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8月8日に松江市で開かれた「しまね水の緑の森づくり」フォーラムで話をする機会がありました。島根県が計画している「水と緑の森づくり税」について、澄田知事と200名をこえる市民と対話集会といった位置づけの会合でした。
その準備もあって、ちょうど直前に東京で行われた「環境・持続社会」研究センター主催の「森林保全と税財政」というワークショップにも顔をだすこととなり、最近全国で議論されている地方森林税について考えてみるきっかけとなりました。
2000年4月地方分権一括法が施行され、法定外目的税の新設、法定外普通税・超過課税の実施手続きの緩和などの地方自治体の課税自主権の拡大がはかられたことがきっかけとなり、04年4月現在、都道府県レベルで森林整備関係の独自課税を実施あるいは検討しているのは38都道県の及ぶそうです(6月現在林野庁調べ)。
県の方の説明によると、最初にどのような分野で財源を求めるかという議論があり、高齢化・少子化問題、教育問題、産業振興など含めて緊急に必要な幅広い行政分野を対象にした検討が行われたが、「独自課税についての県民の理解がどの分野で得られるか」という切り口で判断すると、森林問題になった、ということのようです。それだけ、森林問題の重要性に対する県民の理解が広まっているといえます。
地方森林税の議論でポイントとなるのは、以下のような点です。
目的税か超過課税か
目的税でなく県民税の超過課税という形が主流になっています。受益を特定して、受益者に受益の量に応じて目的税を課すというのが最も素直な形です。ただ、たとえば水の供給量を基準(課税標準)として一定の税率をかけて課税するというやり方は、供給される水量が常に把握されるわけではなく、不公平になる、という理由で、先行した高知の場合は県民税の超過課税という形にしました。島根の場合もそれを踏襲しています。(当該部分の税額の使途を明確にするために基金を利用する形になっている)
ただし、県民一人あたり500円という薄い税率なので問題が出ていませんが、将来の課題ではありますが、仮に税額が多くなって行くような場合、定額課税は低所得者に負担が多くなる逆進性という問題がでたり、受益者と負担者の不均衡といった問題が出てくる可能性があります。
国と地方の税源配分論ー地方税課税の合理性
地方と国の役割分担を律する原理として「補完性原理」というのがあるのだそうです。EUと各国政府の役割分担論の中で定式され、我が国の地方制度調査会答申の中でも引用されているもので、身近に解決可能なものは徹底的に地方分権という考え方です(NIRAセミナー報告書、愛知県分権あり方報告書 など)。この考え方を敷衍すると、1985年当時の国レベルでの水源税構想がうまく行かず、今回県レベルで水源税を含む地方森林税が各地で前向きの議論になっているのは、コンセンサスの範囲に合理性があるのだ、という解釈が成り立ちます。
使途
公共事業で投じられる額よりかなり少ない額となるため、その程度の額を投入して何になるか、というのが基本的な論点です。また、既存の事業との関係もあります。
高知ではこの議論が「県民参加による森林保全の機運を高める」(高知県「森林環境保全のための新税制(森林環境税)の考え方」)ことを、目的の中心に打ち出すという議論に発展したようです。
島根県の新税も、@森づくり・森林利用への県民参画、A水を育む県民民なの緑浴衣な森林への転換、B豊かな森を育む工夫を、三つの使途として挙げ、(水と緑の森づくり税骨子案(使途例))ています。私は「地方分権と参画」が生物資源管理の世界の潮流であることを説明するとともに、「豊かな森をはぐくむ工夫」の中に、「しっかり管理された近くの木材を使った産業おこし」という要素入れて欲しいという提言をさせていただきました。
島根県水と緑の森づくり税のページ
【参考情報】
総務省法定外外税の概要
yahooニュース、トピックス自主課税
法定外目的税条例リンク
NIRAセミナー報告書 関心高まる地方環境税ー制度化の背景と課題・展望pdf
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