CW法登録と業界団体一括登録普及の可能性(2023/8/10)

CW法が改正され、これから施行まで議論が進んでいきますが、CW法のポイントである登録をどのように進めていくのか?が課題です。

(登録事業者の現状と拡大の方法)

林野庁が公表しているデータの最新版(6月30日現在)のデータによると現在667事業者が登録されています(数字が公表されていないので数えました)が、林野庁は登録木材関連事業者数を法律施行後5年の令和3年度までに15,000業者に増加させることを目標(なのでR2年度は13000業者)だといっていました。(令和2年度実施施策に係る政策評価の事前分析表21-4ページ)

いずれにしても登録事業者を増やすことが重要な課題です。

右の図は6月26日のCW説明会の説明資料の最後のページです。

登録のメリットが、@無登録の事業者との差別化、A法律に位置づけられた事業者として社会的評価が向上、B地域社会や消費者・一般事業者に対して、事業者として信頼性が向上、と記載されています。

ESG投資などを視野にいれる企業にとっては大切な社会的評価、事業者にとっての信頼性ですが、多くの中小規模の木材関連事業者にとっては手間とコストのバランスを考えると、メリットがたりない、ということなのでしょうか。

(業界団体の一括登録)

木材事業者の登録をどのようにサポートするのか、というアイディアの一つが、左の図業界団体による一括申請事業です。

このページでも、5年前に申請事例紹介しました(製紙業界のクリーンウッド法事業者登録ー初めての一括申請の結果)。

A登録事業者にC業界団体が希望する会員を一括登録申請。第三者のコンサルBがCをサポート、AとBは協力関係に・・・

林野庁のQ&Aにも、関連の記載があります。

ーーー

Q11(8)連結子会社を含めたグループ企業、業界団体において、一 括で登録できるのか。

A 登録実施機関が委任申請を受けることは可能です。ただ し、申請を委任しているだけであって、申請者はあくまで個 別事業者となります。 委任申請としては、小規模な事業者の登録を促進するた め、業界団体等が委任を受けて申請することや、「木材・木 材製品の合法性、持続可能性の証明のためのガイドライ ン」により業界団体が取り組んできたことを活用するため、 そのような業界団体が委任を受けて申請すること、連結子 会社を含めたグループ企業において、親会社等が委任を受 けてグループ内の企業の申請を行うことを想定しているも のです。 なお、詳細は、登録実施機関に確認する必要があります。

ーーー

上記にもありますように、5年前に公表したこのケースはAが登録実施機関JIA(日本ガス機器検査協会)、Bがコンサルタント林業経済研究所、Cが日本製紙連合会という形で、業界団体一括申請登録が行われました、という事例です。その後どうも業界団体による一括申請の例はなかったようです。

(CW法登録の拡大と業界団体)

登録が進まない理由は、登録による自社の社会的評価・信頼性の向上というベニフィットと、手続きの難しさ・登録に係る費用というコストが、釣り合わないという現実があるのだと思います。

それに対して、業界団体がコンサルタンと一緒になって手続きの面をサポートし、料金についても一括することで若干メリットを与るという形で貢献できないか?という業界団体一括申請のアイディアです。ただ最初の5年間十分に機能することができなかったようです。

今後改正CW法の中で、新たな登録制度が再構築されることになる予定です。

その中で具体的なメリットがどのように提示されるか、ということが一番重要なポイントになるんだ、とみなさん言われています。そのような新たなシステムが提示され、それに対して事業者がどのように積極的に対処したらよいか、ということをポジティブに検討を開始するような局面で、業界団体が重要な重要な役割を果たすのだと思います。

中小企業の木材事業者が手続き面でのサポートなど様々なリスクを軽減するプロセスを業界団体とコンサルタントが担う、上記の経験が、今後のCW法の施行に中で何らかの貢献ができるのでないか、期待しています。

製紙連合会は規模の大きな企業の集まりで、クリーンウッド法の見方が多くの木材事業者と異なる面はアルかもしれませんが、クリーンウッド法によって、木材業界全体が違法伐採問題など積極的に対応することが求められている現状で、少しでもクリーンウッド登録が進むことを期待します。

boueki4-87<CWTRdantai>

■いいねボタン