「森林整備保全事業計画」案に対するパブコメ意見(2024/3/25)

農林水産大臣が5年に一回5年ごとに森林整備保全事業(林野庁の公共事業(治山事業や森林整備事業(林道や造林))の実施目標な成果指標を定めある森林整備保全事業計画案が公表され、意見募集がされています(3月8日から27日)。

対象となった森林整備保全計画(案)  vs (参考)現行森林整備保全計画」  

少し気になったことがあったので、以下のような意見を提出しました。

(提出意見の趣旨)

1 生物多様性を巡るグローバルナ動向

計画の背景を語る文章の中に、国際的なバックグラウンドが語られるのは重要なですが、気候変動枠組み条約のパリ協定が記載されるなら、生物多様性条約の中の「昆明・モントリオール生物多様性枠組」について記載し(意見1)、国内で進んでいる2030年までに陸地などの30%をしっかり管理する(30by30)といった取組との連携を図る必要があるのでないでしょうか(意見7)

2 森林整備保全に向けた川下との連携

企業の環境的指向にもとづいて木材の利用が進んでおり、当該木材を供給したあとの再造林などに関心が広がっているので、再造林問題など森林整備保全の水準を高めていくには、それらの方々との連携を深めていくことが重要です。(意見2)(意見3)(意見4)(意見5)(意見6)(意見8)

(提出した意見)

以下の意見を提出しました

第1 森林整備保全事業についての基本的な方針

1 森林の果たしている役割
P1【意見1】

原文 :森林は、パリ協定下における温室効果ガス排出削減目標の達成、2050年カーボンニュートラルの実現への貢献も求められており、これら森林の有する多面的機能(注1)に対する国民の期待が高まっている。
加筆意見 :森林は、パリ協定下における温室効果ガス排出削減目標の達成、2050年カーボンニュートラルの実現への貢献も求められており、また、昆明・モントリオール生物多様性枠組でも「2030年までに陸域の30%の効果的な保全管理(30by30)する」など、これら森林の有する多面的機能(注1)に対する国民の期待が高まっている。
(理由)
計画の背景を語る文章の中に、国際的なバックグラウンドが語られるのは重要なですが、気候変動枠組み条約のパリ協定が記載されるなら、生物多様性条約の中の「昆明・モントリオール生物多様性枠組」について記載すべきです。(2022年COP15での決定なので前計画以降の重要な国際的な合意事項)

2 森林の整備及び保全の課題
(充実した森林資源の循環利用)

P3【意見2】

原文:計画的に再造成を行い、森林の有する多面的機能の発揮を図ることが重要な課題となっている。
上記の後に以下加筆: 重要な課題となっており、木材の需要者が関心を広げている。

(理由)
企業の環境的指向にもとづいて木材の利用が進んでおり、当該木材を供給したあとの再造林などに関心が広がっています

(山村地域の活力創造)

P3【意見3】

原文:都市と山村との交流促進、自伐林家をはじめとする地域住民やNPO等の多様な主体による森林資源の利活用を進めること等を通じて
加筆意見:都市と山村との交流促進、自伐林家をはじめとする地域住民やNPO、川下の木材需要者等の多様な主体による森林資源の利活用を進めること等を通じて

(理由)意見2と同様 

第2 事業の実施の目標及び事業量等
3 事業分野別の取組
(1)森林整備事業
(発揮を期待する機能に応じた多様な森林づくり)

P6【意見4】

原文:これらの取組が円滑に行われるようにするため、造林の省力化と低コスト化を図る
加筆意見:これらの取組が円滑に行われるようにするため、造林の省力化と低コスト化を図るとともに、クリーンウッド法などと関連させ消費者との連携を図る

(理由)
再造林の話は重要であり、これを円滑にすすめるため、消費者との連携など多面的な管理が必要です

 第3 事業実施に当たっての留意事項
3 事業の効果的な実施
(国民の理解と関心の向上)

P9【意見5】

原文:制度や事業についての森林所有者や地域住民等への広報等に努める。
加筆意見:制度や事業についての森林所有者や地域住民、都市住民・木材の消費者等への広報等に努める。

(理由)
事業の効果的な実施の中で、国民の理解と関心の向上は重要な事項であり、その対象は、所有者や地域住民だけでなく、広く木材の利用者など、広く市民国民を多少とすべきである

 (森林資源の有効活用)

p10【意見6】

原文:中高層建築物や非住宅分野、再生可能エネルギー等の多様な分野において、間伐材等の利用促進に取り組み、効果的かつ円滑な森林の整備及び保全の実施に努める。
加筆意見:中高層建築物や非住宅分野、再生可能エネルギー等の多様な分野において、間伐材等の利用促進に取り組むとともに、ユーザーとの森づくりの連携をはかるなど、効果的かつ円滑な森林の整備及び保全の実施に努める。

(理由)
意見2,4と同様

5 生物多様性の保全やネイチャーポジティブへの配慮

P10【意見7】

原文:特に、渓畔林や海岸防災林等における事業実施に当たっては、その特性を踏まえ、関係者のコンセンサスの醸成を図りながら、生物多様性の保全と国土の保全等との両立を目指し、必要な対策を講じるよう努める。
加筆意見:特に、渓畔林や海岸防災林等における事業実施に当たっては、その特性を踏まえ、関係者のコンセンサスの醸成を図りながら、生物多様性の保全と国土の保全等との両立を目指し、30by30の自然共生サイトへの認定など必要な対策を講じるよう努める。

(理由)
30by30の実現に向けて、その対象領域となる自然共生サイトの認定作業などがすすんでおり、国際的な枠組みを視野に入れた取組が必要です

6 その他事業実施に必要な留意事項
(2)多様な主体の参加の促進

P11【意見8】

原文:民間主導の「森林づくり全国推進会議」との連携や
加筆意見:民間主導の「森林づくり全国推進会議」などとの連携や

(理由)
民間の環境志向に関連して森づくりへの関心が広がっており森林づくり全国し維新会議は重要な動きですが、そのほかに、連携の可能性のある動向は、(一社)プラチナ構想ネットワーク(「ビジョン2050 日本が輝く、森林循環経済」の公表ー)、ウッドチェンジネットワークなど多様に展開される可能性があります

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