何故市民が森林環境税を支払うの?−課税が始まった市民との対話(2024/7/11) | ||||
地方自治体のウェブページに以下のような情報が掲載されています 多くの皆さんが、これなんだ、といって電話をかけてくるんですかね? これに対する行政側の情報提供が以下の二つ この2つに基づいて、ストーリーを紹介したうえで、関連して財政学の関係者の動きなど紹介します (何故環境森林税を支払う?この税の目的) 背景説明1森林の置かれた状況:日本の森林は、国土の約7割。この豊かな森林が持つ多くの機能を活かすには、 森林をしっかりと整備していくことが必要。 しかし、林業の採算性の低下や、所有者が不明な森林の顕在化、担い手の不足などにより、手入れ不足の森林が増加。 背景説明2関連施策の動向: このような中、令和元年度に、市町村による森林整備等の新たな財源として「森林環境譲与税」の譲与と市町村が私有林の経営管理を受託する仕組みとして「森林経営管理制度」がスタート。 当該税金の目的: 森林環境譲与税の財源となる「森林環境税」の課税が始まり、各市町村では、貴重な財源を活用して、森林の整備を進めてまいります。 以上資料B_1ページ (この財源で市町村は何やるの?用途) A 森林の整備:間伐等の整備で、明るい森林へ?(資料B_2ページ) B 人材の育成:継続的な森林整備の担い手づくり(資料B3ページ) C 木材の利用や普及啓発:地域お木材利用等で森林を身近なものに(同上) 以上ですが、税の目的からいってAが主たる用途で、BとCはそれに向けた手段と言えなくもないですね。 「BがAの手段」はわかり易いですが、CがAの手段となるには?すこし課題がありそうですね? 上記の、A 森林の整備:間伐等の整備で、明るい森林へ?とC 木材の利用や普及啓発:地域お木材利用等で森林を身近なものに(同上)の関係でCがAの手段という位置づけになっている点についてですが それをしっかり他の分野の人たちにわかり易く理解してもらうためには、その木材の来歴がどんなものか?間伐材なのか皆伐材なのか?皆伐した場合はそのあとの再造林がどうなっているか、違法伐採ではないなど、しっかりしたシステムを明確にしておかないと、このような、議論を続けるのか難しい面がありますね。 6月から課税された森林環境税に関する議論をネット上で検索していたら・・・ 書評 青木宗明 編著国税・森林環境税─問題だらけの増税─(石崎涼子2022.8林業経済誌)という論文が掲載されていたので、読んでみました。そして元になった書籍国税・森林環境税 ― 問題だらけの増税 ―(No.16)青木宗明 編著(地方自治総合研究所)も購入
財政学の専門家がどんなロジックで森林環境税が問題だらけだと批判をするのでしょうか? 編者であり第一章の著者の示す2大問題は以下の通り(16ページ)
人頭税:負担能力に関係なく納税者に定額を課すのが人頭税というようですが、財政学の議論では不公正税制の典型的な事例として語られているのようです(「生きているだけで税金取られるなら役立たずは殺した方が得だ」、恐怖の悪税『人頭税』) 森林関係の公的な資金をどのように集めるか?今回の森林環境税は地方税の人頭割として徴収されていた東日本大震災の復興特別税がなくなる機会にそれと同額森林環境税を徴収することになったので、今までのは人頭税でなかったのか?低所得者などは非課税だけど・・・など人頭税にはいろんな議論があるとは思いますが、今後森林環境税をベースにいろんな国税は同じような形で拡大するなどの場合、課税論などの議論の中で深刻な理論を含んでいることを認識しておくとよいと思いましした 課税目的不明:上記の指摘で、森林ガバナンスの財政論としてより重要なのか、課税目的が不明瞭という二つ目の論点ですね。
上記をうけて、以下のような指摘がされます 「人材育成や木材利用促進についても、一見すると事務事業のイメージが湧くと思いがちだが、良く考えてみれば具体的な内容は想像しにくい。おそらく現実には、森林整備の促進に役立つかどうかの関係が見えにくい事業も多いように思われるのである。ましてや普及啓発については、猜疑心はより一層膨らむ。森林との関係を「要領良く」語りさえすれば、あらゆる事業が使途として適格扱いになってしまう恐れがあると思われるますね。」(30ページ) (他の分野の学術関係者とのコミュニケーション) この本が出版されたころに比べて、事例集がネット上にたくさん掲載されているので、上記のような心配は少なくなってきているとは思いますが、森林政策という「狭い分野」の議論にあまり関心がなかった、財政学・政治学といった分野の方々が、森林分野に関心を広げつつあることを前提に、しっかりわかり易く情報共有する必要があるのでしょう。 そんな観点で、冒頭に紹介した、書評 青木宗明 編著国税・森林環境税─問題だらけの増税─(石崎涼子2022.8林業経済誌)是非読んでいただければと思います 「小さな政策分野である森林に政策に対して強い関心を抱く財政学者が何人も登場して本書のような書籍が出版されたことには、・・・時の流れを感じる」(はじめに) ーーー なお、先ほどの「問題だらけの増税」と、議論されている方々も、各県の森林環境税の構築に関わってこられてこられた方も多く、森林整備やその財源確保の必要性には「十分以上の認識をもっている」(4ページ)かたがた、だそうですねので、そのような方々との議論をしていくことの積極的な意味を再認識していくことが大切だと思います kokunai14-13<Fkankyozei> ■いいねボタン
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