ニュースレター No.182 2014年10月19日発行 (発行部数:1200部)

このレターは、「持続可能な森林経営のための勉強部屋」というHPの改訂にそっておおむね月に一回作成しています。

情報提供して いただいた方、配信の希望を寄せられた方、読んでいただきたいとこちら考えて いる方に配信しています。御意見をいただければ幸いです。 
                                                    藤原

目次
1 フロントページ:国連気候サミットの「森林に関するニューヨーク宣言」など(2014/10/19)
2. 環境経済・政策学会2014年大会コレクション(2014/10/19)
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フロントページ:国連気候サミットの「森林に関するニューヨーク宣言」など(2014/10/19)

京都議定書に代わる新たな国際枠組みをまとめる国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)を一年後に控え、9月23日国連本部で各国首脳が集まる、国連気候変動サミットが開催されたことは、いろいろ大きく報道されました。気候変動サミット合意にはずみJ-castニュース
国連気候サミット(概要と評価) | 外務省

ただ、、その中で森林に関する分科会が開催され、森林に関するニューヨーク宣言などが採択されましたことは、日本ではあまり報道されませんでした。

重要の情報なので、共有します。

 
 公式ページ会議のビデオ↑

国連気候サミット森林会合に関する公式ページ(英文)
国連気候サミット(林野庁)
国連気候サミット報告− Forest Pavilionにて針原農林水産審議官がREDDセンターを紹介(REDD研究開発センターサイト、林野庁計画課海外林業協力室 井上泰子

インドネシアのユドヨノ大統領とノルウェイのソルベルグ首相の共同議長により行われた分科会では、気候変動対策における森林の重要性を確認し、行動を加速化するための拘束力のない目標が記された「森林に関するニューヨーク宣言」と、自主的な努力の目安となる「行動指針」の発表が行われ、32カ国、20地方自治体、40企業、16先住民団体、49NGO/CSOが宣言及び取組に参加しました。COP21までさらに多くの政府等の参加を呼びかけていくこととされています。

会議参加国により承認された活動宣言、行動計画の和訳を掲載します。(作成にあたり、林野庁の担当官井上康子さんの点検確認を頂きました。心から感謝します)


この文書は、森林に関するニューヨーク宣言、それに関連した自主的行動指針、それを支持する多数の具体的活動計画などを含む、国連気候サミットにおける森林分野の成果を総括するものである。

第1部、森林に関するニューヨーク宣言は、気候サミットにおける、政府、企業、市民社会の対話からの成果である、法的拘束力のない、政治宣言である。初めて、世界の指導者は、2020年までに天然林の減少を半減させ、2030年までにそれを止めるよう努力するためのタイムラインを承認した。それはインドよりも大きな面積の森林や農地の復元を要求するものである。この目標を達成することは、米国の現在の排出量と同量の、毎年4.5-8.8億トンの炭素汚染を削減することである。この文書は多くの政府、[30]の世界的企業、[50以上の]有力な社会団体、先住民団体によって承認されている。

第2部、関連する自主的な行動指針は、政府、企業、団体が、これらの変革の目標を達成するための、多様な行動のガイドとして役立つものである。それは、(これ以外のものを排除する)包括的であることを意味するものではない。

ニューヨーク宣言を承認した主体は、ニューヨーク宣言と行動指針を実施するとの誓約を実証する具体的行動計画とその協力者(パートナーシップ)について公表した。これらの高度に特異的な補足的コミットメントは、森林保全や修復のための新たな政治的意思を示すものであり、第3部にその一部が掲載されている。これらの中には、森林減少を阻止する公共政策をもとめる商品流通業者、何億ヘクタールの森林保全を誓約する先住民の宣言、森林国による森林減少を抑制し、劣化した土地を回復する新たな誓約、以後6年間の森林減少を減速する新たな二国間及び多国間の計画、主要林産物輸入国政府による新たな調達政策、などが含まれている。

この宣言は、商品分野の急激な変革の過程であり、気候変動条約に対して各国が約束草案を提出する6か月前という、重要なタイミングに発出された。国、企業、先住民族の指導者、市民社会は成功のためのビジョンを明確にした。 

以下、第一部森林に関するニューヨーク宣言へ・・・

全文はこちらに

温暖化対策の新たな枠組み合意を1年後に控え、ニューヨーク森林森林宣言に署名した政府・地方政府・企業、NGOOなどのリストの他、この12ヶ月以内に森林破壊のリスクを回避したパーム油などの供給業者の誓約が並びます。今後このリストは来年に向けて拡大していくようで、重要な文書になると思います。

ただし、少し残念なのは、持続可能な森林管理や、違法伐採問題にとりくむ木材業者のリストがないことですね。温暖化条約の枠組みでは森林に関するグローバルな枠組みの重要な点が抜け落ちるということが、示されているように思います。

kokusai2-48 <UNclisummit>


環境経済・政策学会2014年大会コレクション(2014/10/19)

9月13-14日に法政大学の多摩キャンパスで開催された環境経済・政策学会の大会(seeps2014)について、例年の通りこのサイトに関係のありそうな報告を紹介します。

本大会のプログラムとすべての報告要旨がこちらのサイトからダウンロードできます

この学会は、森林学会や林業経済学会とくべると直接森林を取り扱った報告は少ないのですが、環境ガバナンスや生物多様性や気候変動の持続可能性の管理手法に関する研究の最前線の動向、また、中国やアジア地域の環境政策の動向に触れることができ、それが今後の森林や木材分野の研究や政策にどんな含意をもっているか、興味深い学会です。

プログラムは報告者とのメールに頼って関連報告内容を収集しました。

論題 発表者 要旨リンク 内容
生物多様性の保全・評価と管理
  企画セッション「生物多様性保全と自然保護地域の管理」背景と目的 栗山浩一(京都大学)他 要旨
セッション概要
生物多様性の経済評価・合意形成論の成果を行政に生かす方策をさぐる
   生物多様性保全における経済評価の意義と課題 柘植隆宏(甲南大学)他
 優先的に生物多様性を保全すべき地域の選定:生態学の取り組みと経済評価・合意形成に期待すること 赤坂宗光(東京農工大学)
 自然公園管理における合意形成―現状とこれから― 土屋俊幸(東京農工大学) 発表資料
 環境行政からのコメント(企画セッションここまで) 笹渕 紘平(環境省)
   生態系サービスへの支払いと自然資産区域入域料の関する考察 吉田謙太郎(長崎大学) 要旨 受益者負担原則に基づく入域料よる自然環境の主流化の課題を検討
日本における生物多様性オフセットの制度化に向けた課題 久保田泉(国立環境研究所) 要旨 米、独、豪など諸外国における実施状況を踏まえ制度導入の課題
持続可能な森林管理に関する検討
持続可能な森林経営にとっての合法性証明木材の可能性グローバル環境レジームの中での日本の林野庁ガイドライン意味 藤原敬(一社木材組合連合会、一社ウッドマイルズフォーラム 要旨
発表資料
関連ページ
企業の社会的責任を中小企業の業界団体のCSRに置き換えることを提起した林野庁ガイドライン方式は、森林の管理に関して普遍的な意義
 入会林野「近代化」からみたコモンズ施策の促進・阻害要因―都府県クロスセクションデータの分析から― 高橋卓也(滋賀県立大学) 要旨
発表資料
協業による整備が進みやすい適正規模がある。過去の労働投入量なども影響
アメリカ連邦森林局国有林における協働型計画策定の取り組み 柴田晋吾(上智大学) 要旨 「生態系の復元」と「経済再生」両立を目指す 地域の協働体台頭が 国有林の計画策定過程を変えている
 日本における地域資源としてのフットパス 泉留維(専修大学) 要旨 英国の「レクリエーション等の目的から土地の所有権とは無関係に人々が歩く権利」と、日本の類似制度の比較
持続可能な開発目標の課題
SDGs(持続可能な開発・発展目標)の動向と展望 古沢広祐(國學院大学) 要旨 經濟と環境政策の統合の意義
  持続可能性・グリーン経済に関する個別・統合指標の政策応用のための一考察SDGsとGenuine Savings(GS)等を例に 粟生木千佳(公財)地球環境戦略研究機関  要旨 グリーン経済に関する評価指標の開発の全体像と今後の見通し
   持続可能性指標における自然資本のシャドウ・プライス  佐藤真行(神戸大学) 要旨  森林の評価を例にとった、環境資本評価の課題
 生態系サービスを反映した自然資本評価ツールの開発 蒲谷景(地球環境戦略研究機構) 要旨
発表資料
神奈川県を対象とした自然資本評価事例
再生可能エネルギーの動向
カナダ・オンタリオ州と日本における再生可能エネルギーの固定価格制の比較 ―コミュニティパワーへの支援についての一考察― 道満治彦(立教大学大学院) 要旨 地域政策と関連したコミュニティパワー支援が日本の制度の再構築のポイント
バイオマス活用型の地域再生に関する比較制度研究―担い手となる主体に着目してー 石倉研(一橋大学) 要旨 ドイツ、オーストリアと日本の先進2事例。自治体の役割に注目
   森林資源を活用するローカルエネルギー供給に関する一考察:島根県を事例にして  豊田知世(島根県立大学) 要旨 域内電力需要を1割を供給する潜在的可能性
中国の環境問題
   中国におけるCO2の削減に関連する政策・法規の分析  王磊(北海道大学) 要旨 中国のマクロな政策の概観(吸収源はない)
 中国の退耕還林(還草)プロジェクトの変遷と課題 成双之(慶応義塾大学) 要旨 斜面地の耕地の植生回復プロジェクトの先行研究の分析

報告者にはいろいろご協力をいただきました。

今後とも追加情報を掲載します

gakkai<seeps2014>


「アジア森林パートナーシップ(AFP) 第9回 会合」の結果概要(2010/9/12)


chikyu5-4<AFP9>



最後までお読みいただきありがとうございました。

藤原敬 fujiwara@t.nifty.jp

 

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