自然と共生する未来に向けてー経団連自然保護協議会2023年度シンポジウム(2024/1/11)

12月5日都内で開催された経団連自然保護協議会2023年度シンポジウムに出席してみました。

2023年度シンポジウム等を開催しました
2030生物多様性実現日本会議J-GBFとの共催ー

ビッグビジネスが森林に関心を示してきている昨今、「経済界が直面する内外の広範な重要課題について、経済界の意見を取りまとめ、着実かつ迅速な実現を働きかけることを仕事にしている経済団体連合会が、自然保護協議会という団体を構成し、森林に対してどんな情報発信をしようとしているのか?

紹介します。

(シンポジウムプログラムの構成)

1. 開会:経団連自然保護協議会会長西澤敬―
2. 経団連自然保護協議会の活動紹介(動画)
3. 基調講演:「2050 年ビジョン『自然と共生する世界』を見据えた、企業、事業活動の在り方とは? ー自然と寄り添った発展、豊かさの質の追求.Livingin Harmony withNatureの世界を目指してー」東京都市大学特別教授涌井史郎様
4. パネルディスカッション:「サステイナブルな経済社会の実現に向けた企業の役割」
(モデレーター)日経ESGシニアエディター/東北大学大学院教授藤田香様
(パネル)
藤田香様/ 東京都市大学特別教授涌井史郎様
KDDI執行役員常務CFOコーホ゜レート統括本部長最勝寺奈苗様(プレゼン資料
三井住友フィナンシャルクループサステナビリティ企画部シニア・サステナビリティ・エキススパート島健治様(プレゼン資料
5. 経団連生物多様性宣言・行動指針の改定、企業の生物多様性への取組みに関するアンケート結果(付属資料)、経団連自然保護基金について他ー経団連自然保護協議会事務局
6. 2030生物多様性枠組実現日本会議(J−GBF)についてー環境省自然環境局自然環境計画課生物多様性主流化室長浜島直子
7.積水樹脂グループ生物多様性保全に向けた取り組みのご紹介ー積水樹脂代表取締役社長CEO 馬場浩志様
8. 閉会:環境省自然環境局長白石隆夫

(昆明モントリオール生物多様性枠組み議定書にもとづくビジネスの役割)

上記のプログラムでの5番目あたりで紹介されているように、最近、経団連生物多様性宣言・行動指針などが改定され、ネイチャーポジティブ経営の普及に弾みをつけています。

COP15で愛知目標にかわって、合意された昆明モントリオール生物多様性に関する枠組み(以下昆明枠組みといいます)についてはこのサイトでも重要な内容として追いかけてきましたが、あらためて、以下に引用する「昆明枠組みのターゲット15」が重要な役割をはたしていることが解ります

ビジネス及 び金融機関への生物多様性関連リスクを減らすとともに、持続可能な生産様式を確保するための行動を推進するために、ビジネスに対し以下の事項を奨励してできるようにしつつ、特 に 大企業や多国籍 企業、金融機関については確実に行わせるために、法律上、行政上、又は政策上の措置を講じる:

(ビジネスが森づくりに関わる具体的な事例)

森林のガバナンスと経団連のプロジェクトの関係を具体的に議論する道筋として、配布された以下の具体的事例を示す資料が参考になります。

企業の生物多様性の取組に関するアンケート調査2022年度版付属資料企業の生物多様性への取り組み事例集
生物多様性ビジネス貢献プロジェクト2023年度新規追加事例紹介

上記に掲載されている事例の中で、森林のガバナンスに関係ありそうな、すこし広い陸域の植生を対象としたプロジェクトを紹介します

プロジェクトのタイトルと、自社のサイトの関連情報を以下に掲載しますが(うまくリンクが張られていない可能性があります)、事例集に掲載された正確な記述などは、上に掲載した情報か後者は環境省サイトの生物多様性ビジネス貢献プロジェクト企業の取組事例を参考にしてください

昆明枠組みのターゲット 企業の生物多様性の取組に関するアンケート調査2022年度版付属資料企業の生物多様性への取り組み事例集 関連情報 生物多様性ビジネス貢献プロジェクト2023年度新規追加事例紹介 
1空間計画   木材生産と生物多様性保全を両立するサステナブルな森林経営森林管理の基本方針:王子ホールディングズ
 2 生態系回復  日本製鉄:故郷の森づくり  地域の未利用のバイオマス素材等を活用した「楽しんで」サステナビリティに関われるマイボトル:アサヒユウアス株式会社
 3 保護地域・OECM  富士通:OECMに資する自社工場用地の維持管理を推進  木材生産と生物多様性保全を両立するサステナブルな森林経営社有林内の生物多様性保全上重要なエリア把握と保全活動:王子ホールディングズ
 住友林業株式会社 / インドネシアにおけるランドスケープレベルの生態系保全「コンサベーションネットワーク」の構築
損害保険ジャパン株式会社 / OECM100か所プロジェクト
 4 絶滅危惧種・遺伝的多様性  大王製紙:高保護価値地域の指定とモンタリング KDDI株式会社 / AIによる生物情報可視化アプリ「Biome」とStarlinkを活用し外来種調査を実施 世界自然遺産である沖縄県西表島の生物多様性保全に貢献
王子ホールディングス株式会社 / 木材生産と生物多様性保全を両立するサステナブルな森林経営 森林管理への最新技術の導入
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 8気候変動と政筒多様性 三機工業: SANKI YOUエコ貢献ポイント制度  
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 10持続可能な農林水産業  レインフォレストアライアンス認証公費―の取り扱い:兼松  王子ホールディングス株式会社 / 木材生産と生物多様性保全を両立するサステナブルな森林経営、森林管理による海洋生態系への貢献
農林中央金庫(全国森林組合連合会、農中信託銀行) / 公益信託 農中森力基金による森林再生の取組み
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 14生物多様性の主流化  持続可能な木材調達・:住友林業  積水ハウス株式会社 / 「5本の樹」計画
15ビジネスと情報開示  生物多様性保全など課尿社会リスクのかなり体制の強化:大和証券グループ  株式会社バイオーム / 生物多様性情報評価・開示支援サービス群
 16 持続可能な消費とフードロス削減  FSC森林認証取得:レンゴー  
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19 資金  生物多様性の保全をテーマとした投資(世銀欧州投資銀行)」:明治安田生命保険相互会社  
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(J−GBFなどビッグビジネスと森林との関係は)

右の図はプログラムで環境省の室長が説明した、2030生物多様性枠組実現日本会議J-GBFの全体像

ビジネスフォーラムだけでなく自治体が中心となった地域連携フォーラムなど生物多様性問題を普及させていく枠組みですが事務局は環境省、会長は経団連会長ということで、ビジネスに頑張ってもらって、少しわかりにくい生物多様性問題を取組んでいこうという枠組みですね

ご紹介してきた取り組み事例をこれらの枠組みの中で生まれてきた事業です。

(先進事例から見えてくるもの)

事例主の中で、製紙業界のようにお大きな所有林をもっているところは、それを線引きして社有林内の生物多様性保全上重要なエリア把握して保全活動(王子ホールディングズ)など、独自に重要な活動をしていますね。

その他に、工場緑地を管理エリアと自然エリアにわけて、管理をしながら、自然共生サイトの一環にしていくなど(富士通)の取組があります。圧倒的多数は、後者でしょう。

残念ながら、生物多様性というコンセプトに関して、企業が直接管理する対象は面積に制限があります。

それを全体の枠組みにつなげていくには、30by30などの枠組みにもとづいて自然共生サイトにつなげていくなど工夫がいるところです。そんなところで、周辺の天然林との連携など、森林ガバナンスとの連携が大切な要素になってくるでしょう。

企業にとって30by30の仕事は、自社のやっているローカルな素晴らしい活動を、グローバルに発信して世界のESG投資先などにつなげていく大切な仕事なんですね。

是非上記の情報発信を注目してまいりましょう。勉強部屋でもフォローします。

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