カーボン・オフセットクレジット制度の創設とその展開―民間資金が次世代の森林づくりに投入される一つの可能性ー山林誌平成林業逸史に掲載(2023/10/25)

大日本山林会発刊の山林誌2023年10月号に、標記原稿を掲載いただきました。

許可をいただきましたので、原稿を掲載いたします。

1 はじめに

平成時代の森林・林業行政と昭和時代のそれの違いを考える場合1つのポイントとなるのが、平成4(1992)年にブラジルで開催された「地球サミット」(国連環境開発会議)である。持続可能な開発への取組の出発点となった「地球サミット」では「気候変動枠組み条約」、「生物多様性条約」という森林行政に関する二つの国際約束が成立し、平成の日本の森林行政がグローバルな枠組みで議論される背景となった。

気候変動枠組み条約は第3回締約国会合(Cop3) が1997年に京都で開催され(京都会議) 、そこで合意された「京都議定書」により、先進国は「温室効果ガスを2008年から2012年の間(第一約束期間)に、1990年比で約5%削減すること」として国ごとの削減目標を提示された。

日本は6%の削減(そのうち3.8%は森林の吸収星の拡大)をすることとなった。
京都会議は、林野庁の公共事業予算拡大の梃子となった、と指摘されており、森林への公的資金拡大のステップとなったが、もう一っ、民間資金投入拡大の仕掛けを作ることになったのが「カーボン・オフセットクレジット」である。

環境行政を扱う環境省、ビジネス行政を主として担う経済産業省などに対応して、森林行政が、環境問題をテーマとして森林に対する資金をいかにして民間資金から集めるシステムがつくられたのか、「平成林業逸史」の一環として紹介し、どんな課題と可能性があるのか、検討してみよう。

筆者自身はこのプロセスに直接関与していないが、「持続可能な森林管理のグローバルな枠組みと国内の森林政策の関連」に関心があり、この問題をフォローしてきた経験が少しあるので、僭越だが挑戦してみたい。

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以下目次です
2 カーボン・オフセットクレジット制度の形成と吸収量の位置づけ
(1) カーボン・オフセットクレジットとは何か?
(2) 日本のカーボン・オフセットクレジットの形成
(3) カーボン・オフセットクレジットの中の森林の取扱い
3 森林に関するカーボン・オフセットクレジットの現状と課題
(1) Jクレジット制度の中での森林吸収量の取り扱い
(2) Jクレジットの中での森林吸収の取扱い現状
4 カーボンオフセット排出量取引のシステムの中の森林林業木材産業の課題

ご関心のある方は、以下をどうぞ

カーボン・オフセットクレジット制度の創設とその展開―民間資金が次世代の森林づくりに投入される一つの可能性ー山林誌平成林業逸史に掲載

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