建築物への木材利用と炭素クレジットーGHGゼロ排出に貢献する道筋(2020/4/11)

3月19日から23日にかけて開催された第132回日本森林学会大会の3月20日のセッションで、標記の発表をしました(例に拠ってオンライン)。

演題は:「建築物への木材利用と炭素クレジットーGHGゼロ排出に貢献する道筋」。

2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」という国の方針に、森林の学会関係者として、どんな課題があるのか、というのが話の内容です。

(森林の吸収量、木材の固定量へ企業の関心が高まっている!)

左の図は、準備過程で作成した大切な情報。

林業経済研究所で5年前に作成しネット上に公開している、企業の森林づくり・木材利用のCO2吸収固定量の見える化ガイドラインと、見える化計算シートをネットの月別のダウンロー数。昨年1年間のダウンロード数は5年間の累積数の半分!自治体も企業も関心が広がっています!

といったことも含めて、報告しました。

こちらにプレゼン資料を置いておきます

(プレゼン概要をご説明)

概要を報告します

背景   パリ協定の基本は、協定の趣旨を踏まえ、各国がGHG排出削減の目標INDC(Intended National Determined Contribution)を通知しそれを高めていくこと。

日本は2030年の目標を提出しているが、これは2015年7月に政府が決めたモノで、2050年80%削減を念頭においたもの。2050カーボンニュートラルとは整合性がとれていない。

これから、拡大された目標数値の作業が始まる。(真ん中の赤い〇
その作業は、国内のコンセンサスがとれるかどうかも問題だが、海外の人たちに(学会関係者もふくめた)納得してもらう必要があり、学会関係者も大切な役割。
     政府は昨年12月26日にグリーン成長戦略発表したが、その内容にもとづいて課題を検討

一つのターゲットは今年11月に英国で開催される、COP26
それまでにNDCを作成するだろう
 政策の現時点    左の図は、政府が年末に公表した「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」に記載されていたポンチ絵。
これによると、電力は50年までに全量を脱炭素電源にすることはできるが、電力以外はどうしても削減できない部分がのこる(黒い部分)。そこで、下の吸収量で差し引く、というストーリー。

森林も大切な役割がありそう
合理的に差し引くシステムをどう作るかが、一つのポイント。
 実現に向けた原動力
   カーボンニュートラルの社会を実現できるかどうか、その原動力は、自治体と企業。 
2050年CN宣言をした自治体は、2年前は4自治体だったのが、今年の3月では311自治体に(1億人以上の人口をかかえる)
(その後増えて4月7日現在359)

CN宣言をする企業も増えている

これらの人たちに森林や木材の側から、何を提供できるのだろうか?
 実現に向けた原動力
 
 企業への提供データ    その先行事例を紹介。(手前味噌ですが)

林業経済研究所で、5年前に左の事業を実施。

その成果品である、企業の森林づくり・木材利用のCO2吸収固定量の見える化ガイドラインと、見える化計算シートをネット上に公開

だれでもダウンロードできます
 この一枚をご紹介したかったです    左の図はダウンロードの月別の数。5年間で森林づくりの吸収量計算シートダウンロード、380件、建築用木材の固定量計算シートは232件
ですが、昨年1年間のダウンロード数は5年間の累積数の半分!
自治体も企業も関心が広がっています!!
(この一枚が紹介したかった!
 今後の課題は    見える化事業で提供するデータ。それと、削減量と取引でできる、データは何が違うのか?
それを判断ための既存のシステムに、国が認定したJクレジット制度があります。
森林づくりには、森林経営活動と、植林活動という、二つのチェックシスト(方法論)が公表されています
木の固定量の方には、チェックリストがありません
いろいろとやることがありそう
   御礼
ダウンロードしてくれた関係者とコンタクトして、意見を聞いたり、チェックリストを作成する方向性を検討したり、いろいろやるべきことは、たくさんありまーす!

関心ある方は連絡をください

以上
     

(質疑)

質問を一つ頂きました

質問
林政1(A7)・様々な動きをご説明戴き参考になりました。二酸化炭素の吸収・固定量の「見える化」について、どこからどこへ移動しているかも大事と思います。そうしたフローの見える化はどの程度進んでいるのでしょうか 
 答え
Jクレジット化した森林活動に関する蓄積が、どの程度購入されているのだろうか?という質問ですね?

正直言うと、正確には把握しておりません。
個別のイベントや商品作成過程をオフセットをするなどの取引がされているようなので、件数は結構あるかと思いますが、数量は余り多くないのでないかと思います。今後しっかり調査をしていきたいと思います
重要な事案なので報告をしたいと思い立ってから、あまりに、基本的なことを知らなすぎることを、知りました。今後、Jクレジットの登録者などに話をおききしながら、すこし知見を広げていきたいと思っています

以上でした

(森林計画学会でも)

なお、森林計画学会で3月26日に春季シンポジウムがあり、第二部「21世紀の森林林業の諸課題と森林計画学の方向性」というセッションの中に、「会員からの提言」というプログラムがあったので、同じタイトルで、お話をさせていただきました。

左の一枚は、森林計画学会の皆さん方にむけに、一枚追加

「計測が比較的容易なエネルギー消費過程のGHG排出量の削減量に対応した、森林の吸収量の計測・森林管理活動の評価・ベースラインの測定、また木材の固定量に関する評価の手続きなどについて、課題と可能性を検討したい。」と思います

(「見える化」するのは吸収量と固定量のだけでよいのか)

森林計画学会の議論で、すごく大切なご指摘を受けました。

どうして吸収量と木材による固定量だけなんでしょうか? 今は全く見えていない、木材利用によるマテリアル代替(省エネ効果)による排出削減量、化石燃料代替による排出削減量を見える化することこそ必要なことではないでしょうか? もちろん、これらはすでに排出削減量としてカウントされていますが、その中で木材の貢献が全く見えないのが現状です。 

多くの企業が排出削減を一生懸命やっている中、森林の吸収量・固定量について問題提起をしよう、というのが今回の報告の意図でした。

しかし、排出削減努力のなかにも、木材利用による省エネや化石燃料代替などのよる重要な側面があるので、その分を忘れないように!というご指摘です。

関連論文も送っていただきましたので、別途ご報告します。

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