新たな国産材時代を担うー素材流通業者団体(NJ素流協)(2023/4/1) |
3月8日日本林政ジャーナリストの会の共同取材で、ノースジャパン素材流通協同組合(以下NJ素流協)の取り組みについて取材する機会がありました。 左がNJ素流協の取扱い実績推移です。縦の棒グラフが取扱量(左がメモリ)、折れ線グラフが組合員数(右がメモリ)です。 2008(平成20)年に20ほどの丸太(素材という)流通業者が集まって形成されたこの団体は、15年間で組合員は20倍、取扱量も3倍ほとど拡大。 このような団体がどんなビジネスモデルで成り立ち、「持続可能な森林経営の実現」のため「国産材の円滑な供給システム」と「森林資源サイクル」の構築(右:パンフレットの見出し)をしていくのか、見ていきましょう。 <<JN素流協のビジネスモデル>> 左の図は、パンフレットに掲載されていた、NJ素流協のビジネスモデル。真ん中にNJ素流協がいて、右と左に販売対象があるけど、右側は取扱い推移の表の一番うえの小さな「委託販売」なので、主たるビジネスは、左側ですね。 @左上の組合員(出荷者)の丸太(以下素材)を、A真ん中下の製材合板など加工事業者(購入者)へ、BNJ素流協が仲介をして共同販売。 仲介の中身は以下の通り。 まず第一に、NJ素流協は組合員と出荷調整をして、購入者に納入調整をおこなう(ピンクの情報の流れ)。 二つ目が、取引が成立する過程で、NJ素流協が間にはいって、価格交渉・クレーム処理(対応)・代金の請求・回収などの手続きを行う(青い矢印の流れ)。 実質的な売買は、出荷者と購入者が直接契約して素材も直送(太いピンクの物流)物流の効率化!!。NJ素流協は手数料をもらうだけ。 このようなシステムを構築して、国産材の素材生産部門の中小企業と、合板製造の中大規模メーカとのあいだの折衝を効率化し、安定供給ができる。東北地方に7社ある合板メーカの国産材転換過程で重要な役割を果たして、その基礎をつくったんだそうです。 事業運営の5つの柱があるようなので(右の図)、もう少し詳しく事業内容を見ていきます。 主たる内容は上記に記した小規模な会員のネットワークづくりですが、ネット上には、組合員サービスと様々な事業内容が紹介されています。 左図にわかりやすい説明がありますが、詳しくは、上記ページで ((流通対象の多様化)) この項目に関するネット上の情報は 「合法木材の普及と産地の明確化」というタイトルで、ノースジャパン素材流通協同組合は合法伐採木材、産地・由来が証明された素材の流通に努めます。とされ、具体的には以下の二つの内容が記載されています。 @クリーンウッド法に係る木材関連事業者の登録(登録番号:日林協−CLW−I−14号)、A林野庁ガイドラインに基づく合法性・バイオマス証明等 理事長の説明を聞くまで、NJ素流協がCW法の登録(第一種)をしているとは知りませんでした。 この取材にあたって、ちょうどCW法の改正案が国会に上程され、特に第一種事業者(木材を最初に日本市場に提供する輸入業者や素材流通事業者)にはCWの提供が義務化されるなど厳しい要求がされるという方向にあるので、フロアで質問してみました。 問:CW法改正で、合法性証明は義務化されるようですが、現時点で取り扱い製品はすべて合法性証明された素材(CW)ですか?それとも一部は分別管理されていますか? ((人工林の森林資源サイクルの構築)) 皆伐跡地の再造林問題、これも重要だから聞いてみよう、と事前に考えていました。 これいついても配布されたパンフレットに以下のような説明がありネット上に紹介されていました 「森林再生基金への協力:皆伐の増加に対して再造林が進んでいないことが大きな問題となっていることから、再造林を推進することを目的に各県で設立が進められている森林再生基金については、当組合は「岩手県森林再生機構」および「青い森づくり推進機構(青森県)」の一員として、基金に協力金を拠出しています。今後、他県の森林再生の取組に対しても協力していきます。」 岩手県森林再生基金の仕組み ((協同組合の社会的責任推進)) 社会を構成する当事者として、「協同組合の社会的責任」を果たすための取り組みを事業運営の中に組み込んでいきます。 として、 責任ある素材生産・流通事業者としての行動規範 の二つの文章が掲載されています。大切な内容です、ご関心の方は是非お読みください。 NJ素流協のページにも記載していますが、素材生産事業者の社会的な運動でが宮崎県のNPO法人ひむか維森の会などが先導し、伐採搬出・再造林ガイドライン全国協議会が立ち上がり、拡がりを見せていますが、NJ素流協もそのような動きをリードしているんだと思います。 以上がNW素流協のビジネスと社会活動のNW素流協側の概要です。 <<素材流通ビジネスへの期待>> 木材の素材生産流通事業というのは、今後の循環資源の主流となる木材のサプライチェーンの一番川上にあり、ユーザーからは一番遠い位置にいます。 環境を念頭において発展していく木材の利用推進にとって、素材生産の現場における、次世代に山づくり、違法伐採の排除などの課題をだれがどどのように担っていくのか、大きな課題です。 輸入材なら輸入業者が通関手続きという公的窓口を必ず通らなければならないので、そこで、チェックしてだめなら罰則、となるんでしょうが(欧米でやっていることです) それでは国産材はだれがどのようにチェックするの?クリーンウッド法の改正案でもその大切なところがみえにくく現在検討中かな? そういう中で、NJ素流協という、ビジネスを強力に推進する役割を果たしている団体の社会的責任に対する真面目な姿勢は、一つの可能性をしめすものだと、思いました。 勿論、林業の川上の素材生産・素材流通を担うビジネスの実施主体は地域によって色々で、森林組合の連合会などがこの役割を担っているところが多いでしょう。もちろん森林組合系統でもよいので、今回にような素材流通ビジネスを束ねる団体が、社会的責任をしっかり果たして、次世代の森林づくりもリードしてほしいです。 今後ともフォローし行きますね。 kokunai8-7 <Njsoryukyo>
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