ニュースレター No.133 2010年9月18日発行 (発行部数:1350部)

このレターは、「持続可能な森林経営のための勉強部屋」というHPの改訂にそっておおむね月に一回作成しています。

情報提供して いただいた方、配信の希望を寄せられた方、読んでいただきたいとこちら考えて いる方に配信しています。御意見をいただければ幸いです。 
                                                    藤原

目次
1 フロントページ:木材業者の善管注意義務ー欧州議会が採択した違法伐採対策(2010/9/18)
2. 住宅メーカーの木材調達方針(2010/9/18)
3 「アジア森林パートナーシップ(AFP) 第9回 会合」の結果概要(2010/9/12)

フロントページ:木材業者の善管注意義務ー欧州議会が採択した違法伐採対策(2010/9/18)

7月7日欧州議会は違法伐採木材の使用を禁止し、木材業者に購入元や販売先の届出を義務付ける法案を可決しました。細部の規程などを今後作成し2012年の施行を目指すとしています。 

EUが違法伐採木材の輸入禁止ロイター
在日英国大使館情報

採択された文書全文は以下の欧州議会のサイトに掲載されています。

Text adopted: Obligations of operators who place timber and timber products on the market
採択された法律本文: 木材木材製品をEU市場で取り扱う事業者の責務

キーワードはDue Dilicehceです。日本語の法律用語で近いのは「善良な管理者としての注意義務」善管義務

規程の関連部分を訳すと以下の通りです

採択された規程

第四条 事業者の責務

1 違法に伐採された木材あるいは木材製品をEU市場に販売すること(placeing on the market)は禁止される

(すでに域内に流通している木材木材製品を域内で販売することは「EU市場に販売すること」には当たらない(第二条定義))

2 事業者は木材ないし木材製品を輸入すること場合、Due Dilicehce(DD善管注意義務)を要求される。この目的のために、事業者は第六条に規定するdue deligence sysutem(DDS)と呼ばれる手続を踏む必要がある。

第五条 トレーサビリティの責務

域内流通業者はあらゆるサプライチェーンにおいて以下を明らかにする必要がある

(a)木材の調達先
(b)必要な場合、販売先

域内流通業者は前項の情報を5ヵ年保管する必要がある。これらの情報は権限のある当局から要求された場合、提示する必要がある。

第六条 Due Dilicehce system

1 第4条2項のDDSは以下の内容を含む

(a) EU市場で取り扱う木材木製品の調達にかかる以下の情報に関する手段

取引(貿易)名、 製品名 樹種の通称 可能ならば樹種の学名
伐採された国、もし可能なら国内の地方名とコンセッション名
数量 (容積、重量、個数)
取扱者への供給者名と所在地
国内における販売先名と所在地
合法性を証明する情報・書類

(b) 輸入された木材の違法伐採木材に関する危険性を把握するリスク管理の手法

森林認証あるいは他の第三者の証明など、施行されている法令遵守に関する証明書
特定の樹種に関する違法伐採の横行
武力衝突の可能性など木材が伐採された国、地域の違法伐採が行われる可能性
国連安全保障理事会、EU理事会が講ずる木材輸出入許可
木材のサプライチェーンの複雑さ

(c) (b)におけるリスクアセスメントにおいてリスクが無視できると判断された場合を除き、第3者認証その他の文書によるを求めることを含む、リスクを少なくする一連の措置

2 前項のリスクアセスメントを統一的に実施するための細則は18ヶ月以内に定める

3 効率的にDDSを実施していく観点から、この規程の実施過程で蓄積される経験をふまえ、本条第一項(b)第二パラグラフの諸点を補完するための規程を作成する可能性がある

施行までに細則を作成する等の作業であと2年ほどかかるようですが、日本のガイドラインが規定する木材業者に要求する義務と、欧州の木材業者が1年半後に要求される注意義務の間にどのような差がでてくるのか、検討が必要です。

対象とする製品 対象となる業者 要求される事項
欧州 輸入材 輸入業者 違法伐採木材を取り扱わない(そのためのリスク管理、第三者によるチェック(詳しい手法は今後検討))
流通する木材全体 木材の加工流通業者全部 木材の調達先と販売先の履歴の保管
日本 流通する木材全体 木材の加工流通業者全部 合法性が証明された木材分別管理(業界団体によるチェック)

基本的には輸入材の違法伐採対策のための仕組みとなっていますが、域内にエストニア、ブルガリアなど違法伐採のリスクが大きいと指摘されている(注)地域を含む欧州の場合、輸入材のみの管理でよいのかが一番の問題です。また、細則の作成過程で第三者認証のコストをどの程度クリアしていくのかなど課題を含むものです。

日本のガイドラインの実績など細則の作成過程で十分に検討される必要があると思います。

注)国別の違法伐採の規模の推計 平成 19 年度違法伐採による環境影響調査業務報告書3頁など

boueki4-44 <EUDDS>


大手住宅メーカーの木材調達方針その後(2010/9/12)

既報の通り、大手の住宅メーカーが環境に配慮した木材調達方針を発表していますが、住宅メーカーであり大手の木材輸入業者である住友林業07年に発表した調達方針のその実行結果のモニタリングしその結果に基づき、7月下旬新たな方針を発表しました

「「木材調達理念・方針」に基づく 2007年〜2010年の「行動計画」の内容及び結果」では「持続可能な森林の基準作成」という項目だけ「検討したが策定には至らず」未達成とされ、その他は、注目されていた「合法性を確認した木材・木材製品の取扱い100%」という目標も含めて達成されたと自己評価しています。

今後の目標については、「合法性を確認した直輸入木材・木材製品の取扱い100%を継続する」としつつ持続可能な森林の独自の基準作成は目標からはずし、森林認証材を増やしていく方向に舵をきったようです。

環境方針の実行結果がしっかりレビューされるところはすばらしいところです。持続可能な森林の基準の検討結果など未達成の部分のや合法性の確認の過程などが公表されるとインパクトがさらにあがりますね。

その他に、ミサワホームがの木材調達ガイドラインを公表しています。

こちらの方は「森林供給源まで遡ったサプライチェーンを明確にするため仕入先に調査を実施し、2010 年度までに供給源を100% 特定」し、「森林供給源の合法性を検証し、2011 年度までに伐採権を100%確認する。」という野心的な目標です。

同社の木材調達先はフィンランド35パーセント、ロシア28パーセントなど95パーセントが輸入材ですが、上記の目標がどのように達成できるか、特にロシアの森林の供給源と伐採権がどのように明らかになるのか興味深いところです。

kokunai3-41<HmakerG2>

「アジア森林パートナーシップ(AFP) 第9回 会合」の結果概要(2010/9/12)

8月4日(水曜日)〜8月6日(金曜日)の間インドネシアバリ島において、違法伐採の対策を含むアジア太平洋地域の持続可能な森林経営の推進を目的とした「アジア森林パートナーシップ(AFP) 第9回 会合」が開催されました。

概要が林野庁から公表されています

コペンハーゲン後の森林ガバナンスの挑戦:アジア太平洋地域の視点というテーマにそって、3つの全体会合、二つのワーキンググループが行われました。全てのプレゼンテーションがコチラのページに紹介されています

ワーキンググループの2には日本の違法伐採問題に対する辛口の報告がプレゼンされています

Illegal Logging and Related Trade: Indicators of the Global Response


chikyu5-4<AFP9>



最後までお読みいただきありがとうございました。

藤原敬 fujiwara@t.nifty.jp