ニュースレター No.184 2014年12月21日発行 (発行部数:1240部)

このレターは、「持続可能な森林経営のための勉強部屋」というHPの改訂にそっておおむね月に一回作成しています。

情報提供して いただいた方、配信の希望を寄せられた方、読んでいただきたいとこちら考えて いる方に配信しています。御意見をいただければ幸いです。 

                         一般社団法人 持続可能森林なフォーラム 藤原

目次
1 フロントページ:林業復活地域創生を推進する国民会議ー経済界の主流と森林管理の関係)(2014/12/21)
2. 生物多様性条約COP12と森林の地球規模生物多様性概況(2014/12/21)
3  アメリカ広葉樹プロファイル、業界団体の社会的責任の果たし方(2014/12/21)

フロントページ:林業復活地域創生を推進する国民会議ー経済界の主流と森林管理の関係(2014/12/21)

一般社団法人日本プロジェクト産業協議会JAPIC(会長宗岡正二新日鐵住金(株)代表取締役会長)の主催で第二回林業復活地域を再生を推進する国民会議」が開催されたので、出席しました。

関空やアクアラインのような大規模なインフラ整備を提案主導してき業界団体が、林業の復活を、経済界分かりやすく、「経済再生との関係でその必要性を主張する」(日本林業再生に資する「林業復活」についての提言)として設立された「林業復活・森林再生を推進する国民会議」が「地方創生の動きが進んだため」(司会者説明)改称したのだそうです。

会議の冒頭の主催者挨拶三村明夫会長(元新日鉄会長)、来賓挨拶・石破茂地方創生・国家戦略特別区域担当大臣、同・皆川芳嗣 農林水産事務次官、共済者挨拶・出井伸之 美しい森林づくり全国推進会議 代表(元ソニー会長)などが、林業復活地域を再生を推進する国民会議公式ページから動画でみることができるようになっています。

i持続可能な森林管理の課題に、産業界の主流派のグループがどのようにかかわってくるか、注目すべき運動です。

会議で配布された国民会議の理念は以下の通りです。

 「林業復活・地域創生を推進する国民会議」の理念

国土70%の森林は国の宝。
永久に大切に守っていかなければならないもの。
国民、共通・不変の思い。

しかし思いだけでは守れない。
今の間伐だけでは不十分〜荒廃を止められない。
育った木材を利用し、新たな若木を植え続けなければ。

木材は「資源」として収穫〜活用し、利益を得、経済循環をつくる。
それが「林業」。
林業という産業起こしにより、森林を再生し、永久に守る。

林業というインダストリーは、製材、流通、加工業など新たな業を創る。
山の仕事の担い手も増え、初めて山にイノベーションが起こる。
そして地域に雇用を生む。
安定雇用により、若者が参加し、定住し、地域が活性化する

以上のことを国民の皆さんに訴え、理解と支持(千人→一万人→十万人)
を頂き、森林という宝を守っていく。

それが「林業復活・地域創生を推進する国民会議」の理念である。

会議では、上記の理念が紹介され、WGにおいて、需要拡大の研究、促進基本法の試案などのテーマについ今後一年間かけて検討していくと、され、公共建築物や都市の木材利用、木質バイオマスの利用といった今回の会議で提起された課題がテーマとなってくると考えられます。

林業、森林再生を社会や経済の主流の中に位置づけていくために、最終消費者への普及や最終需要に近い需要者への支援にむけて、自然資本評価型環境格付融資などに取り組む金融関係者との関係、環境配慮のための認証制度、合法性証明などのトレーサビリティ確保などの検討が、併せて進むことを期待します。

(参考)

 日本経済再生に資する「林業復活」についての提言 骨子
  ・「B:森林再生」の重要性を否定する国民はいない。
・従来、「A:林業復活」は「B:森林再生」との関連で語られてることが多かったため、当該関係者以上に話が拡大しにくかった。
・JAPICは、「A:林業復活」について、安倍政権が力点を置く「C:経済再生」との関連で、その必要を主張する。
(1)何故「経済再生」の中に、林業復活なのか?
<重要なポイント>
@ 中長期的視点(木材産業の特質、永久循環型)
A 地方地域の産業視点(持続的地方産業の確立)
B 国土潜在力の活用(自給率)
C 多面的効用(観光、教育、エネルギー資源等)
(2)林業復活のために何をすればよいか?
@ 「ヒト(人材)」、「モノ(技術)」、「カネ(投資)」を集中的に投資することによる生産効率化、資本投下と国産材需要の拡大
A 国民啓発、インセンティブ付与
B 国の財産たる森林の国民理解
(3)林業が復活すれば、どんなメリットがあるか?(経済論として)
@ 自給率向上による支出削減
A 世界的木材需給の逼迫問題に対応する我が国からの供給
B 都市・地方の双方向発展、経済交流の活発化
C 山間部の国土強靭化

kokunai6-38<kokuminkaigi20141216>


生物多様性条約COP12と森林の地球規模生物多様性概況(2014/12/21)

生物多様性条約第12回締約国会議(COP12)が、10月6日(月)〜17日(金)に、韓国のピョンチャンで開催されました。

生物多様性条約第12回締約国会議(COP12)及び名古屋議定書第1回締約国会合(COP-MOP1)の結果について(環境省)
生物多様性条約会議(CBD・COP12)に関するWWFの声明
生物多様性条約本部関連ページ(英文)

 

今会合で重要だったのは、2010年のCOP1で決められた生物多様性長期計画2011-2020(愛知目標)の達成状況を中間時点で評価するものとして、地球規模生物多様性概況第4版(GBO4)が公表されたことです。

地球規模生物多様性概況第4版(GBO4)の公表について(お知らせ)
Global Biodiversity Outlook 4

その内容な、「ほとんどの愛知目標の要素について達成に向けた進捗が見られたものの、緊急的で有効な行動がとられない限り、そうした進捗は目標の達成には不十分。現時点で達成が見込まれるのは愛知目標11(陸域の保護地域面積)、16(名古屋議定書)及び17(生物多様性国家戦略の改定)のみ。」(環境省プレスリリース)とされています。

(森林に関連する目標の達成状況評価)

愛知目標のうち森林に関するものは、指標5、7、11、15であり(林野庁)それぞれの評価は以下のとおりです。

目標  目標の要素  状況  コメント
5    森林の損失の速度を半減するか、ゼロに近づける  3    森林伐採の速度は一部熱帯地域で著しく低下したが、非常に大きな地域差がある
 全ての生息地の損失を半減するか、ゼロに近づける  2    生息地の種類によって異なる。一部のバイオームについてはデータが不足。
 劣化や分断化が著しく減少 1    あらゆる種類の生息地について、分断化と劣化が継続
 7  生物多様性の保全を確保するような林業地域の持続可能な管理 3    森林認証や判定基準の指標は増加している。認証された森林はほとんどが北方の国々におけるものであり、熱帯諸国の進展は非常に遅い。
 11  陸域及び陸水域の少なくとも17%の保護  4    保護地域の指定に関する現在のコミットメントを踏まえれば、目標は達成される見込み。陸水域の保護は別個の問題。
 15  劣化した生態系の15%以上の再生による気候変動の緩和・適応や砂漠化対処への貢献  3    多くの取り組みが進行中だが、劣化した生態系の15%を再生するかどうかの評価は困難

5:目標を超えて達成する見込み (期限より前に達成する見込み)
4:目標を達成する見込み (このまま進めば2020年までに目標を達成する見込み)
3:進捗しているがその速度は不十分(努力を強化しない限り目標年までに目標を達成できない)
2:全体としては大きな進捗なし(全体として、目標に近づいても遠ざかってもいない)
1:目標から遠ざかっている(むしろ悪化している)

全体で55目標要素のうち、超過達成の5が1 達成見込みの4が4 努力が必要の3が33、進捗なしの2 が10、悪化しているの1が5、評価できずが3となっています。

森林に関する指標も全体も、よほどの努力をしないと目標に達せないという評価になっています。

kokunai3-41<HmakerG2>

アメリカ広葉樹プロファイル業界団体の社会的責任の果たし方(2014/12/21)

 

アメリカ広葉樹輸出協会AHECは新たに環境情報を提供する手段として、「アメリカ広葉樹環境プロファイル」(AHEP)という計画を始めるとし、9月29日記者会見を行いました。EU木材規則に対応してEU向けに14年の7月から実施されていて、今後日本向けにも提供していくと、しています。
AHEPアメリカ広葉樹環境プロファイルについての記者発表会

「アメリカ広葉樹環境プロファイル」(AHEP)はAHECがPEinternationalと共同して開発したもので、以下の項目からなっています。

品目の概要(樹種、学名、伐採地など)
合法性の評価(第三者やFSCの評価基準により当該地域の違法伐採にリスクは低いと評価されていること)
持続可能性の評価(PPELCA評価により、樹種ごとに土地の変化や、生物多様性の悪影響を与えていないこと、フォレストサービスの調査結果により当該樹種の伐採量と生長量の比較から当該樹種は持続可能と推定されること、FSCの管理木材の基準から低リスクの評価されている、など)
LCAの結果(PEintenationlによるLCA報告書から、温暖化への影響、酸性雨への影響、消費エネルギーなどの項目についてLCA評価をした結果を記載)

本部の記者発表資料(本部ブログから):AHEC launch the American Hardwood Environmental Profile

PEintenationlによるLCA報告書:Life Cycle Assessment of Rough-sawn Kiln-dried Hardwood Lumber

アメリカ広葉樹協会はいち早く、日本の林野庁ガイドラインに対応して業界団体認定に取り組むほか、あらたなEUの規定などに対応して、業界団体として環境情報の提供に積極的に取り組んでいます。

企業の社会的責任を、比較的小規模な会員企業に代わって業界団体が果たしていく、という姿勢は、重要な問題提起をしています。

boueki4-55 <AHEP>



最後までお読みいただきありがとうございました。

藤原敬 fujiwara@t.nifty.jp