岸田新総理の所信表明と森林の未来(2021/10/15) |
岸田総理大臣は、10月8日臨時国会で所信表明演説を行いました。 「成長の果実を分配することで次の成長につなげる「新しい資本主義」を実現する」んだそうですが、新しい資本主義の中でどのように森林の未来が視野に入っているか?見てみました。 (テキスト分析) まず、6900字のテキスト分析。森林という言葉がいくつあるかな(KHコーダーを使って頻語分析) 多い順に名詞を拾っていくと、経済23、コロナ22、国民21、社会19、実現18、成長16、保障15、分配13・・環境5・・農業3・・・地球2、グリーン2・・・すいません、森林と林業はゼロ それでは、テキストでなく内容の分析を。 (新しい資本主義と森林は) 所信表明は6つの章立て。1はじめに、2第一の政策コロナ対策、3第二の政策新しい資本主義の実現、4第三の政策国民を守り抜く、外交・安全保障、5新し経済対策、6おわり。(章の番号と章の説明文書が少しずれていたり5章が不自然ですがNHKでも日経新聞でも同じ章立てになっているので、プレス向けに配布されたオリジナル文書でそうなっているのでしょう) 全体としてながめてみると、森林の将来が関係してくるの「第二の政策、新しい資本主義の実現」ですネ。 その章イントロ部分は・・・「新自由主義的な政策については、富めるものと、富まざるものとの深刻な分断を生んだ、といった弊害が指摘されています。・・・今こそ、我が国も、新しい資本主義を起動し、実現していこうではありませんか。・・・ 「新しい資本主義を実現していく車の両輪は、成長戦略と分配戦略」。 新自由主義のアンチテーゼとしての新資本主義。配分先の新しい成長分野は何かな?市場の失敗である格差と環境を新資本がどのように、カバーしていくのでしょうか? (森林分野への分配が成長産業の種になる?) 成長の成果をどのように分配し、次の成長につなげていくのか?ということが最も重要なコンセプトだとすると、森林や林業分野にどのような分配がなされるか、それで林業成長産業化は? 関連する箇所を拾ってみると・・・ 成長戦略の第一の柱(分配先?)は、「科学技術立国の実現」、その中の最後あたりに、「2050年カーボンニュートラルの実現に向け、温暖化対策を成長につなげる、クリーンエネルギー戦略を策定し、強力に推進いたします」 もう一つは、第二の柱、「地方を活性化し、世界とつながる「デジタル田園都市国家構想」」!! 「地方からデジタルの実装を進め、新たな変革の波を起こし、地方と都市の差を縮めていきます。そのために、5Gや半導体、データセンターなど、デジタルインフラの整備を進めます。誰一人取り残さず、全ての方がデジタル化のメリットを享受できるように取り組みます」。この辺が関係ありそう。新しい林業ですね。 この新しい資本主義の実現の章の最後に分配政策という、節がありますが最後とのところに「これらに加え、地方活性化に向けた基盤づくりにも積極的に投資します。」ということばがありました。 森林対してにどうするか、ということは書いてありませんが、新たな政策的な分配で新たな成長を基軸とする新しい資本主義のストーリの中で、関連ありそうな部分は以上です。 「新しい資本主義実現会議」を創設し、ビジョンの具体化を進めることになるようです。成長戦略という枠組みで森林の未来のことを議論しなければならないというのは、結構大変なことになりそうですネ。 (カーボンニュートラルは?) 気になったのはカーボンニュートラルの位置づけです。新しい資本主義の実現の成長戦略の「科学技術立国」の中の、最後に先ほど述べた「そして、2050年カーボンニュートラルの実現に向け、温暖化対策を成長につなげる、クリーンエネルギー戦略を策定し、強力に推進いたします。」とあります。 カーボンニュートラルは新しい資本主義の成長戦略の一つの中の小さな柱なんですか?人類が直面するリスク対策で日本がリードするのはデジタル技術。大きな視点は? 通常新自由主義が露呈する市場の失敗としての、「格差と環境」。今回の「新たな資本主義」論では「格差」の方はテーブルに乗っているみたいですが、森林政策の基盤となる地球環境は?成長の材料なのはわかるのですが。 少し物足らないですね。 (急ぐときは1人、遠くに行きたいときは・・・) 「早く行きたければ一人で進め。遠くまで行きたければ、みんなで進め。」 新総理が最後に2回繰り返されるこのことことば。成長戦略など、早く成果が欲しい人同士の議論になりやすいですが、地球環境や森林の未来のようなことは、遠くまで見据えて議論をしていかなければならないです。 「新しいことをやりたいけど、内容がまだ詰まっていない」・・・。車座になって議論しましょう。 岸田総理の曽祖叔父、岸田光太郎氏は、台湾基隆の大きな岸田材木店創業者なんだそうです。 カーボンニュートラルを目指す社会の中で、都市を炭素固定庫にするビルの木造化など再び街のインフラを支える木材を、どのように循環資源として新しい資本主義の主流にしていくのか? 道は遠いでしょうが、みんなで進みましょう。 kokunai6-57<kishidafore>
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