11月9-10日に、林業経済学会の秋季大会が筑波大学筑波キャンパスで開催されました。
恒例の大切なイベントですが、ばたばたしていて、3年ぶりの参加となりました。いよいよ日本の森林の皆伐が本格的に始まるガバナンス問題、森林環境税にからむ主として自治体の政策関与の問題、海外の最新情報を踏まえたグローバルな動向と国内の森林問題など大切なテーマに関する議論が報告されていました。
林業経済学会の関連ページにプログラムと報告要旨が公開されています。
もちろんすべての報告を聞くことはできませんが、興味のある報告には本人にお願いして可能な限り情報をいただきましたので、紹介します。
発表者 |
標題 |
関連データ
要旨・資料 |
注目点 |
日本における森林管理能力 |
御田成顕
(九大決断セ) |
日常活動理論にもとづいた盗伐発生要因の検討:宮崎県を事例として |
要旨C3
資料 |
宮崎県の盗伐有罪判決の事案の分析 |
大地俊介
(宮崎大学) |
皆伐に対する市の行政的対応:宮崎県の中核的2市を事例として |
要旨C4
資料 |
主伐期における管理ー市町村の伐採届の役割 |
福田淳
(広島県) |
広島県における素材生産と原木流通の動向について−「平成29 年度広島県素材生産実態調査」の結果− |
要旨C6 |
素材生産全数調査結果、国の「木材統計」のとかい離 |
栗山浩一
(京都大学) |
森林認証制度の政策分析
−実験経済学アプローチ− |
要旨T3-4 |
森林認証材普及のカギに迫る実験 |
志賀和人(林業経済研究所) |
森林管理における林務組織と地域ガバナンス |
要旨A1
資料 |
市町村の人材育成の展望 |
早船真智
(森林総研) |
PEFC グループ森林管理認証の展開とグループ主体−日本・北欧の比較研究− |
要旨C16
資料 |
森林ガバナンスを支える地域組織 |
三柴淳一
(GoEJapan) |
日本の家具業界における違法伐採対策への対応 |
要旨 C17 |
家具事象者のクリーンウッド法登録のきっかけ |
太田伊久雄
(琉球大学) |
森林認証木材製品のプレミアム価格形成に関する一考察 |
要旨 C24
資料 |
FSC製品は高級ブランドでより価格プレミアム |
森林環境政策と自治体の役割 |
田中 慧吾
(東京大学) |
森林総合産業の現状と課題
−北海道下川町を事例として− |
要旨T3-1 |
森林総合産業に取組む二つの町の比較 |
梶間周一郎
(東北大学) |
自治体の森林環境税の導入動態
―階層的クラスター分析を用いたアプローチー |
要旨T3-8 |
先行した自治体の税の投入先、今後の参考に |
山本美穂
(宇都宮大) |
「森林環境税」市町村交付金事業の現状と課題:栃木県「とちぎの元気な森づくり県民税」の事例より |
要旨T3-9 |
栃木県森づくり県民税の市町村の遂行状況比較から課題 |
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社会のグローバルガバナンスと森林 |
藤崎泰治
(九大) |
UNFCCC-REDD+枠組み形成プロセスの分析 |
要旨 B12 |
パリ協定実施の進んだ枠組みの形成過程 |
相楽 美穂
(跡見学園女子大) |
途上国の森林開発分野での紛争解決手続き |
要旨B13 |
マレーシア・インドネシアの事例研究 |
井上真
(早稲田大学) |
ボルネオ島中央部生態系保全へのSDG 等国際枠組みの活用
―参加原則に関するインドネシアおよびマレーシアの比較検討― |
要旨B15
資料 |
国境における森林管理事例・住民参加の意義は? |
鮫島弘光(IGES) |
東南アジアにおける小農主体型新興木材生産地形成の比較:インドネシア、ベトナム、フィリピン、タイを中心に |
要旨 B16 |
インドネシア・ベトナムの活性化 |
瀋美晴
(筑大院) |
退耕還林政策による造林の実態に関する研究 ー四川省達州市の事例からー |
要旨 B17 |
生態林と木材林関係とモチベーション |
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林業経済学の役割など |
吉田美佳
(筑波大学) |
学問と産業の連携を目指す森林利用学分野の取り組み |
要旨 T2-1 |
学問と産業界・社会の相互発展 |
下川 哲
(早稲田大) |
農業経済学の国際的動向―今後の課題と展望― |
要旨 T2-2 |
農経の研究対象の急速な国際化の教訓 |
嶌田栄樹
(京大院農) |
林業「経済学」による森林・林業政策の評価 |
要旨 T2-3
資料 |
森林政策の実証研究の遅れ |
峰尾 恵人
(京大院農) |
林業経済学の総括と「新しい林政学」の構想 |
要旨 T2-6
資料 |
林業経済誌と林業経済研究誌の関係など |
佐藤宣子
(九大院農) |
豪雨による流木被害の常態化と森林政策の課題:平成29 年7 月九州北部豪雨を題材に |
要旨A4
資料 |
(他分野のように)「住民知」を踏まえた研究が必要 |
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過去の関連ページ
持続可能な森林管理を担保する制度としての、森林認証制度と我が国における森林法・合法性証明システム(2015/11/24)
違法伐採問題、木材のサプライチェーンの特徴と林野庁ガイドライン、林業経済学会での報告(2014/11/23)
gakkai<rinkei2018>
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