ビッグビジネスの木材利用の道筋ー第15回「新たな木材利用事例発表会」から(2024/3/14)

毎年開催している「新たな木材利用事例発表会」1月29日新木場の木材会館で開催されました。

久しぶりで、木材会館にいってきました。

全木連が主催するこのイベントは、しっかりした報告ページができていて、プレゼン資料、プレゼン概要、アーカイブ動画など、すごく丁寧な報告ページがあるので、こちらをみれば、詳しい内容はわかります。

サプタイトルは上記の通り「JAS材の普及拡大にむけて」なのですが、需要者側企業の環境的情報発信を視野に入れた木材利用促進の熱意。

インパクトがありました、ので、すこし、全体の内容(環境的情報発信を中心にした)紹介のページを作ってみました。

プログラムは以下の通り。

 プレゼン資料  タイトルとプレゼンター+動画  クロージング
   開会挨拶(全木連菅野会長)(アーカイブ動画  JAS材普及拡大に繋がるの契機となれば。ご参会の皆様のご健勝ご発展を祈念します
「製材 JAS の供給・利用の拡大に向けて」
林野庁 林政部 木材産業課 上席木材専門官
鈴 木 清 史 氏
アーカイブ動画
 改正建築基準法の施行等を契機として川下側で JAS 製材のニーズが高まることを想定しつつ、地域毎に川上から川下まで関係者間での協議や情報共有を行うことにより JAS 製材のサプライチェーンを構築することが、持続可能な森林経営、森林資源の循環利用においても大きな意義
「木材供給体制と JAS 材生産の取り組み」
協和木材株式会社 専務取締役
佐川 和佳子 氏
アーカイブ動画
 今後の JAS 材生産として選別を自動化する生産ラインがとりあげられ、視察で訪れたドイツの製材工場で目の当たりにした生産ライン上の無人化、人の介在は設備トラブル対応時のみといった生産体制が理想の姿であるとの話があり、カメラやセンサー等のスキャナーを使用した検査・選別・格付は、精度管理面・生産性向上、そして地方における人材確保の難しさにおいて有効な設備である
「カーボンニュートラル社会に向けた木材利用の取組と JAS 材への期待」
株式会社竹中工務店 木造・木質建築推進本部 シニアチーフエンジニア
小 林 道 和 氏
アーカイブ動画
 企業活動の情報開示基準をつくる国際組織である国際サステナビリティ基準審議会(ISSB: International Sustainability Standards Board)の記事の紹介がありました。ISSB は 2024 年6月までに気候変動の次に整備すべきサステナビリティ開示基準を絞り込む予定であり、そのテーマに生物多様性、人権、人的資本の3つが挙がっていること、生物多様性の採択の可能性が高く、採択されると5、6年先には企業の対応が求められるようになり、木材の使用についても気候変動と同等の説明責任を果たす必要があることに注意と準備が必要
「マクドナルドの国産木材の活用状況 Planet Project」
日本マクドナルド株式会社 店舗開発本部 設計建設部 投資モデル最適化部 部長
佐 藤 弘 樹 氏
アーカイブ動画
 植林が約束されている木材を使いたいとの考えのもと、3年間で使う 5,500 ㎥の地域材について、それら地域材の伐採あとに植林しその後 40 年で成長する森林がCO2 を吸収すれば、都市の CO2 貯蓄倉庫と併せて森林の CO2 貯蔵装置が機能すること、また、森林からトレーサビリティのある木材が店舗に供給されるとともに、植林した木が成長すれば森林として CO2 を吸収することとなり森林資源の循環利用につながる・・・・。木造店舗を開発することによって、CO2 排出削減だけでなくCO2 吸収にも貢献することがマクドナルドが描く夢であり、このことを子供たちにも理解してもらえば素晴らしい

(製材JAS普及の課題)

全体のイベントのサブタイトルが「JAS材普及の普及拡大にむけて」であり、林野庁の第一報告ではJASとは何かに始まり、製材JASの普及が課題だが、とくに、国産材の利用の推進力となっている地域工務店の地域材利用を拡大するには製材JASが不可欠と、具体的な提案がなされてインパクトがありました。

ただもっとインパクトがあったのは、最終消費者のプレゼンの環境にこだわる木材利用の取組でした。

色々質問もしてみました。

(カーボンニュートラル社会に向けた木材利用の取組と JAS 材への期待:竹中工務店)

地域材の木をふくめて、各地に建設してきた木造ビルの紹介に、はじまり、後段は、木造木質建材が社会に受け入れられうための課題として、右の図のように、3点指摘されました。

①建設工事費の削減、②耐久性に関する建築主等の不安の払拭、➂環境問題への貢献

とくに、三つめ中心のプレゼンが充実していました。(この部分の動画

そこで、終わってから、質問をしてみました。

問:JASがテーマなんですが環境問題につい大きな話題として報告されたので、そちらの方面を伺いたいです。クリーンウッド法の話がでました。竹中さんはクリーンウッド法の登録されているようですが、ゼネコンでなかなか登録が進まないようですね。グループでワーキンググループをつくっているとわれていました、是非頑張って下さい。建築事業者のクリーンウッド登録のどんなところに問題点がありそうですか?

答:クリーンウッド法登録は努力義務なんでトップから「どんなメリットがあるのか?」聞かれると、はっきりいって、「ちゃんと対外的に公表出来ますよ」というだけなんですよね。「『ちゃんとした調達をがんばってやっています』よ、といっていれば、登録する必要なんかないじゃないか?」となります。ただ、経営環境を見てみると、「生物多様性などにちからをいれているか」というTNFDといった仕組みも動いてきているので、クリーンウッド法どころの話ではない、厳しい環境パフォーマンスの報告が求められるようになります。クリーンウッド法で地ならしをしておいて、将来に備えるということが必要だと思ます。TNFD時代にむけて!!

(マクドナルドの国産木材の活用状況 Planet Project)

世界約100以上の国と地域ー約40,000店舗で展開
日本:約3,000店舗ーといった企業が店舗の木質展開をしています

なぜ?の答えが、左の図

繰り返しになりますが、植林が約束されている木材を使いたいとの考えのもと、3年間で使う 5,500 ㎥の地域材について、それら地域材の伐採あとに植林しその後 40 年で成長する森林がCO2 を吸収すれば、都市の CO2 貯蓄倉庫と併せて森林の CO2 貯蔵装置が機能すること、また、森林からトレーサビリティのある木材が店舗に供給されるとともに、植林した木が成長すれば森林として CO2 を吸収することとなり森林資源の循環利用につながる・・・・。木造店舗を開発することによって、CO2 排出削減だけでなくCO2 吸収にも貢献することがマクドナルドが描く夢であり、このことを子供たちにも理解してもらえば素晴らしい

ということなのでで、質問をしてみました(ごめんなさい、おわってからメールで)

問 「植林が約束されている木材を使いたい」といわれていました。すばらしいです!が、実施ができていますか?

答: そこができない状況です。林野庁などビジネスに直接かかわらない第三者がそういうことを保証するシステムを期待しています。

当方からのコメント:そうなんですね。FSCとかPEEFCとか持続可能な木材のサプライチェーンを保証する仕組みがありますが、あの山でとれた木できています、ここまで成長していますよ!といったシステムが是非ほしい、ということですね。本当にインパクトのあるお話ですね。自治体などと相談して頑張っていただきたいと思います。

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(「木材供給体制と JAS 材生産の取り組み」:協和木材)

順番が逆になってごめんなさい。屋内の国産材大手製材メーカーを代表して協和木材がJASについてプレゼンをされました。

「工場における原木集材については採算性の観点より工場から 50km 圏内での集材を目指し、工場立地においても 50km 圏内の森林資源蓄積量を重視しています。製品出荷については東北、関東、名古屋以北を商圏としている。製造コストを下げることで輸送コストをカバーできるよう、日々設備改善と自動化に取り組んでいいます。」

会場から質問ありますか?と言われるので、質問しました。

問:半径50キロ圏内を集荷圏とするのは、もちろん集荷コストも関係あるでしょうが、集荷のGHG排出量としても重要な情報です。今後建物の造成にかかるライフサイクルGHGを公表する流れになっているので、そのような時に御社のような情報は重要だと思います。それぞれの集荷された木材がどこ由来だという情報は蓄積されているのでしょうか?
また、50キロ圏で安定した木材の集荷ができるという見通しをもっているのですか?

答え:きっちり50キロとかなっているわけではなく60キロになることもあります。記録は運送業者から距離のデータをもらうことは可能です。安定供給はあまり問題ありません。当方から素材生産業に責任購入をするという形にすれば大丈夫、年間供給することはできています。

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以上でした。

当日の講演・パネルディスカッションの動画及び講演資料など

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