第52回全国木材産業振興大会から・・・人に優しい木の文化と社会をめざして・・・(2017/11/28)

11月9日第52回全国木材産業振興大会が奈良市内で開催されたので、出席してきました。

毎年一回持ち回りで、地方の木材団体が全国木材組合連合(会木連)と一緒にが開催しているイベントで、循環社会の主役となるべき木材事業者が、どんな思いで情報発信をしているのか、興味深い大会です。

ことしは、全体として、社会全体の中で木材利用推進という自らビジネスに直結する部分で追い風が吹いていて、山の行政サイドも山づくりのための木材利用に軸足が置かれている、数年前から提唱しているウッドファースト社会が着実に近づいているのでないか、という雰囲気が感じられました。

そういう中で、業界団体としての全国大会iは、森林環境税の成り行き、木材利用拡大のための税制・予算・制度の実現など対外的な要請活動と、消費者への責任をもった木材の供給、クリーンウッドへの取り組み、といった、面倒だがやらなければならない自らの課題の確認、といったところが課題です。

メーンとなる情報発信は宣言決議、他の団体との共同宣言の確認でした。
とりあえず、現時点での関係者が要求する政策課題と自らへの課題のリストとなっています。

以下がフルテキストです

  第52回全国木材産業振興大会
〜 人にやさしい木の文化と社会をめざして〜
宣言決議

 木材利用の拡大は、森林・林業の活性化のみならず地球温暖化の防止、地域経済の活性化などを通じ、豊かな暮らしや低炭素社会の実現に大きく貢献するものであり、森林資源が充実しつつある中、「伐って、使って、植えて、育てる」という循環利用の確立が重要である。

 木材に対する関心も益々高まってきており、公共建築物、住宅分野はもとより、中高層建築物、非住宅分野などでの木材利用が進みつつあるが、我々が木材を優先して活用する‘ウッドファースト社会’の実現に向けて、政府、与党、経済界に訴えてきた成果が着実に浸透しているものと認識している。

 今後とも、戦後続いてきた木材から非木材への流れを変え、木材の復権を確実なものにするため、安全・安心な木材の安定供給体制の構築とともに、これまであまり木材の活用がなされてこなかった分野での木材利用を拡大していくための制度創設など、時代が求める課題を認識し、広く消費者・ユーザーからの理解と支援が得られる取組を木材産業界自らが率先して展開していくことが重要である。

 そのため、次の事項について、経済界など多様な関係者の連携の下に、英知を結集して行動する。

1 . 森林吸収源対策等の安定財源確保のため、「森林環境税」を実現する。
2. 木材利用の大幅な拡大を実現するため、法律、制度の見直しを含めた木材利用拡大運動を進める。
3. 木材産業振興のための予算の確保、税制措置の継続に取り組む。
4. 木材利用を創出するための技術開発・普及等に取り組む。
5. 東京オリンピソク・バラリンピソク関連施設への木材利用を拡大する。
6. JAS製品等、品質・性能の確かな木材供給や人材の育成確保に取り組む。

以上、決議する。

                                 平成29年11月9日
                                 第52回全国木材産業振興大会


             森林・林業の再生に向けた共同行動宣言2 0 1 7

 戦後造成された森林資源が利用期を迎える中、日本の森林は将来に向けてその健全性を確保していくための大きな変換点に差し掛かっている。
木材価格の低迷等による森林所有者の経営意欲の低下という現実の中、長年にわたる努力により育まれてきた森林資源を有効に活用し、持続的な森林経営を通じて環境にやさしい社会を構築していくことは、森林・林業関係者のみならず多くの国民から求められる課題となっている。
こうした状況の下、これまでも森林・林業・木材産業関係団体が一丸となって、経済界との連携や関係行政機関への働きかけ等に取り組んできたところである。これまでの我々の行動により、昨年閣鐙決定された成長戦略において公共建築物等木材利用促進法の見直しも含めた木材利用促進のための対策を検討すると記述されるなど、一定の成果に結ぴついたと認識している。
今後、我々、森林・林業・木材産業関係者は、森林・林業の再生への動きをさらに加速化していくため、引続き森林環境税の創設や都市の木質化へ向けた抜本的対策の創設などに取組むとともに森林・山村の現状を憂い、日本の森林・林業の再生に協力を惜しまない企業、消費者、NPO等と力を合わせ国産材の安定供給・需要拡大を実現していくため「国産材を活用し日本の森林を守る運動推進協諾会」を立ち上げ、日本の森林・林業の再生に向けて、これまで以上の決意をもって取り組んでいく覚悟である。
こうした決意の下、国民各層との連携を図りながら、日本の森林・林業そして山村の再生を実現するため、下記の事項に共同して取り結むことを宣言する。

                         記
1. 日本の森林が直面する経営放棄地や境界不明森林などの基本的命題に対応するため、森林環境税の創設を求めることとし、森林・林業界を挙げた行動を一層進めるとともに、関係団体においても施業の集約化、効率化等日本の林業の競争力を高めるための取組をより一層強化する。
2. 国産材需要の大宗を占める住宅建築が将来的に減少すると見込まれる中、国産材の安定的な術要を確保していくため、非住宅分野での国産材利用拡大への取組を強化することとし、進み始めている新たな技術の活用による需要の掘り起こしや民間建築物への木材利用拡大のための法制度の創設等に向けた取組を強化する。
3. 「伐って、使って、植えて、育てる」森林資源の循環利用のサイクルを可能とするため、「国産材を優先的に利用して日本の森林を守る活動」に賛同する企業、消費者、NPO等との連携・協力の下、国産材の活用に対する情報発信に取り組むなど、国産材の安定供給・需要拡大へ向けた具体的な行動を展開する。

                                           平成29年10月27日

一般社団法人日本林業協会会長       一般社団法人全国木材組合連合会会長
全国森林組合連合会会長            全国素材生産業協同組合連合会会長
一般社団法人日本林業経営者協会会長    一般社団法人全日本木材市場連盟会長

今後の具体的な活動の宣言文のようにもなっていて国産材活用の情報発信などがどう進むのか今後の推移が注目されます。
ただ、重要な大会の公式なウェブ上の情報がないのが問題ですね。それぞれ、大きな団体なので会員への情報伝達の手段はいろいろあるのでしょうか・・・
とりあえずかわりに勉強部屋に掲載しておきます

また、クリーンウッド情報がないのが気になりました

kokunai10-5<zenmokutaikai2017>

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