中大規模建築物の木材利用の環境性能評価−東京2020会場の地域材(国産材)利用促進のレガシーとしての可能性(2019/11/15)

中大規模建築物の木材利用の環境性能評価−東京2020会場の地域材(国産材)利用促進のレガシーとしての可能性(2019/10/15)

9月27-29日環境経済・政策学会2019年(SEEPS2019)大会大会で、藤原は標記タイトルで報告しました。

ウッドマイルズフォーラム2019での『中大規模建築物木材利用と木材調達のウッドマイルズ評価』という報告を踏まえて、さらなる進化をさせた報告!!とう意気込みでとりくんだのですが、あまりそうはならなくてすみません。

でもあらすじを紹介をしておきます。

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(先行研究+アルファ)

サステイナブル建築世界大会 ( sb05tokyo =The 2005 World Sustainable Building Conference)で報告した、出雲ドーム、大館樹海ドーム、この花ドーム(宮崎)のウッドマイルズ評価を紹介。北米から運んできた出雲ドームの構造用大断面集成材と宮崎県内で調達加工したものとでは、GHG排出量が一桁ちがう。(今回オリジナルなのは、それをCO2固定量の比率で表したこと。北米から輸送すると、固定された炭素の1割以上が輸送中に排出)

(東京2010大会と ロンドン2012大会で建設された競技施設の木材の環境的評価)


toukyou2020施設の木材利用情報,結構充実しています。「2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会における木材利用等に関するワーキングチーム(配付資料、審議結果)というウェブ上に情報(それ以上の情報を若干のハードルが有り、とる余裕がありませんでした)。

新国立競技場を取り巻く庇(ひさし)は、すべての都道府県の森林認証材を利用し、産地の方角に応じて配置してあります。

また選手村ビレッジプラザは、全国の自治体から借り受けた木材でビレッジプラザを建築大会後に各自治体は解体された木材を持ち帰り、レガシーとして活用するプロジェクト・公募により全国各地の63自治体を事業協力者に決定

大きな皆が知っている建築物を、トレーサビリティのあるローカルな持続可能性のある木材で建築するときの「話題性」ですね。

(2012ロンドン大会競技施設の木材調達のレガシーを引き付いだ2020東京大会の基準)

上記の背景となったのが、ロンドンのレガシー



ロンドン2012の関連施設で木材利用が目立つのは、自転車競技場、外壁はベイスギ、競技用リンク部分はシベリアマツなのだそうです。

世界中から木材を利用している分だけ、トレーサビリティの必要性が。それが、レガシーとなった木材の持続可能性を担保するためにFSCとPEFCの二つの制度が共同して作業をした世界で初めての共同したプロジェクト認証なのでしょう。
Learning Legacy project, London 2012

それがベースとなって、東京2020施設に関する持続可能性に配慮した木材調達基準ができています(持続可能性に配慮した調達コードから)

 持続可能性の観点から合法性、のみでなく、生物多様性への配慮、住民の権利への配慮、伐採労働者の安全対策を満たす木材の調達を実施。(基準2)(ロンドンのレガシー反映)
サプライヤーは、、国内林業の振興とそれを通じた森林の多面的機能の発揮等への貢献を考慮し、国産材を優先的に選択すべきである。



(二つの施設の比較)

ロンドンのレガシーになり国産材(地域材)を使う、大規模木造建築物。それがウッドマイルズ指標で環境評価できます。

ということで、以下の結びを話しました。

自治体が中心となって森林認証システムを中心とする、持続可能な木材の供給サプライチェーンが普及しつつあるあります

大型建築物を建設するにあたって、再生可能な循環資源として地域材・国産材を環境的な資源として利用し、建築物の利用者と供給地の人たちが連携をはかる可能性も広まっていいます。

東京2010で生まれた動きを、定着させるには最終的にはマーケットの需用者側に今後安定的な需要が生み出せるかどうか。地方自治体の役割、ESG投資の役割は大きいです。

地域材の普及をウッドマイルズ指標によって訴求をはかることは、地域材をグローバルな視点でとらえるきっかけになる可能性を含んでいます

コメンテーターは地球・人間環境フォーラムの坂本さん
環境団体として東京大会で使われている木材、特に熱帯産のものが持続可能性基準に適合しているかどうかを問う活動をしています 参考:環境経済・政策研究 12 巻 (2019) 1 号「東京2020大会と持続可能な調達−木材を事例に−」
今回のテーマは「地域材の利用促進に東京大会がレガシーを残せるのか?」ですが、組織委の「持続可能に配慮した木材調達基準」では、伐採に当たっての合法性や生態系や先住民族等の権利への配慮、 労働安全のみ、木材調達にかかるGHG排出量(ウッドマイルズが取り上げた環境指標)については触れられていません。FSCやPEFCなどの森林認証制度においても同様です

GHG排出量のスコープが妥当かどうかの検討はどのようにされる? 

というす難しい質問がありました。

2020東京の大会施設という大きなプロジェクでの問題提起ですので、関心のある方が、議論にくわわっていただきたいです。
環境経済政策学会の会員の皆さんの関心を持って下さい。

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