ニュースレター No.180 2014年22日発行 (発行部数:1180部)

このレターは、「持続可能な森林経営のための勉強部屋」というHPの改訂にそっておおむね月に一回作成しています。

情報提供して いただいた方、配信の希望を寄せられた方、読んでいただきたいとこちら考えて いる方に配信しています。御意見をいただければ幸いです。 
                                                    藤原

目次
1 フロントページ:ウッドマイルズ研究会からウッドマイルズフォーラムへ2014/8/21)
2. 日本プロジェクト産業協議会JAPICの国産材マーク(2014/8/21)

フロントページ:ウッドマイルズ研究会からウッドマイルズフォーラムへ(2014/8/21)

7月29日、ウッドマイルズフォーラム設立第一回総会と。それを記念した、ウッドマイルズフォーラム2014、一般社団法人ウッドマイルズフォーラム設立記念シンポジウム~100年後を見据えた地域の木質資源の利活用~が、東京の木材会館で開催されました。

2003年に設立したウッドマイルズ研究会を中心とした活動はこのサイトで一貫してフォローしてきました。

木材の輸送過程の環境負荷をテーマとして、地域材にグローバルな光を当てる、というウッドマイルズというコンセプトは、大変ユニークな役割を果たしたと思いますが、これをもとにどのような運動が展開できるのか?なかなか答えを見つけることが難しかった課題ですが、研究会からウッドマイルズフォーラムという議論の中で、一つの答えをだしたものです。

これらの内容の紹介を中心に、ウッドマイルズフォーラム2014の中で、「ウッドマイルズ研究会からウッドマイルズフォーラムへ」という話をさせていただいたので、以下に紹介します。
 

1 ウッドマイルズ研究会が提起したこと

(1)日本の消費者が使う木材の不思議

建築物に使用される木材の輸送距離を短縮し、輸送エネルギーの削減や地域材需要の活性化を目指すため、木材の産地から消費地までの距離(ウッドマイルズ)に関する指標の開発と普及を行ってきました。ウッドマイルズ関連指標産出マニュアル
 
図1

その一つ、「建築物や製品に使用された木材の量(材積)(m3)に、その木材が運ばれた実際の輸送距離(㎞)を掛け合わせたものを「ウッドマイレージ(m3・㎞)」」としましたが、それをつかって、日本の木材輸入と、外国の木材輸入を比べたのが、図1です。

世界で一番木材の輸入量が多いのが米国ですが、ウッドマイレージでは日本は断トツの世界一。

(2)木材利用過程のエネルギーの大きさ

もう一つ、「ウッドマイレージ(m3・㎞)」に、輸送形態(自動車、船、鉄道など)に応じたCO2排出原単位(㎏/m3・㎞)を掛け合わせ、木材の輸送過程における排出二酸化炭素の量をウッドマイレージCOを提案した。

これを使って、仮に現在国内で新築される木造住宅を全て一般住宅から地域材住宅にシフトした場合、木材の輸送過程排出CO2は、年間およそ100万トン削減されると試算できます。

(3)ローカルな大切さをグローバルに発信

ウッドマイルズ研究会の活動の出色だったのは、「地域材の利用促進」という、ともすれば内向きになりがちな運動に、グローバルな性格を与えたことです。
 
 建築材料世界会議(バンクーバー)  ウッドマイルズセミナー in シドニー(2006/7)

この視点はいつも大切で、国産材マークとか木材利用ポイントなど、木材の利用をめぐった仕掛けがいろいろ登場しますが、グローバルに発信できるものかどうか、いつも、立ち返って考えることが大切だと思います。

2 転機となった木材調達チェックブック

研究会の一つの転機となったのが、木材調達チェックブックでした。

前述のウッドマイルズ関連指標は木材の環境情報の一つですが、これに限らず、すでに提供されているさまざまな木材の環境情報を、わかりやすく建築関係者に伝えようと、作成しました。

(詳しくはこちらを

(1)産地(森林の持続可能性)
森林認証制度、森林経営計画(←森林施業計画)、森林の見える木材ガイド(フェアウッドパートナーズ)
(2)流通(流通経路の透明性・信頼性)
林野庁ガイドラインによる合法木材、都道府県産材、流通把握度
(3)省エネ(木材生産の環境負荷削減)
ウッドマイレージCO2、カーボンフットプリント
(4)品質(木材の強度・乾燥)
JASによる品質確認(乾燥・強度)都道府県による品質確認
(5)長寿命(木材の長期利用)
古材・リユース材、耐久性樹種の確認、保存処理

5つのカテゴリーにわけて、わかりやすく説明し、評価方法を提案しました。

3 フォーラムが挑戦しようとしていること

これらの研究会活動を踏まえて、新たなウッドマイルズフォーラムでは以下の二つの事業を新たに展開することとしています。

(1)ウッドマイルズアワード事業

主に木材利用者側を対象とし、各地の優れた実践事例を表彰する顕彰事業(ウッドマイルズアワード事業)を開催します。

木材調達チェックブックに記載された5つのモノサシ(産地・流通・省エネ・品質・長寿命)を手掛かりに、地域の木質資源の持続可能な利活用に関する優れた仕組みや活動を実践している木材利用グループ又は利用者を発掘し、発表、議論、懸賞、情報発信等を通じて、利活用の実践に関する普及、支援に寄与することとします。

わが国の山村と都市相互の幅広い、安定した地域連携関係の構築に寄与をめざします。

(2)環境に貢献する木材の供給事業者のウッドマイルズ認定事業

環境に貢献する木材の環境情報の提供が円滑に進むように、主に木材供給者を対象に「ウッドマイルズ関連指標をはじめとする多面的な指標」の信頼できる提供者の認定と、システム構築を図ります。

☆林野庁ガイドラインによる合法性証明木材供給事業者認定
(1)個別事象者の業界団体認定(合法木材ナビ
(2)「個別企業等の独自の取組による証明方法」の承認
☆林野庁ガイドラインによる木質バイオマス発電証明事業者認定
☆ウッドマイルズ関連指標等表示事業者認定
ウッドマイルズCO2、流通把握度も含めた木材調達チェックブックを利用した評価ができる認定
☆SGEC、FSC、PEFC のCoC 認定との連携(課題)

終わりに

環境に優しい木材の利用普及を通じて、森林・林業 (山村)・木材産業と、消費者の距離を縮めるるウッドマイルズフォーラム「百年後を見据えて」出発します
応援をお願いします!

ウッドマイルズフォーラム第一回総会開催記録

energy2-65(WMF2014)


日本プロジェクト産業協議会JAPICの国産材マーク一周年(2014/8/21)

 
 

関西国際空港、アクアライン、幕張メッセといった、大規模なナショナルプロジェクトを提案主導してきた、業界関係者の集まりである日本プロジェクト産業協議会JAPICが、森林再生事業化委員会(米田雅子委員長)を立ち上げ、各種の提言を行っていて(経済団体による国産材利用推進への提言)この中で、国産材マークを提唱し、普及をしていることは、このサイトでも紹介しましたが一周年記念シンジウムが開催されました

日本の森林を元気にする国産材マーク!国産材マーク推進委員会

国産材マークの使用許諾は70を超え、建築だけでなく、土木会社などの調達事例などの紹介もあり、徐々に浸透しているところが見えました。

本格的な普及はこれからです。

木材製品のマークをネット上で検索してみるとを見てみると、①JASマーク、AQマークなど品質保障をするものと、②都道府県産材など産地を示すもの、③FSC、PEFCなど産地の環境情報を示すものがあります。

中間財である木材製品に、何らかのコストを伴うマークが表示される理由は、上記①の場合は、需要者が法令上の要求される品質を担保するため求めてくる、②の場合も需要者が地域独自の補助事業に対応するなど何らかの要求をする場合ため、③は社会的責任というか観点から需要者から要求されるという場合、などであり、これが定着するためには、需要者からの要求がどのように、形成されるかが重要なポイントです。

そういう意味で、需要者側の団体であるJAPICが、国産材マークを提唱することの意味は、大変大きなものです。

歴代新日鉄の社長がトップを務めてきた、国土をフィールドに事業展開を行ってきたビッグビジネスのグループであるJAPICの会員が、国土にとっての森林の意味を社会的に認識して、自らのビジネスの調達活動の中で、国産材を要求する、という形になるとすれば、グローバルな意味もあるかもしれません。

なぜ国産材なのかという説明が、ウッドマイルズなどのグローバルな切り口からなされることも必要でしょうか。

今後の展開が楽しみです。

平成25年 JAPICの林業復活・森林再生活動(米田雅子)、JAPIC森林再生事業の最近の活動がわかりやすく、まとめられています

kokunai6-37(kokuzanzaimark)



最後までお読みいただきありがとうございました。

藤原敬 fujiwara@t.nifty.jp