ニュースレター No.1262010年2月28日発行 (発行部数:1350部)

このレターは、「持続可能な森林経営のための勉強部屋」というHPの改訂にそっておおむね月に一回作成しています。

情報提供して いただいた方、配信の希望を寄せられた方、読んでいただきたいとこちら考えて いる方に配信しています。御意見をいただければ幸いです。 
                                                    藤原

目次
1 フロントページ:バンクーバー五輪:木造施設の木材履歴(2010/2/28)
2 公共建築物木材利用促進法案(2010/2/28)
3 森林計画に関する最近の政策提言(2010/2/28)

フロントページ:バンクーバー五輪:木造施設の木材履歴(2010/2/28)

図1 オリンピックオーバルの外観
Forestry Innovation Investment Ltd.

開催中のバンクーバーオリンピックの施設は、建築物グリーン建築基準で評価していますが、BC州政府などが肝いりで木造建築の可能性を提示してます。

スピードスケート会場となったオリンピックオーバルは約100m×約240mの木を主体とした構造の屋根が特徴。屋根の構造は、木と鉄骨を組み合わせた約100mのアーチ状の梁で、梁は地元のダクラスファー集成材。天井材は、通常に生産・流通している規格部材である2×4工法の木材を幾何学的に配置し、構造と音響の両方の効果を考慮しているそうです。

図2普通の規格木材で
大きなアーチを作る
Forestry Innovation
Investment Ltd.

施工したforest inovation incのサイトからオリンピックオーバルの説明書に丁寧な解説があります。これによると、使用された木材が2900トンの二酸化炭素を貯蔵していること、他のエネルギー多消費型の資材を使うより5900トンの二酸化炭素を節約し、あわせて8800トンの二酸化炭素を節約しており、これは800世帯が一年に消費するエネルギーに当たるとしています。

オリンピック委員会の公式サイトにも各施設ごとの持続可能性を示すページがあり、オリンピックオーバルのページには、材の原料は内陸のロッジポールパインのマウンテンビートルの被害材であることが記載されています。

その他の木造建築も木材の履歴についての説明がしてあり、The Trout Lake Community Centerの集成材や柱は2006年の大規模なスタンレー公園風害材を利用しているとの説明があります。
Sustainable building Vancouver Olympic venues bask in green glow

木造施設の木材の持続可能性をどう担保するかという、議論があり、すべて森林認証材なのだそうですが、FSC材をどれだけ使っているかという議論もされてきました。
BC州シエラクラブのサイト

オリンピックという世界中の関心イベントの施設については、建築関係者からも注目を集めていて、日経BP社のHPケンプラッツ住宅建築でも木造オリンピック施設の紹介特集を組んでいます(4月になると会員限定になるそうです)
バンクーバー“エコ”五輪(1)木屋根の大アリーナ
バンクーバー“エコ”五輪(2)高窓と木梁の造形美
バンクーバー“エコ”五輪(3)木の柱と梁の大空間
特集の最後は以下の文章です
バンクーバー五輪の競技施設は、循環型のエコ素材である木材の採用や施工時の省エネルギー化など建物のライフサイクル全体を通して環境への影響を少なくした建築を目指している。また、競技施設は五輪後も市民が利用できるよう用途を計画した。活用面での持続可能性についても考慮された建築だ。

junkan3-1<vancgorin)


公共建築物木材利用促進法案(2010/2/28)

今国会で農林水産省が木材利用促進に関する法案を準備していましたが、その案が農林水産省のHPの農林水産政策会議の開催経緯のページ第20回会議の配付資料として公開されました。
公共建築物木材利用促進法案(骨子)について(PDF:587KB)

本文は以下の通りです。

公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律案(仮称)について

T.趣旨
  木材の利用の確保を通じた林業の持続的かつ健全な発展を図るため、農林水産大臣及び国土交通大臣が策定する公共建築物等における国内で生産された木材その他の木材の利用の促進に関する基本方針について定めるとともに、公共建築物等の整備の用に供する木材の製造を業として行う者の登録制度を設ける等の措置を講ずる。

U.法案の内容
1 国の責務
 国は、公共建築物等における木材の利用に関する人材の育成、技術の開発等の施策を総合的に策定し、実施するとともに、自ら率先してその整備する公共建築物における木材の利用に努めなければならない。また、公共建築物等における木材の利用の促進に関する国民の理解を深めるよう努めなければならない。
                              
  ※ 公共建築物等とは、次のものをいう。
@ 国・地方公共団体が整備する公共の用等に供する建築物(公共建築物)
A 国・地方公共団体以外の者が整備する建築物で@に準ずるもの

2 地方公共団体の責務
 地方公共団体は、国の施策に準じて公共建築物等における木材の利用の促進に関する施策を策定し、及び実施するよう努めるとともに、その整備する公共建築物における木材の利用に努めなければならない。          

3 基本方針の策定
  農林水産大臣及び国土交通大臣は、国が整備する公共建築物における木材の利用の目標等を内容とする、公共建築物等における木材の利用の促進に関する基本方針を定めなければならない。

4 都道府県及び市町村における方針の策定
  都道府県知事及び市町村は、それぞれ、当該都道府県及び市町村が整備する公共建築物における木材の利用の目標等を内容とする、公共建築物等における木材の利用の促進に関する方針を定めることができる。

5 木材製造業者の登録等
(1)公共建築物等の整備の用に供する木材の製造を業として行う者は、農林水産大臣の登録を受けることができる。
(2)登録木材製造業者でない者は、登録木材製造業者という名称又はこれに紛らわしい名称を用いてはならない。

V.施行期日
 公布の日から起算して6月を超えない範囲内において政令で定める日

kokunai11-1<sokusinlaw>


森林計画に関する最近の政策提言(2010/2/28)

農林水産省の森林林業再生プランの具体化についての検討会が始まり、、「森林計画制度の見直しや補助金・予算の見直しなど、森林・林業再生プランに掲げている制度面の課題への対応について検討」する「森林・林業基本政策検討委員会」の第一回会合が2月15日に開催されましたが、関連資料が林野庁HP掲載されています

委員個人の提出したプレゼン資料などが公表されていて興味深いものです。

その中で、森林計画に関する最近の政策提言(概要・抜粋)(PDF:229KB) がありました。しばらくこの方面の動きをしっかりフォローしていなかったもので参考になりました。以下の掲載された提言のオリジナルのウェブ上のアドレスを掲載しておきます。

提言の主体 時期 提言の名称
国民森林会議 2010/2 森林・林業基本計画に向けての提言
東京財団政策研究部 2010/1 グローバル化する国土資源(土・緑・水)と土地制度の盲点〜日本の水源林の危機〜
持続可能な森林経営検討会 2009/12 持続可能な森林経営のための30の提言
日本に健全な森をつくり直す委員会 2009/9 石油に頼らず、森林(もり)に生かされる日本になるために
(社)日本林業経営者協会 2009/2 森林・林業施策に関する提言
社団法人経済同友会 2007/10 国民生活の向上と市場構造の実現に向けて

kokunai2-6<keikakuteigen>



最後までお読みいただきありがとうございました。

藤原敬 fujiwara@t.nifty.jp