森林由来クレジットの創出拡大についてー木材利用のクレジットは?(2022/1/8)

CO2などの温室効果ガスの排出削減量や吸収量を「クレジット」として国が認証するJクレジット制度

その制度の枠組みを決めるJクレジット運営委員会の12月2日に開催された24回会合で、林野庁が「森林由来クレジットの創出拡大について」という報告をした内容が公表されています。

Jクレジットの森林関係の利用状況や、今後の課題などわかりやすく、掲載されています。

特に、このサイトでも気にしてきた、木材利用のクレジット対応なども関連して、大変重要な情報なので、少し内容を説明します。

(課題認識)

右の図は資料冒頭に記載している、森林クレジットの供給状況。

Jクレジットのセクター別の認証量を見ると、森林は全認証量(太陽光発電が半分)の1.3%なんだそうです。日本の国の2/3をしめる森林の吸収源を利用していく方法は?

左上の図は、説明の全体像。

図の上部は、今までの森林の方法論が、育成段階の森林に関してて組み立てられてきたけれど、これから伐採時期の森林を再造林していく時期に対応できていない。その過程に沿った方法論ができていない(論点ⅠとⅡ)。

そして下の図。伐採木材製品の中の固定量が評価されていない(論点Ⅲ)。

この点を今後検討していきたいとしています。特にこのページが気にしてきたのが、論点Ⅲです。

(伐採木材に関して)

論点Ⅲについて関係ページに記載されている内容を紹介し、コメントをしますね。

 林野庁の指摘  勉強部屋のコメント
 <背景・論点>  
Ø J-クレジットにおいては、プロジェクト毎に個々の森林から生産された木材のトレース(どこでどのような製品として利用され、いつ廃棄されるか等の把握)が困難であり、トレースができた場合でも、将来的に廃棄される木材製品の炭素蓄積の変化量が評価できないなどの課題に加え、永続性の懸念(木材製品は将来的に必ず廃棄される)、追加性の判断基準の不明確さ(伐採された木材を木材製品として利用するための経済的障壁は何か)等の理由により、現在、HWP(伐採木材製品)はクレジット化の対象とはなっていない。   いままで、木材利用の方法論が形成されなっか理由を三つ指摘しています。
(トレーサビリティ)
木材のトレースが必要との指摘。
(いつ廃棄されるかわからない?)
そのために、永続性に不安
(追加性)
通常の市場条件ではだれも使えない(使わない)のに、「カーボンクレジットのために使うんだ」(追加的活動)という説明が必要
 Ø しかし、住宅資材や家具等として利用されている間は炭素は固定されており、木材の炭素固定量をクレジット評価する手法の導入を求める要望が各方面から挙がっている。  木材炭素固定量のクレジット評価の要望が各方面から!!
その通り!!!
 海外のボランタリークレジット制度の中には、将来的(100年後)に残存する伐採木材製品中の炭素量をモデルによって評価し、森林経営による吸収量に上乗せする仕組みも存在している(Canadian Forest Carbon Offset Methodology、AmericanCarbon Registry等)。  カナダと、米国の事例勉強してみますね。
 <検討方向>  
 伐採された木材を利用して生産された伐採木材製品のうち、50年後又は100年後まで残存する割合を定量化して永続性要件を満たすものと定義し、当該伐採木材製品中の炭素固定量をクレジットとして評価する仕組みが検討できないか(プロジェクト実施者のタイプにより、以下の2つのオプションが考えられる)。
①森林経営の吸収量に上乗せする場合:現行の方法論FO-001(森林経営活動)の改定
②木材製品を利用する建築事業者又は建築物の所有者をプロジェクト実施者とする場合:新たな方法論の策定
 ある製品に木材を使った場合の長期利用の残存割合を定義することが前提
そして、二つの方法論を作成する・・
二つのダブルカウントされないように。木材製品の出所の透明性。などいろいろな作業が必要みたいですね、

まず出発点にたったということでしょうか?

もう一回3点の検討課題を復習、少し考えておきましょう

(追加性)

通常の市場条件ではだれも使えない(使わない)のに、「カーボンクレジットのために使うんだ」(追加的活動)という説明が必要というのが、課題ですね。

その辺は、「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律(建築物木材利用促進法)」などができて行政がいろんなサポートをしなければならなとなっているので、いろんなストーリーがありそうですね。

例えば、行政と「建築物木材利用促進協定」を結んだ場合は追加性がある・・だとか、・・・

(継続性)

木材は2酸化炭素を固定するけど、いつ廃棄されるかわからない。それと、クレジットは毎年の排出削減量(トンCO2/年)(フロー)を計算して取引されるのだけど、ストックされるのはトンCO2ストックなので、どうやってフローに換算するのかというときも時間の観念が必要ですよね。その辺も含めて継続性の観点が議論されなければならないと思います。

それと、木材の環境貢献は、炭素固定だけでなく、他の資材で二酸化炭素発生するより少ない省エネ効果、というのもあるはずですね(地球温暖化防止に向けて)。その辺をどう取り組んでいくのかも検討課題です。

(トレーサビリティ)

建築で木材が固定された場合、どの森林から収穫されたものか特定されないと難しいという問題の指摘ですね。

森林の生産過程の連携は必要なのは、違法伐採材を使ったものは計算しない、というのは当然として、追加して整備したJクレジットに認定された木材しか認定されないのかどうか難しい問題があるように思います。(木質バイオマス燃料の方法論はどうなっているのかな?)

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森林関係者だけでなく、木材を利用しようとしている市民にメリットがあるようなシステムづくりをぜひお願いしたいですね。

kokunai4-54<Jcre-kakudai>

 

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