ニュースレター No.147 2011年11月26日発行 (発行部数:1224部)

このレターは、「持続可能な森林経営のための勉強部屋」というHPの改訂にそっておおむね月に一回作成しています。

情報提供して いただいた方、配信の希望を寄せられた方、読んでいただきたいとこちら考えて いる方に配信しています。御意見をいただければ幸いです。 
                                                    藤原

目次
1 フロントページ:京都府産木材の品質基準と環境指標の領域拡大の取組(2011/11/26)
2. 京都木材規格とJAS(2011/11/26)
3. 気になる日本の国産材振興策ー北米の林産物貿易研究機関のニュースレターから
4.. ITTO設立25周年イベント(2011/11/26)

フロントページ:京都府産木材の品質基準と環境指標の領域拡大の取組(2011/11/26)

10月26日京都府で、ウッドマイルズセミナー2011(〜5つのモノサシを用いて、木材の調達を多面的にチェックする)が開催されました。(開催の詳細がウッドマイルズ研究会HPに掲載されています

この中の一つのテーマが、「京都府産木材の品質基準と環境指標の領域拡大に取り組み」です。

、今まで、ウッドマイレージCO2認証制度として地元産材の環境性能をを表示するという先進的な取り組みをしてきた京都府産木材認証制度が、@新たに環境性能の領域を広げること、また、A品質基準を新たに設定することをが報告されています。

(環境性能と評価のバージョンアップ)

環境性能の方は、できたばかりのカーボンフットプリントのPCR(商品種別算出基準)を適用して合板、集成材、製材の具体的な数値を算出した初めての例が報告されています。

今回の報告にもありますが、木材特に製材品の環境性能を二酸化炭素の排出量で表示すると、輸送過程と乾燥課程で排出量が大きいことがわかります。

第一の側面に着目して地域産材の環境的側面に脚光をあてたのが、ウッドマイルズですが、全体の排出量をみた場合それでは足りない、という主張です(図1)。

小サイトでも引用したことがあるLCCM住宅研究開発委員会LCCO2部会エグゼクティブサマリーよりでより抜粋したという図ですが、輸送過程の排出量を少なくするには国産材から地場産材にする必要があり、地場産材でも乾燥課程で化石資源系の燃料を使うと、輸入材の倍ほとの排出量になってしまうという、結果です。天然乾燥、バイオマス燃料による乾燥という課題が強調されることになります。

今回の製材のカーボンフットプリントでもライフサイクル全体の排出量の55パーセントが人工乾燥の課程で発生するという結果になっています。

カーボンフットプリントの計算結果が初めて公表されたことは、木材にとってカーボンフットプリントという道具の使い勝手を知る上できわめて重要なことです。

住宅や家具に使われる他の建築資材プラスチックスや金属系の資材との比較がどうなのか、地域材をPRする道具としての使い勝手はどうか、など、今後の課題がたくさんあります。

今後の展開が楽しみです。

発表データはウッドマイルズ研究会HPから注文して入手となります

(品質基準については別ページ(京都木材規格とJAS)で)

energy2-62<kyoto2011>


京都木材規格とJAS(2011/11/26)

10月26日京都府で開催された、ウッドマイルズセミナー2011でとりあげられた、「京都府産木材の品質基準と環境指標の領域拡大に取り組み」について、「新たに環境性能の領域を広げること」は別ページで述べましたが、もう一つの新たな品質基準の設定について、「京都府の品質基準策定のとり組み」という事例報告がされました。

都道府県段階の品質認証とJAS)

品質基準については、都道府県レベルの木材品質の表示は先行して13県で行われています(木づかい.com認証制度一覧表)が、導入にあたりJASと都道府県レベルの品質認証の検討をされた課程がについて前述の事例報告がされており、興味深い内容になっています。

木材の含水率、強度寸法などの品質を認証する制度はJAS制度があります。

それとの比較で、運用システムについて検査員の配置、機材の共同利用、品質管理体制についてスリム化提案をしています。

JAS制度がグローバルな水準を維持するため運用システムが大規模化し、コストがかかるようになっているので、同じ品質を維持したまま、ローカルな制度が成立する条件がある、ということでしょう。

環境認証の場合のFSCとSGECの関係ともにています。

発表データはウッドマイルズ研究会HPから注文して入手となります

kokunai3-43<kyotowoodnext>


気になる日本の国産材振興策ー北米の林産物貿易研究機関のニュースレターから(2011/11/26)

米国シアトルのワシントン大学林産物貿易研究センターCINTRAFOR(Center for International Trade of Forest Products)が四半期に一回ニュースレターを送付してきますが、最新のAutumn号の編集ノートは森林・林業再生プランなどの日本の政策の国産材振興策についてです。

一ページの小さな記事ですが編集ノートという位置づけです。

最初と最後の文章を紹介します

この数年、日本の国と地方レベルの政府は輸入材に対して国産材を増加させる政策を採用してきた。中小製材工場を守るためのセーフガードから、長期優良住宅促進法(2009)、公共建築物木材利用促進法(2010)、地方自治体による地域材利用住宅への支援策などである。・・・
Over the past several years, Japanese governments at both the local and national levels, have adopted measures aimed at increasing the use of domestic wood over imported wood. These measures range from an attempted safeguard program to protect local sawmills to the 200 Year House program adopted in 2009 to the Promotion of Wood Use in Public Buildings legislation adopted in 2010 to ongoing prefectural programs that continue to provide subsidies to builders who use local timber in their houses. The most recent measure proposed in Japan,

近々、研究所では、主として都道府県レベルの助成の量を把握し、森林林業再生プランが日本市場において米国の林産物の競争条件に与える影響を調査するための官民のパートナーシップを構築する予定である。
In the coming months CINTRAFOR will be working to develop a partnership of companies, industry associations and government agencies to support a program designed to identify and quantify the broad range of subsidies (particularly at the prefectural level) that have been implemented and assess the competitive impact of the Forest and Forestry Revitalization Plan on US forest products within the Japanese market.

TPPなど米国との間では関税のみならず幅広い経済関係のパートナーシップ関係に関する議論が予想されますが、グローバルな枠組みの中で森林林業再生プランの位置づけをよく説明する機会となるでしょう。

boueki9-2<CINTRAnews2011au>


ITTO設立25周年イベント(2011/11/26)

ITTOが創立されて25周年を記念するシンポジウムが10月28日に開催されました。

ITTOの日本語の情報発信も徐々に充実しつつあり、日本語のHP上でもシンポジウムの内容が紹介されています。ITTOと日本: 熱帯林の未来のための25年

こういう機会に日本の森林政策がどのように語られるのかということは気になるところですが、林野庁長官のプレゼンテーションが掲載されています。持続可能な森林経営に向けた我が国のとり組み

東日本大震災という国際的なトピックスがあったので震災からの復興再生は興味深い紹介になっています。

森林林業の再生に向けた改革の姿が紹介されています。木材利用促進法とか計画制度の見直しなど、体系的に海外に紹介される必要があると思います。

そのほかITTOの初代事務局長フリーザイラー氏が25年の歴史を振り返っています。いまではだれでも違和感のない持続可能な森林を認証していくという仕組み定着する過程でのITTOの果たしてきた役割など興味深いです。

boueki3-11<ITTO25>



最後までお読みいただきありがとうございました。

藤原敬 fujiwara@t.nifty.jp