《国際セミナー》違法伐採対策と合法木材貿易の振興(2015/11/24) | |||||||||||||||||||||||||
オランダの経済大臣が来日されてのを機会に、オランダ大使館が標記セミナーを開催したので、出席をしました。議員会館で開催されたこのセミナーは自民党、民主党で違法伐採問題の法制化などを検討している関係議員も出席し、興味深いものでした。
(背景) 2014年のグレンイーグルスG8サミットでの違法伐採対する取り組みの呼びかけに応えて2005年に日本はグリーン購入法で国の調達する木材木材製品について、合法性が証明されたものであることを義務づけ、その証明のため木材・木材製品の合法性、持続可能性の証明のためのガイドライン を公表しました。それから来年の2月で10年がたちます。 一方、EUは2003年より森林法の施行強化などに関する二国間合意を途上国との間で求めてきましたが、その対策を強化する意味で、2013年より「EU木材規則」を成立施行さています。 本規則により、1)違法に伐採された木材や違法伐採木材を用いた製品のEU市場への出荷が禁止される(第4条1項)、2)EU市場に最初に木材製品を出荷するEU内の取引業者に対し、「デューディリジェンス(適切な注意)」を行使するよう義務付け(同2項)、3)域内取引業者は自社の供給業者および顧客について記録し保管する(第5条)ことが規定されました。 米国では2003年にレーシー法の改正、オーストラリアでも新たな法制が施行されるなかで、「空白となった」日本に、違法伐採の材木が輸入されるリスクが高まってる、との主張がされています。 左の図は、今回のセミナーで欧州木材貿易協会 アンドレ・デ・ボア氏が、示したものです。 (日本とEUの違法伐採対策の比較)
二つのシステムを比べると、日本のシステムはすべてのサプライチェーンの証明を求め、それにグリーン購入法によるメリットを与えるのに対して、EUは100パーセントとは行かないが善良な管理者としての努力義務を与え、それに反したものに罰を与えるとなっています。 中国からの木材を輸入する日本の企業の方と話をする機会がありますが、「EUTRが要求する適切な注意義務を果たしても、日本のガイドラインが要求する『サプライチェーンのすべての管理』をクリアすることができない」という意見を何度も聞きました。「罰則がつく場合と、恩典がある場合での条件のハードルが前者に軽くされるのは当然だ」と返事をします。 他方で、EUのような罰則規定があるかどうかの点はシステムの信頼性の観点から大きなポイントです。前述の日本のシステムのハードルが高いという人は、自社の社会的責任をクリアするために検討している場合であり、それがはずれると、公的な罰則規定がないため、日本のシステムの信頼の担保が、「業界団体の社会的責任」に一手にかかってくることになり、大きな問題点ともいえます。 「海外の違法行為を根拠とした日本国内での罰則規定」という話を霞ヶ関中でした途端に、法律策定の専門家からは「あり得ない」と一笑に付されるのが目に見えるようですが、最近は法制局の専門家も巻き込んだ検討が行われているようです(セミナーでの小島議員の話など)。10周年を迎えた日本の業界団体認定のシステムに新しいステップが加わるのかと、期待をしています。 (EUにとっての業界団体認定の意味) 今回のセミナーで「意見がある人はいませんか?」といわれて、一言話をさせてもらいました。「日本の業界団体認定の仕組みをEUでも研究して下さい。輸入材でなくEU域内の違法伐採問題のリスクに対処するため、中小企業のサプライチェーンの多い地域で対処するには業界団体認定のような仕組みをつくっておくことは、(それですべてが解決するという意味でなく)大切なステップになるはずです」。 いつもEUや中国の人と話すときにいっていることです。細かいサプライチェーンの管理をするために、業界団体の社会的責任をどのような形で発揮させていくのか、どのような限界があるのか、今後同じような課題を抱える中国やEUの人たちと、日本型の業界団体認定の発展方向の議論が進むことを期待しています。 boueki4-58(gohowood&EUTR) |
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