持続可能な森林経営の実現のための政策手段に関する勉強部屋
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ニュースレター 017
2001年2月11

このレターは、表記HPの改訂にそっておおむね月に一回作成しています。情報提供していただいた方、配信の希望を寄せられた方、読んでいただきたいとこちらで勝手に考えている方に配信しています。表記HPも併せてご覧下さい。御意見をいただければ幸いです。  藤原

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目次

フロントページ:新たなWTOラウンドと林産物貿易(1)
「グリーン購入法基本方針」のできばえ
セーフガード資料集増補改訂


フロントページ:新たなWTOラウンドと林産物貿易(1)ー第4回WTO閣僚会合に向けて

1月下旬のWTO理事会で、第4回閣僚会合がこの秋中東のペルシャ湾岸にあるカタールの首都ドーハで開催すると決定しました。一昨年暮れにシアトルで開催された第三回会合は、ウルグアイラウンドに続く包括的な貿易交渉の開始を目指して交渉が行われましたが、反ダンピング措置、労働条件の差異を取り込むことに関する先進国と途上国間の基本的な対立に加え、環境問題・労働条件をめぐる米国内外ののNGOの圧力、農業・反ダンピング措置の強化をめぐる先進国間の対立等を調整することができず合意に到りませんでした。この秋の会合はWTO側からのリターンマッチと言えるものです。

シアトル会合が決裂した時に、場外にいた環境NGOによって「『森林のための勝利』のビラがまかれた」(日経新聞99/12/5)と報道されているように、次期ラウンドをめぐる動きの中で、林産物問題は焦点のひとつです。ウルグアイラウンドに引き続く輸出国側の「林産物関税撤廃提案」とそれに反発する環境NGOや我が国などの輸入国の対立構造は何の変化も起きていません。この秋に向けて、環境と貿易の議論を踏まえて、環境財としての林産物の新たな貿易秩序の構築に向けての展望を明らかにしてゆく必要があると思います。ついては、シアトル会合を前にした99年の秋に次々に公表された、林産物貿易と自由化をめぐる様々な立場からの文書を以下に掲載します。

サッカーファンには忘れられない「ドーハの悲劇」にならないように。

作者 文書名 作成年月 関連サイト 短評
WTO
Hakan Nordstrom & Scott Vaughan
貿易と環境に関する特別報告
Special Studies 4, Trade and Environment
1999/10 原資料掲載
本サイト内解説
WTOサイドでの環境と貿易の現時点での到達点。「環境問題はWTOでなく環境(森林)条約で議論すべき」
地球公正法的防衛基金
Earthjustice Legal Defense Fund
我らの森林の危機ーWTOの森林保護に対する脅威
Our Forests at Risk:
The world Trade organization's Threat to Forest protection
1999/09 原資料掲載 シアトル会合に対する強力な圧力となった米国西海岸の環境NGO団体の主張。「WTOは拡大する前に修復が必要」
世界資源研究所
World Resource Institute
樹木の貿易:林産物貿易自由化の陰と光
Tree Trade
Liberalization of International Commerce n forestproduct: Rsks and Oportunities
1999/11 原資料掲載
本サイト内解説
国際的な環境NGO団体の包括的な主張。
「適切な森林保護施策が実施されるまで貿易自由化はすべきでない。」
米国通商代表部 林産物の関税撤廃と経済・環境に与える影響
Accellerated Tariff Liberaltion in the Forest Products Secter:A Study of the Economic and Environmental effects
1999/11 原資料掲載
本サイト内解説
米国の主張する関税撤廃提案が経済環境に及ぼす影響の計量的評価。収穫量の0.5%増加など。
日本国政府 WTO次期交渉に関する林産物水産物の日本提案 1999 本サイト内解説
本文掲載
ラウンドに際して我が国が林産物の包括ポジションを提示するのは初めてのこと。「公益的機能の発揮を促進するような国境措置」を主張
APEC
NZ森林研究所
林産物分野における非関税障壁の研究
Study of Non-Tariff Measures in the Forest Products Sector
1999 本文掲載 伐採制限から森林認証まで幅広く非関税障壁として分析の対象とした。環境NGOのターゲットとなる。
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「グリーン購入法」基本方針のできばえー立派な総論、おかしな各論

昨年の5月に成立したクリーン購入法(国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律、本文ダウンロード概要ポンチ絵ダウンロード)は画期的な法律です。なにしろ、「環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会の構築」(第一条)を目的に明記しており、環境に易しい資材である木材の利用拡大に努めてきた木材業界にとっては昔年の夢が叶ったといっても過言ではありません。あとは、基本方針のグリーン物品一覧表(特定著達品目)の中に堂々と木材を書き込むだけ、と言うときに、「木材は環境に易しいという国民的コンセンサスはない」という思いもよらない(?)環境庁(当時)の意見に直面した、というのが、12月のパブリックコメントの局面でした(本サイト内関連ページ)。
さて、そのグリーン購入法の基本方針(「環境物品等の調達の推進に関する基本方針」)が1月末に決定しました。環境省のプレスリリースのウェブサイトから入手できます。小生もパブリックコメントをした手前入手して読んでみました。
基本方針には、国や独立行政法人は、従来考慮されていた「価格や品質に加え、環境負荷の低減を考慮して」物品調達をすること、「資源採取から廃棄に到るライフサイクル全体について環境負荷を考慮する」こと、など、素晴らしい内容が記述された「基本方向」と、環境に易しいグリーンの物品(特定調達物品)を定義する別表の各論とに分かれます。
問題なのは、パブリックコメントの論点であった各論の、「間伐材などの木材が使用される」ことがグリーン物品の条件となる「木質文具」、「木質機器(いす・机など)」です。この部分の記述は最後まで生き残ったようで、「間伐材などの木材」というどう扱ってよいか分からないまま、計画策定の現場に持ち込まれることとなりました。また、パブリックコメント時にはなかった、「公共工事」という項目が加わり、そこにはなんと木材に関するものは「小径丸太材の間伐材(間伐材で有害な腐れ割れ等の欠陥がないこと)」(がグリーン物品である)との記述になっています。治山・砂防・河川関係の公共工事に木材を使用することは結構浸透してきているところですが、間伐材のみを環境に易しいとしてを特別視する国の方針が出たことは現場に混乱をもたらすことになるのではないでしょうか。
ただし、この計画は常に見直すこととなっていて、また来年に向けて5月頃から検討会が立ち上がるのだそうです(林野庁の担当セクションの話)。木材関係者はよく理論武装をしてリターンマッチに挑む必要があると思います。
一方で、今回の経緯から「木材がすべて環境に易しいとい国民的なコンセンサスはない」と言う指摘が、結構重い現実を踏まえたものであることも明らかになったと思います。このことも忘れないようにしておく必要があるのと思います。
(2001/2/14)

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林産物のセーフガードについての資料集

林産物の輸入に関するセーフガードの適用について、議論が高まっています。セーフガードの手続き、根拠となる、WTOの協定、国内法令などについての資料集を作成していましたが、「緊急関税に関する政令」を加えるとともに、「セーフガードとは」についての根拠が分かるようなリンクを貼り付けてみました。
セーフガードとはnew
セーフガード関連協定、関係法令集
関連協定(一般協定関連条項、セーフガード協定)和文テキスト
関税定率法第9条本文new
緊急関税に関する政令本文new
(条約テキストは中條一夫さんのWTO条約集のホームページから本人の承諾を得て使用しています。条約と国内法のリンクについては特殊関税研究会編「特殊関税コメンタール」(日本関税協会発行)を参考にしています。)
各国のセーフガード発動状況
99年ガットセーフガード委員会の作成による各国のセーフガード調査実施、発動状況一覧表。95年以降だけで7カ国12件の発動実績。
セーフガードについての解説記事一歩進んでいる野菜の調査状況についての業界紙報道
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次号以降予告
森林条約資料集
ロシアの違法伐採関係の資料増補版
檮原森林組合認証資料

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