熱帯の森林減少の解決にはーー途上国の貧困率を低下させる基盤整備が必要(2023/3/15)

218日に都内で開催された「持続可能性と資源貿易研究会」に久しぶりに出席し、森林総研宮本基杖さんの「熱帯林減少の原因と解決策―貧困削減が森林減少の防止に有効―」という報告を聞きました。(日林誌2月20日掲載論文「熱帯林減少の原因と解決策―貧困削減が森林減少の防止に有効―」の解説)

「本稿の目的は,第1 に,先行研究と著者の実証研究を基に,熱帯林減少の直接原因と根本原因,さらに森林減少の発生と制御のメカニズムについ解明された全容を示すこと,第2 に,現行の森林減少対策を概括し,対策の比較検討を行い,森林減少を防止する持続可能な解決策を提案すること」(論文「はじめに」の締め)

地球上のたくさんの機関が長い間取組んできた課題の、「持続可能な解決策の提案」!!。

紹介します。(プレゼン資料はこちらに置きます。)

(森林減少の原因は)

森林減少を止める取り組みは、REDD+などいろいろなされてきましたが、「期待したほど進んでいないのは、根本原因が理解されていないから。」

それで根本原因をさぐるため、まず、直接的な原因は?

奥地で農業地代が上昇し、森林の農地転換が進行したからです。(右の図)

ただ、森林減少の解決には根本現認を特定し、発生メカニズムを解明し、有効な解決策にたどり着く必要があります。

(根本原因はー貧困)

宮本さんは、マレーシアとインドネシアの現地調査の蓄積を踏まえ、2020年3月のWorld Divelopment誌に、「森林減少の根本的な原因は貧困だ」と特定する論文を発表しました。

Poverty reduction saves forests sustainably: Lessons for deforestation policies

(森林減少の発生メカニズムと制御メカニズム)

様々なデータを分析した結果、右の図のように、高い貧困率と、高い農業地代、高い森林率の三つがそろえば森林減少が発生すします(右上)。

そして、低い貧困率か、低い農業地代か、低い森林率かのどれかがあると、森林減少が抑制されます(下)、ということがことが明らかになりました。

つまり、対応策は①農業地代の抑制か、②貧困対策か

現行の森林減少対策をリストアップしたので、左の図。

上のオレンジの枠が、農業地代の抑制にあたる施策です。

そして、下の緑の枠が貧困対策。

現在の主流は農業地代の抑制ですが、即効性は高いけれど、悪影響がでたり持続性に問題があります。

(結論と提案)

そこで、結論は貧困削減は森林減少解決に道を開く突破口、提案1:森林減少対策の主軸を「貧困削減策」に移す抜本的改革、提案2:対象国地域の貧困率を下げる本格的な貧困削減策が解決策、そして提案3:貧困層に向けた社会基盤の整備が必須

以上でした

関心のある方は、是非プレゼン資料をみて、論文を読んでくださいネ

(森林減少問題の持つ意味)

長年の研究蓄積の成果を世の中に知ってもらうために論文を書きました」、と言われました。
研究者の活動と社会問題解決の連携。

すばらしいですね。

あらためて、森林減少をとめることが、途上国にとっていかにに難しい課題かを再認識させられました。

「森林減少をとめるための貧困対策」

どこの国でも、途上国は何の途上かといえば、豊かな国になるための途上。貧困対策は、国の政策がすべて集約される大切な課題です。つまり、森林減少対策のための、貧困対策ではないんですね。

途上国の国の行政の中の森林管理当局(日本で言うと林野庁)は、森林減少対策に直接責任があるんでしょうが、どんな分担をして森林減少対策としての貧困対策に取組むのか、この論文をもとに検討していく必要がありますね。

逆に、森林の減少問題をフォローすることは、その途上国が豊かな国になってくることの証を明らかにすることとも言えます。

chikyu5-9<defore-hinkon>

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