地方創生と木材利用を考える(2016/7/24)

一般社団法人ウッドマイルズフォーラム恒例のウッドマイルズフォーラム2016が、7月13日東京で開催されました。

副タイトルは「地方創生と木材利用を考える」。

地域と都市部の二つの取組に焦点をあて、木材利用の最新動向を学ぶと共に、地方と都市部の連携や地方創生との関係、木材のトレーサビリティの果たす役割などについて理解を深めます」(フォーラムちらしより)

団体の創設から関与していた大切な団体のメインイベントに参加してきました。内容が盛りだくさんという心配をしましたが、川下と川上のコミュニケーションの要点がよくわかる素晴らしい内容でした。

主催者による概要ページ

以下の4人のスピーカーによる講演とパネルディスカッションです

【基調講演】
『地方創生と木材利用』
有馬孝禮氏/東京大学名誉教授
『木材利用の拡大について』
吉田誠氏/林野庁木材利用課長【取組事例報告】
『根羽村のトータル林業、環境建築による持続可能な村づくり』
大久保憲一氏/長野県根羽村長
『CLTによる都市部での木材需要拡大』
有賀康治氏/一般社団法人日本CLT協会業務推進部次長
【質疑応答・意見交換会】
上記後援者+藤本昌也氏 藤原敬氏 三澤文子氏 ほか

(消費地と生産地の連携はうまくいっているか)

有馬先生の基調報告は、「長年木材と木造にかかわってきた」経験を踏まえて、建築への木材利用の風が吹いている現局面について、いくつかの課題を提起されました。

生産地と消費地の連携が重要な課題で、それがうまくいかないと今の木材利用の流れが資源の再生産に結びつかないリスクがある。住まい手と山の顔の見える関係が当初期待されるような運動として形成されなかった点なども指摘され、ウッドマイルズフォーラム自体がしっかり受け止めなければならない点でもありました。

連携問題では、矢作川の最上流・長野県最南端の羽根村の村長のお話は迫力がありました。下流の安城市の公共建築物利用促進方針に羽根産木材の利用が規定さているのだそうですが、ここにいたる過程には、大変長い明治用水土地改良区時代からのコミュニケーションの歴史があることが紹介されました。

(CLTは建築だけでなく国産材製材・ラミナーの供給体制を変える?)

「ブームになっている」、CLT話。推進するCLT協会の有賀さんだけでなく、有馬先生、吉田課長の話の主題にもなっていました。住宅以外の木材利用の一つの方向となっているCLTについては、建築物の軽量化・熟練技術の軽減など建築自体の合理化に貢献(吉田課長)という製品性能に関してだけでなく、その製造過程から、断面が複雑な国産材製材の加工流通の全体にわたる、変革のプロセスの出発点になる可能性?期待?がある、という指摘(有馬先生)がありました。

是非ウッドマイルズフォーラムウェブページから、内容を参照してください。

energy2-71(WMF2016)

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