伐採搬出・再造林ガイドラインの現段階ー全国連絡会北関東ミニサミットに出席(2023/12/14)

11月30日栃木県の宇都宮で開催された、「伐採搬出・再造林ガイドライン北関東ミニサミット」という会合に出席しました。

このサイトでも紹介してきた、宮崎県素材(丸太)生産業者が、「木材生産と森林保全の両立という課題に真摯に取組み、その技術力によって社会に貢献しなければならない」という高らかな宣言をして、結成された「ひむか維森の会

「ひむか維森の会」のその後(2013/10/26)

その後、ひろがって、2022年に「伐採搬出・再造林ガイドラン全国連絡会議」という組織ができたので、会員になってフォローしているところに、近くでイベントがリアルにありますおーと事務局から声がかかったので、勉強のために行ってきました。

伐採造林から再造林へ、ということもあり、勉強してきた過程を紹介します。

(ガイドラインの南九州から全国展開)

過去の経緯がについて連絡会のウェブサイトいわかりやすい藤掛顧問の説明があったので概要紹介します。

2008年:宮崎県、ひむか維森の会が「責任ある素材生産業のための行動規範」と「伐採搬出ガイドライン」を策定
2011年:同上がガイドラインに則って素材生産を行う事業体を認証する認証制度を立ち上げ
2016年:鹿児島県森連・同素生連は、ガイドライン「伐採・搬出・再造林ガイドライン」策定し、これに基づく認証制度を立ち上げ

2017年第一回ガイドラインサミット(宮崎)開催
2018年第2回ガイドラインサミット(鹿児島)開催
2019年第3回ガイドラインサミット(岩手)開催

2019年森林経営管理制度始まる(行動規範やガイドライン広がる)
2020年 全国組織の組織化呼びかけ

2021年第4回ガイドラインサミット(島根)開催

2022年伐採搬出・再造林ガイドライン全国連絡会議を正式に立ち上げ

(ガイドラインの南九州における取組と今後の課題)

ミニサミット全体像はおって、報告することとなると思いますが、藤掛顧問の標題プレゼンテーションのポイントを、紹介します。

ガイドラインは重要だが、CRL(Certification for Responsible Logger)認証(責任のある素材生産者の認証)が普及を図るうえで、決定的に重要

第三者にこの企業は、責任ある素材生産者だと認めてもらう!その認証過程で、お互いに現場で学び合う(ピアレビュー)!!(右の図)

素材生産者の覚悟。

みなの共同財産に手をかける素材生産業者は、大切な使命をもっている!!

すごいですね

(全国に広がるガイドライン)

ネット上をさがしてみると、全国の伐採搬出再造林ガイドラインは以下の通り

道府県  作成者  作成時点  ガイドラインの名称とリンク先
岩手県 ノースジャパン素材流通協同組合 2021年3月 伐採・搬出・再造林作業ガイドライン
森林整備課 2019年3月 伐採・搬出・再造林ガイドライン
山形県 森ノミクス推進課 2018年3月 山形県における皆伐・更新施業の手引き
福島県 森林整備課 2021年3月 伐採事業者と造林事業者の連携等による伐採と再造林のガイドライン
栃木県 林業課・森林整備課・木材産業課 2018年8月 伐採事業者作業と造林事業者作業の連携等による伐採と再造林のガイドライン
群馬県 2018年9月 皆伐再造林ガイドライン
栃木県 林業木材産業課 2018年7月 伐採作業と造林作業の連携等による伐採と再造林のガイドライン
富山県 森林政策課 2019年3月 伐採作業と造林作業の連携等に関するガイドライン
石川県 森林管理課 2018年10月 伐採作業と造林作業の連携等に関するガイドライン
福井県 県産材活用課 2019年6月 伐採作業と造林作業の連携等に関するガイドライン
長野県 林務部 2023年3月 長野県主伐・再造林推進ガイドライン
静岡県 森林林業課 2019年6月 採伐作業と造林作業の連携等に関する静岡県イドライン
愛知県 2019年4月 循環型林業技術ガイドライン
滋賀県 森林保全課 2019年3月 伐採作業と造林作業の連携等による伐採と再造林のガイドライン
奈良県 2020年4月 奈良県伐採・更新作業ガイドライン
和歌山県 森林林業局 2019年8月 伐採作業と造林作業の連携等に関するガイドライン
島根県 林業課・森林整備課 2016年8月 伐採者と造林者の連携による伐採と再造林等のガイドライン
広島県 林業課 2019年8月 伐採作業と造林作業の連携等による伐採と再造林のガイドライン
山口県 2019年3月 伐採作業と造林作業の連携等に関するガイドライン
高知県 木材増産推進課 2019年6月 伐採作業と造林作業の連携等に関するガイドライン
長崎県 林政課 2019年3月 伐採作業と造林作業の連携等による伐採と再造林のガイドライン
熊本県 森林整備開 2019年2月 熊本県における伐採者と造林者の連携等に関するガイドライン
大分県 林務管理課 2019年3月 おおいた伐採・再造林ガイドライン
宮崎県 森林経営課 2018年11月 宮崎県伐採、搬出及び再造林ガイドライン
責任ある素材生産事業認定員会(ひむか維森の会) 2008年10月 伐採搬出ガイドライン(2018/8改訂版)
鹿児島県 鹿児島県森林組合連合会・同素材生産事業連絡協議会 2016年3月 鹿児島県の「伐採・搬出・再造林ガイドライン」
沖縄県 2018年3月 沖縄県における伐採・造林に関する行動規範

(現場に定着する要素は?認証制度と環境志向の木材利用ビジネスとの連携)

宮崎県、鹿児島県で始まった伐採造林作業に関するガイドライン作成作業は、上記のように全国に広がっています。

林野庁の長官通達「主伐時における伐採・搬出指針」2021年3月作成23年3月一部改訂)などもインパクトを与えているでしょう。

現場にどのように広がっていくのか、は今後の課題です。認証などの形で、各事業者がみづからの立場を明確にすることを出発点として・・・(北関東ミニサミットの席上で、意見を言わせていただきました)

「ウッドマイルズフォーラム持続可能な森林フォーラムの藤原です。

素材生産事業者の社会的責任責任に関する重要な話を聞かせていただきました。この動きをどのように主流化・定着させていくかは今後の課題ですね。

その方向性として参考にしていただきたいのは、川下のビッグビジネス(ゼネコンなど)が環境パフォーマンスの開示に関心を深めている文脈で、木材の利用を始めています。

かれらが使う木材の重要な評価視点として、その木材を伐採した事業者がCRL認証をとっているか?ということを確認するようなプロセスができると思います。

是非そんな方向で、認証を広げていただきたいと思います。 

junkan10-12<batuzouGL>

■いいねボタン