日本の森林外交史ーアジアのSDGsの発展のためになるか(2018/12/22 | |||||||||||||||||||||
12月5日からに都内で開催されたThe 18th Science Council of Asia Conference “Role of Science for Society: Strategies towards SDGs in Asia”第18回アジ学術会議大会:社会のための科学技術ーアジアのSDGsに向けての戦略という国際会議で日本の森林外交史について報告する機会がありました。 タイトルはJapan’s Forest Diplomacy and International Governance of Sustainable Development 日本の森林外交史と持続可能な開発の国際的な枠組み 今年1月のICUでの講義の内容、日本の「森林外交」と国際ガバナンスーガバナンスのグローバル化の次の展開の中での森林の役割(2018/2/18) をもとに、環境外交史の研究グループ(日本の環境外交の包括的検証:駆動要因と効果性の分析)のスタッフメンバーの協力をいただき(学習院大学阪口功教授、ICUの毛利勝彦教授に共著者になっていただきました)、大会のテーマである環境・経済・社会といったバランスのとれた社会を形成するうえで、日本の森林外交の実績がどのように貢献するのか?というチャレンジングな報告でした。 今後もう少し作業を進める途中経過の発表です。 ご興味のあるかたは、フルペーパー(日本語訳もつけています)、とプレゼン資料(日本語で解説付き)をおいておきますおで、こちらをどうぞう。 この作業過程で勉強になったこと、印象深かったことを思いつくままに、内容の一部をご紹介。 (分岐点となる5つの国際会議) とりあえず、自分が関係していた仕事関係の情報を題材に、環境外交史の研究グループの共通認識となっている、戦後の国際環境合意を検討する場合の分岐点となる5つの国連の国際会議をあてはめて、整理をするという作業 日本の森林外交を貿易外交と森林環境外交の二つにわけて分析 (環境と貿易とITTO) 日本の戦後の森林外交の歴史でだれもが、興味をもつトピックスが、国際熱帯木材機関ITTOの本部誘致です。 1970-80年代、途上国であり生産国である熱帯木材の輸出国との関係。 力を蓄えつつある途上国が連携をとり、援助より市場での新国際経済秩序NIOEを求める中で、そのシンボルとなった商品協定をベースとしたITTO。 日本は、世界でダントツにトップの熱帯木材原材料輸入国であり、また、日本が新たな先進国としてODA援助体制を固める過程での作業でした。 (利害の対立する産地国との対話と多国間合意) 貿易交渉で大切な輸出国と我が国の関係、何が力となるか? 日米、日加、日・インドネシアなど色んな対話があり、外交だからどちらも国益を主張するのですが、その際、長いこと係って組み立てられてきた多国間のフォーラムでの合意事項が議論のベース(この場合はGATT-WTO)、というのが大切な視点でした。 内国民待遇ー内外無差別、最恵国待遇ー誰かに与えた利益はその他の国にも。 (国だけでなく関係者の参画) また、環境に関する海外との議論の場合の基礎として、利害関係者stakeholdersとの関係性が大切な要素になってきました。業界はもちろんですが、市民、消費者や学術関係者の関係が重要です。 環境と経済のほかに社会という要素をバランス良くしていくための不可欠な仕組みですが難しい宿題です。 (日本の違法伐採問題への取組とSDGs) その辺も含めて、2007年の違法伐採問題での林野庁ガイドラインは、内外無差別(欧米のEUTRやレーシ方法には欠けている)、業界団体の参画、消費者・市民の参画、という、いろんなそれまでの日本の経験を踏まえた大切な成果でした。・・・ ーーーー 70年間の日本の戦後の森林外交の歴史を12分間で話しをするというので、大変な作業でしたが、勉強になりました。今後もうもう少し整理をする作業をしていきます。 (アジアのSDGsにとっての森林) 今回のアジア学術会議第18回アジ学術会議大会:社会のための科学技術ーアジアのSDGsに向けての戦略という国際会議では、10の分科会に70近い口頭発表、40ほどのポスター発表がありました。Program of Activities そのうち、森林に関する報告は私のモノも含めて二つの分科会に以下の3つでした。
それぞれ、面白い報告でした(注)が、すべて日本の森林政策についての論考で、二つは(私も含めた)日本人、一つはマレーシア人。アジアのSDGsにとって地域内森林でガバナンス問題、世界中の森林産物の大量消費という二つの面で森林という分野が大切な割に、今回のイベントに中で森林分野の学術研究者の陰がうすいですね。(と言う私もこのイベントは共著者に教えられるまでは全く視野の中に入っていませんでした) (注)上記1は日本の人工林の供給力をしっかり循環的に使っていくために建築需要のどんな部分どんな部材を使っていったらよいのか、という木材工学分野のアイディアと山づくりの政策を連携させた面白い研究でした。 junkan8-1(18SCA) |
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