材利用促進条例
徳島県県産材利用促進条例
富山県県産材利用促進条例
岡山県県産材利用促進条例
栃木県県産木材利用促進条例
兵庫県県産木材の利用促進に関する条例
高知県県産木材の供給及び利用の促進に関する条例
広島県県産木材利用促進条例
題名から分かるように秋田県だけは、木材利用促進条例、県産材でも県産木材でなくてもどんなもカバーするグローバルな視点にたった条例です。
ほとんどの県が県産材ということで「本県のもつ豊富な森林資源の重要性」から県内で生産された木材、を利用促進していますが、広島県産木材はそれとは少し違います。
県産木材は県内で生産され又は加工された木材(第二条)
大量の丸太を輸入して加工している沿岸の最大手製材所群の製材も県産木材となるのですね。グローカル?
とりあえずは途中経過、循環社会の主流になれるかどうか、今後の発展が楽しみです。
kokunai11-11(zenmokutaikai2018)
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