山と山主をツナグ 山村資源価値化プラットフォーム「木繋」ー日経ソーシャルビジネスコンテスト受賞(2022/3/15)(2022/4/4改訂)

日本経済新聞社が主催する「日経ソーシャルビジネスコンテストの第5回授賞式3月5日にあり、林業関係者が主催する山と山主をツナグ 山村資源価値化プラットフォーム「木繋」というプロジェクトが優秀賞を受賞しました。

応募者360社、一次審査を通過した15件のファイナリストアドバイザリーボードと相談してビジネスのブラッシュアップして最終審査会へ。それを通ってをとおった4名の受賞者の一人が林業の関係者(大賞でなく優秀賞(銀メダル)ですが)。

第5回受賞結果ファイナリスト紹介ぺージ
表彰式・記念シンポジウムのアーカイブ動画

社会問題をビジネスで解決する、ソーシャルビジネスのコンテスト。社会問題を共有する過程が審査過程なんですね。

正直言って、本当にビジネスになるには大きなハードルをたくさん越えなければならない、出発点に立ったプロジェクトですが・・・・地域の山主をJクレジットでつなぐプラットフォームづくり!Jクレジットがうまく機能するのかな?プロジェクトの今後をプロジェクトの応募者の方(YTさん)と一緒に考える機会があったので、未来につなぐ新たなたソーシャルビジネスの可能性ご紹介します。

発表会の内容が公開されたら紹介します。
また、審査会の過程でプレゼンされた内容をいただいたので、こちらに置いておきます→。山と山主をツナグ山林資産価値化プラットフォーム「木繋~キヅナ~」のご紹介

((優秀賞のプロジェクトを覗いて))

(プロジェクトの狙いー取組むきっかけは?)

YTさんからお話を伺うと・・・

「きっかけは父から相続した山林が、売るとなれば徹底的にたたかれ、ほっとけば固定資産税がかかるだけだし、お荷物になってしまったこと。
自分が幼いころ、夏の暑い日、家族皆で汗だくになり、蜂やアブに刺されながら雑草や蔓を切って面倒を見てきた木々がお荷物のまま放置されるのは納得がいきませんでした。林業をやってない他の山主に聞いたりして、同様の悩みを抱える山主がとても多いのではと思われました。

そして、「排出権取引を活用する手(森林クレジット)があるとのこと。ならばこれをソーシャルビジネスにできたら多くの山主の糧になるのでは」として考えたのがこのプロジェクト。

日経ソーシャルビジネスコンテストだけでなく、大分県ビジネスコングランプリにも応募、こちらもチャレンジ賞を受賞だそうです

(プロジェクトのアイディアの概要)

 アイデアの概要
日本国土の約7割を占める山林は、脱炭素・カーボンニュートラルを実現するために欠かせない資源です。日本には管理が成されず放置されている山林が多く、適切に管理されていない山林は持続的に温室効果ガスを吸収することができません。木繋は山林を所有する山主と森林組合をデジタルプラットフォームでつなぎ、山林が持続的にCO2吸収をするための適切な管理を実現、カーボンクレジットを具現化して環境配慮企業に売却し、山主と森林組合を豊かにします。将来的には個人間カーボントレードも可能にし、人々の常識を変え、クリーンで新しい世界の創造に寄与することに取り組みます。

ポイントは2つ。①県内の(だと思っていましたが日本中の)山林保有者がこのプロジェクトに興味をもって参画するきっかけづくり木繋プラットフォームと、②皆で取り組むJクレジット。

審査過程で評価さえれたのは前半のプラットフォームかな?辺はおってご紹介することとして、仕掛けの重要な道具立てが、Jクレジットです。

本当にうまくいくのかな?

((Jクレジット取得の道筋は))

ご案内のように、Jクレジットとは、省エネ施設の導入、森林管理活動(間伐など)によって生まれた温室効果ガスの排出削減量、吸収量をクレジット(あるサービスを一定量無償で供給した実績)として国が認証する(それを購入した人は排出量削減実績にカウントしてよいですよと信頼性を保証する)制度です。

そのための必要な事項は、Jクレジット方法論として記述されていますが、Jクレジット事務局作成の説明書「J-クレジット制度についてー森林管理プロジェクトを中心にー」でみていきます。

左?の図にあるように、①排出削減・吸収活動を「プロジェクト」として登録、 ②実際の活動状況をモニタリング、③モニタリング結果に基づきクレジット認証を申請、の3ステップが 必要です

(第1ステップ登録に必要なことは)

まず、登録ですが、登録対象森林の所有者の同意が必要で、それらが市町村による森林経営計画が作成されており、プロジェクト(間伐をする)箇所が特定され上記計画に記載されており、プロジェクトの対象箇所の森林成長量を推定する必要があります。

(第2ステップ活動とモニタリング)

次に登録された森林の活動(間伐)を実施して、この状況をモニタリング(面積と地位の特定(樹高の把握))が必要。いっぺんに間伐はできないので毎年少しずつモニタリングをする必要があります。

(第3ステップクレジット認証)

以上の結果をふまえて、年度単位に(複数年度でもよいのですが)クレジット(この結果を買いたい人がいたら売ります)としますよ、申請をする必要があります。

((日本中にJクレジット森林を広げていくための課題))

プロジェクトが視野に入れている、日本全体の私有林のクレジット化による市場規模1200億円。

なぜ日本中の森林がこのマーケットに参入しないのでしょう(現時点で認証をうけた森林は50ほと)。

本当にやりましょう―という主導者がいないことが問題なんでしょうが、それはこのプロジェクトがやっていくこととして、拡大のネックは、登録の際対象とする森林の条件が厳しすぎる、認証に行きつくまでの手続きが面倒ください、という二つの問題点が。

これらについては、Jクレジット側でも林野庁と調整しながら、少しづつ制度がフレキシブルになっていているようなので、その点を昨年12月に開催された第24回Jクレジット制度運営委員会に提出された運営委員会資料(以下資料1)森林由来クレジットの創出拡大につてい(検討方向案)(資料2)の二つも視野に入れて見ていきます

(登録の条件)

間伐以外に森林管理の活動は認められないの?、皆伐をすると全部排出量になってしまい、対象地内に皆伐地域があると吸収量の認定が難しくなる、といった問題があります。

林野庁の提出した資料2に今後の検討課題として、再造林をおこなった皆伐後地の評価(論点Ⅱ)、伐採された木材の評価(論点Ⅲ)、などがあり皆伐箇所があると除外される、といった点は、大きな転換がありそう。議論の展開を見ていく必要があります。

また、天然林でも鳥獣害の防止、森林病害虫の駆除及び予防、火災の予防等)をおこなった場合、森林経営活動の内に組み入れるという検討がれるようです(論点Ⅳ)

(モニタリング手続き)

排出削減系のプロジェクト、たとえば排出量の少ないタービンに変えたなど場合、計測器を設置してそのデータを見ればモニタリング完了となるのにくらべて、間伐をする森林管理の場合、予定通りに間伐をした?(写真が必要)、そしてその場所の吸収量確認といったように、モニタリングの、活動範囲が広域で、コストがかかるという議論があります。

間伐実施地の吸収量を推定するために樹高の測定が必要とされていますが、昨年まで現地で測量が必要とされていましたが、航空レザー測量でよくなったという、工夫うがされ、さらにレーザー測量の簡易にやってもよいように改訂されました(資料1ー22ページ)。

これらの取組がさらに効率的なものになっていくかどうか、このプロジェクトの役割というべきかもしれませんね。

今後しっかりフォローしてまいります

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