グローバルな視野から見た地域木材の可能性―東京2021主会場木造国立競技場の環境性能ー第15回世界林業大会の提出文書(2022/5/15)

5月第一週にソウルで開催された第15回世界林業大会に論文の提出規程があったので、提出(大会10日前になってやっと)アクセプトされました。

提出者はウッドマイルズフォーラムの藤原(主筆)と滝口さん、タイトルはPossibility of local wood from a global perspectiveーThe Environmental Performance on Wooden Main Stadium of Tokyo 2020(国際的な視点で見た地域材の可能性ー東京オリパラ2020の木造主会場の環境性能)

そして、いろいろ日程調整の結果、3日目5月4日の午後のスピーカーズコーナーで、紹介することができました。(5人一組で3分ずつスピーチ、その後15分間の質疑応答、1セット30分。これが毎日数セット。

プレゼン内容を説明します(英語で3分間やりました)

皆さん今日は!
 日本の一般社団法人ウッドマイルズフォーラム藤原が、「国際的な視点で見た地域材の可能性ー東京オリパラ2020の木造主会場の環境性能」というタイトルで、報告します
   ウッドマイルズフォーラムという団体(以下WMF)は、2001年から、木材の環境的側面と地域性という点で研究活動を開始し、14年に一般社団法人ウッドマイルズフォーラムになりました。
輸送過程の温室効果ガスとか、トレーサビリティコストなど調べています
左の図は、2年ほど前ネイチャートレーサビリティl誌に掲載された、本報告の背景となる図です。

地球の炭素貯蔵をめぐる歴史的動向
左端は、「地球の炭素貯蔵庫形成期」、真ん中は「炭素貯蔵庫破壊期」、右端は「炭素貯蔵庫再構成期」。私たちは第3の時代の入り口にいます。

生物起源の材料により都市が形成され貯蔵庫おなっていく・・・
WMFが行った、2012ロンドン大会と2021東京大会の木造主会場のウッドマイルズ指数の評価結果です。

前者は世界中から木材が集められ、後者は日本中から木材が集荷されました。
上から順に、木材輸送距離、木材単位材積当たりの輸送過程CO2排出量、木材全体の輸送過程CO2排出量(a)、木材に固定されたCO2の量(b)、最後がa/b。
ロンドンでは固定されたCO2の4割が輸送過程で排出されている。
グローバル木材GWとローカル木材LWの比較。
物理的経済的品質だと、GWは市場の要求に世界中の木材で柔軟に対応できるが、LWは供給材料の品質が限られているので、市場を管理する必要(こういう材料使ってください)がある。GWが勝ち
環境的社会的品質だと、GWは品質を証明するのに世界中のサプライチェーンに関して第三者管理が必要だが、LWはサプライチェーンは知っている人なので、管理が簡単。GHGの排出量ではGWでは固定量の半分以上を輸送過程で排出してしまう可能性がある。LWの勝ち

(質疑応答)

質疑の時間では、5人の報告に対して3つほどの質問があり、そのうち二人がTakashiへの質問。

Q1 日本の国立競技場がローカル木材だというが、どうしてローカル木材といえるのか?

A2 国立競技場を取り巻いている木材は、日本の各都道府県から取り寄せた木材で構成されており、どの方向はどの都道府県からきた部材なのかわかるようになっている。地域性を大切にしている。

Q2 施設をつくるときのコンクリートパネルが、マレーシア産でトレーサビリティに問題がある、と指摘されたケースがあるのでないか?LGではないのでないか?

A2 指摘の通りのことがあったが、今回の計算は、実際に建築物ができたときに存在が見える構成要素で図っている。コンクリートパネルは除いている。

(森林と木材利用の議論なのかでの地域性LOCALITYの議論の位置づけ)

地域性というキーワードでプレゼンをしてみて、その言葉が、どの程度広がりがあるか、問題意識を感じていました。

森林に基づく解決策Forest-based solutionsという言葉が、ソウル森林宣言の中にもありますが、inclusive of the perspectives of family farmers, smallholders, forest communities, Indigenous Peoples,これらの人たちをまきこんで、意見を聞いて、権利を尊重し、地域の知恵を大切に・・・と話が続きます。大きなバリューチェーンに頼るだけでなく、まさに地域性を大切に、というコンセプトだと思います。

そのほかに、全体の会議のなかで、もう少し追いかけていきたいと思います。

(パリ2024の木材調達方針の問題点?)

5月4日の午前中Plenary session 3 Wood the most ancient raw material taking us to the future と(「最古の原料である木材は我々を未来に導く」、と題する会合があり、内容は別途ご報告しようと思いますが、そこに出てたコンゴ共和国の森林経済大臣H.E. Rosalie Matondoさんは、発言の中で、パリ2024大会の事務局の木材調達方針に異をとなえるような発言がありました。

パリ2024の木材調達方針の中で、熱帯木材を排除するといった、規定があるようです。
Paris 2024 Olympics’ timber commitment excludes tropical suppliers

大臣には私のペーパーの概要もお渡しして、興味があるので今後教えてください、と申し上げておきました。

今後フォローしておきますね。

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