ニュースレター No.135 2010年11月10日発行 (発行部数:1224部)

このレターは、「持続可能な森林経営のための勉強部屋」というHPの改訂にそっておおむね月に一回作成しています。

情報提供して いただいた方、配信の希望を寄せられた方、読んでいただきたいとこちら考えて いる方に配信しています。御意見をいただければ幸いです。 
                                                    藤原

目次
1 フロントページ:生物多様性条約COP10と森林(2010/11/20)
2. 世界森林資源評価2010の結果(2010/11/20)
3 林業分野の企業の社会的責任ーーHIMOROGIより(2010/11/20)
4. 森林保全と気候変動に関する閣僚級会合(2010/11/20)

フロントページ:生物多様性条約COP10と森林(2010/11/20)

生物多様性条約(CBD)第10回締約国会議(COP10)が10月18日(月曜日)から29日(金曜日)まで、名古屋国際会議場で開催され、名古屋議定書と2011年以降の新戦略計画(愛知目標)が採択された他、様々な決議がなされました。

生物多様性条約第10回締約国会議の開催について(結果概要)(政府代表団)
COP10での決定事項(未定稿)(条約事務局英文)

今回の会議では名古屋議定書、新戦略計画愛知目標、の他に50近い文書が合意されています(Cop10 Outcome)

世界中の森林管理と重要な関係にある生物多様性条約ですが、これらの文書の内容が国内や地球レベルの森林管理とどんな関係にあるが、見ておきましょう。

名古屋議定書
本文英文Nagoya Protocol on Access to Genetic Resources and the Fair and Equitable Sharing of Benefits Arising from their Utilization
日本語のテキスト(骨子環境省HP)
「生物多様性条約における遺伝資源へのアクセスとこれらの利用から生ずる利益の公正・公平配分(ABS)に関する名古屋議定書」が本名で森林管理に直接言及する条文はありません。遺伝資源へのアクセスという条文の中に、自然資源に対する主権行使の過程で、事前の合意を尊重するとが規定されています。
In the exercise of sovereign rights over natural resources, and subject to its domestic access and benefit-sharing legislation or regulatory requirements, access to genetic resources for their utilization, shall be subject to the prior informed consent of the Party providing such resources that is the country of origin of such resources or a Party that has acquired the genetic resources in accordance with the Convention, unless otherwise determined by that Party.

愛知目標
本文(英文)Strategic Plan for Biodiversity, 2011-2020
日本語のテキスト(本文抄訳環境省HP

「2050年までに、生物多様性が評価され、保全され、回復され、そして賢明に利用され、それによって生態系サービスが保持され、健全な地球が維持され、全ての人々に不可欠な恩恵が与えられる」「自然と共生する世界(Living in harmony with natur)」をつくることをビジョンとする」

戦略目標は5つの戦略目標の下に構成される2020年までの20の目標からなっている。これらの下に各国が柔軟に各国ごとの目標を作成することが求められる。

戦略目標A.各政府と各社会において生物多様性を主流化することにより、生物多様性の損失の根本原因に対処する。

戦略目標B.生物多様性への直接的な圧力を減少させ、持続可能な利用を促進する。

目標5:2020年までに、森林を含む自然生息地の損失の速度が少なくとも半減、また可能な場合には零に近づき、また、それらの生息地の劣化と分断が顕著に減少する。
目標7:2020年までに、農業、養殖業、林業が行われる地域が、生物多様性の保全を確保するよう持続的に管理される。

戦略目標C.生態系、種及び遺伝子の多様性を守ることにより、生物多様性の状況を改善する。

目標11:2020年までに、少なくとも陸域及び内陸水域の17%、また沿岸域及び海域の10%、特に、生物多様性と生態系サービスに特別に重要な地域が、効果的、衡平に管理され、かつ生態学的に代表的な良く連結された保護地域システムやその他の効果的な地域をベースとする手段を通じて保全され、また、より広域の陸上景観又は海洋景観に統合される。

戦略目標D.生物多様性及び生態系サービスから得られる全ての人のための恩恵を強化する。

戦略目標E.参加型計画立案、知識管理と能力開発を通じて実施を強化する。

生物多様性と気候変動
本文英文Biodiversity and Climate Change

森林の減少及び劣化に由来する排出の削減等(REDD+)の活動に関する生物多様性の保全措置や生物多様性への影響評価につき、生物多様性条約事務局が気候変動枠組条約での決定を予見しない形で助言や検討を行うこと、2012年の国連持続可能な開発会議(RIO+20)を見据えた他のリオ条約(気候変動枠組条約及び砂漠化対処条約)との共同活動の検討を行うことが決定されました。

森林の生物多様性
本文英文Forest Biodiversity

COP9第五決議(dicisionIX/5)「森林の生物多様性」第8回国連森林フォーラムの第1決議の優先順位に基づき、各国の計画の中で森林の生物多様性と気候変動対策を両立させるための人材養成、森林景観保全パートナーシップなどとのさらなる協力、次回大会までに多様な森林の国別報告システムの合理化についての検討を進めるなどが決定された。

kokusai3-6<CBDcop10>

世界森林資源評価2010の結果(2010/11/20)

FAO国連食糧農業機関の森林分野でのもっとも重要な貢献である5年ごとの世界森林資源評価報告書は、既報の通り概要版が3月に公表されていましたが、全体版が10月に公表になりました。

FAO該当ページ 本報告書(英文) 概要版(Key findings)英語版

概要版がウェブ上で二つ掲載されています 概要版日本語訳(林野庁仮訳) 同国際農林業協働協会版

森林減少率には低下の兆しもあるが、依然として非常に高い
1990年代は16百万ヘクタールであったが、直近の10年間においては、毎年、約13百万ヘクタールの森林が減少。植林が増加し、差し引きの森林面積の変化は毎年5.2百万ヘクタール減

政策、法律、国家森林計画の策定など森林管理面の進展についての情報などもだんだん充実してきていますが、究極の持続可能な森林経営の行われている面積についての情報も不完全ながら掲載されす。

本文173ページ

chikyu4-14 <GFRA2010>


林業分野の企業の社会的責任ーーーHIMOROGIより(2010/11/20)

神籬ひもろぎ)という雑誌が奈良と愛知を拠点に活動している「西垣林業」から年二回発行されています。

毎号の特集記事はウェブ上に公開されていますが、以下のようなタイトルが並んでいます。

 ■第42号(2010.10発行)「直接支払い」の可能性と、日本林業の再生。
 ■第41号(2010.4発行)「伝統木造建築物と耐震設計」─木造文化のこれから―
 ■第40号(2009.10発行)「環境考古学」―過去を知る。人と自然の未来が見える。
 ■第39号(2009.4発行)「スーパー樹木」が描く未来像。―遺伝子組換え技術は何を変えるのか。
 ■第38号(2008.10発行)「文化財と結ぶ森へ、未来と結ぶ森へ。」
 ■第37号(2008.4発行)「エコ・フォレスティング」すべての人が主役の、森林との新しい関係。
 ■第36号(2007.10発行)「LCA」の可能性をさぐる。 森林資源の転換点のコミュニケーション。
 ■第35号(2007.4発行)鎮守の森―日本の原風景に人と森の未来を探る
 ■第34号(2006.10発行)木造建築が再生する日本―安心と安全と、未来のために―
 ■第33号(2006.4発行)森林の力が暮らしを守る。 海辺の最前線に生きる、海岸林の可能性
 ■第32号(2005.10発行)森林・林業教育の未来を探る。―林業高校の可能性
 ■第31号(2005.4発行)未来への森林管理―日本人と森林との新しい関係を求めて
 ■第30号(2004.10発行)エンジニアードウッドと大規模木造建築 木材のよりよい利用のために
 ■第29号(2004.4発行)「ウッドマイルズ」が、日本の木造建築に「環境」という指標をもたらす。
 ■第28号(2003.10発行)「森林環境税」創設――
 ■第27号(2003.4発行)森林・林業基本法は、何をもたらすのか。 市民からの政策提言
 ■第26号(2002.10発行)森林・林業基本法―森林と人との新しい関係は生まれるか。    
 ■第25号(2002.4発行)「林業で働くこと」―その明日をさぐる。
 ■第24号(2001.10発行)ミクロの視点が、森林の世界観を変える。
 ■第23号(2001.4発行)「近くの山の木で家をつくる運動」が、新しい林業の世紀を指し示す。
 ■第22号(2000.10発行)新しい時代の林業へ―機械化と高密林内路網がもたらすもの。
 ■第21号(2000.4発行) 「森林認証制度」が21世紀の林業を変えていく。
 ■第20号(1999.10発行)「バイオマス」が林業を元気にする。
 ■第19号(1999.4発行) 「アグロフォレストリー」という発想。
 ■第18号(1998.10発行) 林業の明日を「里山」にさぐる。
 ■第17号(1998.4発行) 森林と林業の「これから」を考えるために。
 ■第16号(1997.10発行) 「木の文化」の歴史と行く末。
 ■第15号(1997.4発行) 国有林の歩みと日本の森林、日本人の森林観。
 ■第14号(1996.10発行)森林と人が再び寄り添うために。
 ■第13号(1996.6発行) 「自然保護」と「林業」の出会う場所
 ■第12号(1995.4発行) 「木を育て、木と歩む」阪神大震災からの提言
 ■第11号(1994.10発行) 「木を育て、木と歩む」数寄屋の心
 ■第10号(1994.6発行) 「木を育て、木と歩む」温故知新
 ■第9号(1993.10発行) 「木を育て、木と歩む」日本に木の文化をルネサンスする。
 ■第8号(1993.4発行) 木造住宅の未来形「高気密・高断熱住宅」
 ■第7号(1992.10発行)地球にやさしい住宅をめざそう 花博跡地に環境保全技術のモデル建築 建設業そのエネルギー消費と炭素放出量を考える
 ■第6号(1992.4発行) 木こそが教育の原点 神々の里・出雲が挑む「木造り」プロジェクト
 ■第5号(1991.9発行) [木の目]1.蘇る熱帯林、バイオで人工植林[木の夢]2.木は鉄よりも強くなる! 新素材としての木材を考える
 ■第4号(1990.秋発行) 特集:森は潤してくれる。 
 ■第3号(1990.春発行) 特集:森はめぐる。しかし・・   酸性雨が地球をかけめぐる
 ■第2号(1989.秋発行) 特集:森を守る 森林の生命が自力で守られるために
 ■第1号(1989.春発行) 森と海 その大いなる関係をさぐる。   

時制は過去から未来まで、空間は地球から遺伝子まで、対象は地球環境から生産技術まで縦横無尽といっていいトピックスが並んでいます。

これが、2000年の森林認証制度の特集で示されているように、確実に一歩先を見据えたしっかりした視点でピックアップされていることに驚きます。

企業の社会的責任ということば自体が、あまり歴史をもっていませんが、林業・木材産業の分野でこれを先導する一つの例が神籬ひもろぎ)の出版です。

kokunai6-24<himorogi42>

森林保全と気候変動に関する閣僚級会合(2010/11/20)

森林減少及び劣化に由来する排出の削減等を推進するために気候変動枠組み条約の締約国が集まって結成しているREDD+ *)パートナーシップの下の閣僚会議(森林保全と気候変動に関する閣僚級会合)が2010年10月26日,名古屋市において開催されました。

なかなか進展しないポスト京都議定書の行動計画の中で数少ない目玉となっているREDDで、各国が自国の貢献をアピールしました。

2011年及び2012年の作業計画をまとめたものとして共同議長サマリーを発表しました。

会議概要(日本政府代表団)
林野庁プレスリリース
環境省プレスリリース

kokusai3-38<nagoyaREDD+>



最後までお読みいただきありがとうございました。

藤原敬 fujiwara@t.nifty.jp